テニスの元世界王者ラファエル・ナダル(スペイン)は、今まで18年以上も世界ランキングのトップ10にとどまり続けられたことは、その間に負った幾度もの怪我を思えば奇跡に他ならないと話した。スポーツウェブメディアSportskeedaが報じている。
現在36歳のナダルは2005年4月に18歳でトップ10入りを果たして以来、一度も11位以下に下がったことはない。2020年には、10位内の連続在位期間789週というジミー・コナーズ(アメリカ)の記録を抜いた。ナダルの現在の記録は911週で、これはオープン化以降だとマルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)の1,000週に次ぐ記録である。
しかし怪我によって長期間ツアーから離れているせいで、ナダルのこの記録は終わりに近づいているようだ。ナダルは2月下旬に世界8位に後退したが、これは2017年1月以来の低いランキングとなった。
現在の状況を受け、もしトップ10から姿を消すことになったとしても、そうなれば心から受け入れるつもりだとナダルは話した。
「トップ10にいられる方がいい、それは当然だ。でも最後には、起きることを受け入れなければいけない」とナダルは語った。
グランドスラムで22度の優勝を果たしているナダルは、これまでに負った怪我、特に昨年の怪我についても触れた。このような逆境に置かれれば、どんな選手でもその影響は避けられず、ナダルの場合はそれがトップ10陥落だというのがナダルの意見だ。
「過去18年の間に負った怪我の全てを思えば、一度たりともトップ10から落ちなかったのはほとんど奇跡だ。肋骨の骨折、2度の腹部の肉離れ、それから今は腰筋と足の問題と、去年からたくさん怪我をしたことで、その時が来た。テニスではランキングポイントの有効期間が1年だから、たくさんのことがある。試合に出なければトップ10から落ちることはわかっている」
ナダルは、自分の現在の主な目標は、1年の中で一番大切な大会「全仏オープン」までに怪我から回復することだと明言した。ナダルは腸腰筋の怪我からの回復過程にあり、「全豪オープン」以来試合に出ていない。トップ10から陥落する懸念が増しているが、それについてはパリでの次なるグランドスラムへの出場ほどは心配していないとナダルは言う。
「クレーのシーズンが近づいていて、僕らはポイントを積み増せるよう努めなければいけない。でもそういうことの何よりも僕にとって大切なのは、怪我からすっかり回復するよう努力して、クレーで試合に出る時には自分の望むもののために戦えて、究極の目標のために力を尽くせると感じられる状態でいることだ。目標というのは、今はまさに“全仏オープン”だね」
ナダルはこれまでに「全仏オープン」を14度制しているが、これはナダル以外の誰にも成しえていない偉業だ。最近の不調や怪我の懸念はあるものの、ナダルはこの記録をさらに伸ばすことを望んでいるだろう。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2022年「全仏オープン」トロフィーを持つナダル
(Photo by Andy Cheung/Getty Images)