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元ジュニア王者のフリッツ、アメリカの若手選手に寄せられる期待に警告

2022年「ATP1000 マイアミ」でのフリッツ

元ジュニア王者で世界ランキング5位のテイラー・フリッツ(アメリカ)が、アメリカの若手選手に寄せられる期待に警鐘を鳴らした。伊ニュースサイト UBI Tennisが報じている。

開催中の「ATP1000 インディアンウェルズ」(アメリカ・インディアンウェルズ/3月8日~3月19日/ハードコート)にディフェンディングチャンピオンとして出場している第4シードのフリッツは、1回戦を免除され、2回戦で世界41位のベン・シェルトン(アメリカ)と対戦した。結果は4-6、6-4、6-3の逆転勝利と、序盤で苦戦を強いられたフリッツは試合後の記者会見で20歳のシェルトンに対するコメントを求められ、こう答えている。

「アメリカの若手選手に対して過度な期待を寄せることはすごく危険なことだと思う。彼はとても才能がある。調子の良い時はかなり危険な選手だ、サーブもいいし、いろいろな武器を持っている。将来有望なのは間違いない。爆発力があるし、伸びしろもたっぷりある」

シェルトンは昨年、ワイルドカード(主催者推薦枠)として出場した「ATP1000 シンシナティ」で世界229位ながら、当時世界56位のロレンツォ・ソネゴ(イタリア)と同5位のキャスパー・ルード(ノルウェー)を破って3回戦まで勝ち進んだことで話題に。続く「全米オープン」では初戦敗退を喫したものの、その後出場した6つのチャレンジャー大会のうち1つで準優勝、3つで優勝を飾り、世界96位にまで順位を上げて2022年シーズンを終えている。昨年プロに転向したシェルトンは今シーズン、ツアー大会にのみ出場しており、初めて出場した「全豪オープン」で準々決勝まで勝ち進んだ。シェルトンはトップ100の中では、ともに19歳の世界2位のカルロス・アルカラス(スペイン)と世界8位のオルガ・ルーネ(デンマーク)に次いで最も若い選手となる。

今のシェルトンのように、フリッツは若くして脚光を浴びることがどのようなことなのかを肌で知っている。元ジュニア世界1位の彼は2016年に18歳でツアー大会の決勝に出場し、アメリカ人男子として26年ぶりの最年少記録を樹立したことで注目を浴びることになった。しかし、それから「ATP250 イーストボーン」で初のタイトルを獲得するのに3年、「ATP1000 インディアンウェルズ」でマスターズ大会初優勝を果たすのに6年かかった。現在25歳となったフリッツは、若かりし頃にプレッシャーに対処するのに苦労し、それがツアーでのパフォーマンスに影響を与えていたことを認めている。フリッツは2022年になって初めてトップ20に入り、同年の「ウィンブルドン」でグランドスラム初のベスト8進出を果たした。

「18歳や19歳の頃の自分はまだ準備ができていなかったんだと思う。うまく対処するには若すぎて、傷つくこともあった。スポーツの世界で最も危険なことの一つは大きな期待やプレッシャーで、それに苦しめられる若手選手たちをたくさん見てきた。そうしたものは、自分が望むような自由なプレーや競争を妨げるものになるんだ。僕自身、もっと前からそういうことを気にせずにいられたら、ここ数年のような進歩がもっと早く実現できたかもしれない」とフリッツは語った。

フリッツは3回戦で第30シードのセバスチャン・バエス(アルゼンチン)と対戦する。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は2022年「ATP1000マイアミ」でのフリッツ
(Photo by Megan Briggs/Getty Images)

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