「ATP1000 インディアンウェルズ」(アメリカ・インディアンウェルズ/3月8日~3月19日/ハードコート)に第5シードとして出場しているダニール・メドベージェフ(ロシア)は、連日怪我に見舞われながらも勝ち進んでいる一方で、コートへの不満が絶えない。豪ニュースサイト nine.com.auなど複数のメディアが報じた。
6回目の出場となる「ATP1000 インディアンウェルズ」で初めてベスト8に進出したメドベージェフは、準々決勝で第23シードのアレハンドロ・ダビドビッチ フォキナ(スペイン)を6-3、7-5で破り、2月の「ATP500 ロッテルダム」から続く連勝記録を18に伸ばした。そんな快進撃の裏でメドベージェフは今大会で立て続けに怪我に見舞われており、球足の速いハードコートを得意としながらも、このコートとの相性は悪いようだ。
3回戦の第2セットで世界ランキング85位のイリヤ・イバシカ(ベラルーシ)が追い上げ始めると、メドベージェフは自分のパフォーマンスの悪さを球足の遅いサーフェスのせいにし、「このコートと同じくらいゆっくりトイレ休憩を取ってやる。コートがこんなに遅いんだから、僕だって25分くらいかかってもいいだろう」と主審に八つ当たり。主審は「受け入れなさい。ダニール、これは受け入れるしかない。あなたはプロなんだから」とメドベージェフをなだめている。以前のメドベージェフであればここで主審を罵倒していたかもしれないが、この時は「こんなのはハードコートとして認めない。確かにハードコートとは書かれているけど、そんなのは嘘だ」と返すに留めている。
メドベージェフは元世界2位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)と対戦した4回戦でも苦戦を強いられ、6-7(5)、7-6(5)、7-5で辛勝。第1セットを落とした後はベンチに座りながら3回戦の際に披露したトイレ休憩の発言を主審に繰り返し、「このコートはテニスという競技に対して失礼。この酷いコートでプレーすることを禁止すべきだ。こんな酷いコートをハードコートと呼ぶなんて」とまくし立てている。主審が英語とフランス語を交えながら落ち着かせようとするも、メドベージェフは「僕はまだ言い足りない」としてこう続けた。「ATP(男子プロテニス協会)がチェックを怠っているんだ。ファクトシート(大会の基本情報を記した資料)には“非常に遅いハードコート”と書くべきだろう。僕はハードコートとは何かをわかっている。スペシャリストなんだ」
ズベレフとの第2セットでメドベージェフは右足首を大きく捻って手当を受けたが、それによって冷静さを取り戻すことができたと振り返っている。だが、捻挫は軽傷では済まなかったようで、ダビドビッチ フォキナとの準々決勝では鎮痛剤に頼ってプレーしていたと試合後に打ち明けている。その準々決勝でもメドベージェフはベースライン後方で方向を切り替えようとして足を滑らせ、前に手を突いた時に右親指の爪が割れてしまった。踏んだり蹴ったりのメドベージェフはメディカルタイム中にも「このコートはどれだけ酷いんだ?びっくりだよ。酷すぎて選手を怪我させるんだからな」と悪態をついている。だが試合後の記者会見では、「試合中に癇癪を起こした時でさえ、なるべく対戦相手の邪魔にはならないようにしている。でも、今日はデュースの場面でメディカルタイムアウトを取ってしまったから、アレハンドロには申し訳ないことをした」と謝罪の言葉を口にした。
メドベージェフは連日のコートに対する文句についてはこう語っている。「たとえ気が散ったとしても、文句を言わずにプレーに集中した方がいいことはわかっている。でも、相手と1対1で対戦するテニスでは常に神経を張りつめていなければならなくて、その分ヒートアップしてくるんだ。それをうまくコントロールできる選手もいるけど、僕はそうじゃない。それが僕の性格なんだ。でも、観ている人には僕の癇癪じゃなくて、試合の内容や僕の性格の良い部分を覚えておいてもらいたいから、もう少し抑えられるように頑張るよ」
メドベージェフは準決勝で第14シードのフランシス・ティアフォー(アメリカ)と対戦する。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「ATP1000 インディアンウェルズ」で足首を痛めて座り込むメドベージェフ(右端は見守るズベレフ)
(Photo by John Cordes/Icon Sportswire via Getty Images)