「ATP250 サンティアゴ」2回戦、ディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)とニコラス・ジャリー(チリ)の試合は、3セットの大接戦の末に地元選手のジャリーが勝利をおさめた。しかしこの試合では観客たちが悪い意味で主役となり、あらゆることが起きた。米テニスメディアTennis World USAなどが報じている。
スポーツでは、アルゼンチンとチリのように2国間での激しいライバル関係があるものだ。シュワルツマンはジャリーとの試合中に何度となく容赦ないヤジを浴び、大事な瞬間に集中力を失う場面もあった。
シュワルツマンのサービスゲームでは、ファーストサーブの準備中に何度もブーイングを受けた。これはシュワルツマンとしてもほとんど許容しきれない状況であり、一度は試合を中断し、静寂が訪れるまでサーブをしないと主審に警告したほどだ(ジャリーも介入し、観衆に静かにするよう頼んだ)。
残念ながら、この日に起きたことはこれだけではない。第3セットの決定的な段階で、シュワルツマンはジャリーのコーチであるフアン・オゾン氏とかなり白熱した議論を交わした。主に議論の的となったのは、シュワルツマンはアウトと判断したがジャリー側としては入っていたボールであった。試合が終わった時、シュワルツマンは「君はばかだ、フアン。ばかだよ」と漏らしたと報じられている。
30歳のシュワルツマンは、この試合のように悪夢のようなシーズン幕開けを過ごしており、出場した7試合のうち6試合で敗戦。2021年6月に世界ランキングトップ10から陥落し、現在は世界38位まで下がってしまっている。一方のジャリーは2回戦以降の4試合をすべてフルセットの末に勝利し、2019年7月以来となる2度目のタイトルを獲得した。
シュワルツマンは記者会見で会場のコンディションへの不満を口にしたほか、対戦中に何が起きたのかを語った。「真実は、この試合は戦う方も見る方も楽しめる美しいものだったということ。最悪の瞬間は、何よりも僕がコートを去る時だった。僕に浴びせられた侮辱の量はとんでもなかった。ブーイングや観衆から言われることなど考えもしない時もあるけれど、あまりにひどくて耐えられない時があった。最後は、僕を守るために6~7人の警備員がエスコートしなければならなかった。良くないね」
だがシュワルツマンはそれ以上の批判をすることはなく、逆にこう投稿した。「“ATP250 サンティアゴ”の開催に関わった全ての人にお礼を言うよ。僕は大会前の数週間よりもいい気分で大会を後にした。負けたことはともかく、ゆっくりと自分のレベルに戻りつつあると思う。毎日トレーニングを続けて、コートでの自信を深めていくよ」
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「ATP500 リオデジャネイロ」でのシュワルツマン
(Photo by Eurasia Sport Images/Getty Images)