アメリカで開催されているマスターズ大会に出られない世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に対して、彼がタイトルを獲得した思い出のチャレンジャー大会の主催者が参加を呼びかけている。大会公式SNSや伊ニュースサイト UBI Tennisが報じた。
新型コロナワクチンを接種していないジョコビッチは、例外的な入国を求める申請も却下されたことでアメリカに入国できず、昨年と同じように「ATP1000 インディアンウェルズ」(アメリカ・インディアンウェルズ/3月8日~3月19日/ハードコート)と「ATP1000 マイアミ」(アメリカ・マイアミ/3月22日~4月2日/ハードコート)に出場できない。コーチのゴラン・イバニセビッチ(クロアチア)によれば、ジョコビッチはその間にクレーシーズンに向けての準備を進め、次に出場する大会は「ATP1000 モンテカルロ」(モナコ・モンテカルロ/4月9日~4月16日/クレーコート)になるという。
ジョコビッチが最後にプレーしたのは3月頭、元世界王者のダニール・メドベージェフ(ロシア)に敗れた「ATP500 ドバイ」準決勝で、このまま行けば1ヶ月以上ツアーから離れることになる。そんな彼に実戦の場を提供しようと、あるチャレンジャー大会の主催者が誘いをかけた。
イタリアのサンレモでチャレンジャー大会を主催する大会運営者が、FacebookとInstagram上で3月27日から始まる大会にジョコビッチを誘ったのだ。この大会は2005年に18歳を迎える直前のジョコビッチがタイトルを獲得した大会で、ジョコビッチはその4年前にもサンレモで開かれた14歳以下によるヨーロッパ選手権で優勝している。大会側は「私たちはまだあなたのトロフィーを持っています。それを渡すためにあなたを待っていますよ。私たちのコートでもう一度あなたのプレーを見ることができると期待して、ワイルドカード(主催者推薦枠)を用意しています」と綴り、トロフィーを片手にインタビューを受ける若かりし頃のジョコビッチの写真を投稿した。
このメッセージの中に使われた「#NoleComeToSanremo(ノール、サンレモに来て)」というハッシュタグは、2017年にポルトガル代表のサッカー選手ペペをレアル・マドリードから引き抜くため、当時トルコのベシクタシュに所属していた同じく元ポルトガル代表のリカルド・クアレスマがソーシャルメディア上で流行らせたハッシュタグを模している。この戦略が功を奏したのか、ペペはベシクタシュに移籍している。
大会側の狙い通り、こうして各メディアに取り上げられて話題になっているものの、ジョコビッチの場合は残念ながらペペのようにはいかない。ATP(男子プロテニス協会)の規定上、世界ランキングのトップ10につける選手がチャレンジャー大会に出場することは禁じられているためだ。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2005年、10代だった頃のジョコビッチ
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)