• 【ドロー表】アルカラスやチチパスも出場！「ATP1000 インディアンウェルズ」

ノバク・ジョコビッチ（セルビア）は先月27日のランキング更新で世界1位の通算在位記録を378週に伸ばしたことで、これまで男女合わせて歴代最長だったシュテフィ・グラフ（ドイツ）の記録（377週）を破るという偉業を達成した。ところが、新型コロナワクチンを接種していないジョコビッチは、例外的な入国を求める申請も却下されたことでアメリカに入国できず、「ATP1000 インディアンウェルズ」と「ATP1000 マイアミ」（アメリカ・マイアミ／3月22日～4月2日／ハードコート）には出場できない。現在7,160ランキングポイントを保有しているジョコビッチは昨年もこれら2大会を同じ理由で欠場しているため、「ATP1000 モンテカルロ」（モナコ・モンテカルロ／4月9日～4月16日／クレーコート）を迎えるまでポイントを失うことはない。

ジョコビッチがポイントを稼ぐことができない中、世界2位のカルロス・アルカラス（スペイン）と世界3位のステファノス・チチパス（ギリシャ）にはジョコビッチから自力で世界1位の座を奪うチャンスがあるが、そのハードルはかなり高い。

「ATP1000 インディアンウェルズ」に第1シードとして出場し、6,780ランキングポイントを保有するアルカラスがこの大会後に世界王者へ返り咲くには優勝しかない。彼が優勝しなければ、3月20日に更新されるランキングではジョコビッチが1位をキープすることになる。そして、仮にアルカラスが優勝できたとしても2週間後には再びトップを明け渡す可能性がある。昨年の「ATP1000 インディアンウェルズ」でベスト4、「ATP1000 マイアミ」で優勝したアルカラスは今年これら2大会で1,360ポイントを防衛しなければならないのに対して、5,805ポイントを保有するチチパスは昨年これら2大会でそろって早期敗退となり135ポイントしか獲得していないので、チチパスにも初の世界王者となるチャンスがある。チチパスはどちらかの大会でタイトルを獲得し、もう一方で決勝にまで進めば、念願の世界1位の座を手に入れることができる。理論的には至ってシンプルなシナリオだが、これまで同じシーズンに両方の大会を制したことがある男子選手は7人しかいない。

これら2大会ではジョコビッチ、アルカラス、チチパスの3人以外のランキング変動も注目される。1月末に世界12位にまで順位を落としていた元世界王者のダニール・メドベージェフ（ロシア）は、先月中旬から今月初めにかけて「ATP500 ロッテルダム」と「ATP250 ドーハ」、そして「ATP500 ドバイ」を3週連続で制したことで世界6位（3,775ポイント）に浮上している。「ATP1000 インディアンウェルズ」で防衛しなければならないポイントがメドベージェフはわずか45ポイントなのに対し、ディフェンディングチャンピオンである世界5位（3,795ポイント）のテイラー・フリッツ（アメリカ）は1,000ポイント。そんなメドベージェフは好調なパフォーマンスを継続できれば、フリッツだけでなく世界4位（5,560ポイント）のキャスパー・ルード（ノルウェー）をも追い抜くことができるかもしれない。

そして、現在キャリアハイの世界8位（3,321ポイント）につけるオルガ・ルーネ（デンマーク）は、その記録をさらに伸ばすチャンスがある。昨シーズン大躍進を遂げた19歳のルーネは、今から一年前はまだ世界86位だったため、両方の大会に予選から出場しており、「ATP1000 インディアンウェルズ」で本戦の2回戦にまで勝ち進んだものの、「ATP1000 マイアミ」では予選で初戦敗退を喫している。とはいえ、早期敗退のおかげで41ポイントしか失うリスクのないルーネは、370ポイントを守らなければならない世界7位（3,660ポイント）のアンドレイ・ルブレフ（ロシア）を抜くことができるだろうか。

一方、「全豪オープン」の2回戦で腸腰筋を損傷して以来ツアーから離脱中の元世界王者ラファエル・ナダル（スペイン）は、20日のランキング更新でトップ10から外れることが確定している。現在世界9位のナダルは2005年4月に18歳で初めてトップ10入りを果たして以来、およそ18年にわたって、ツアーで誰よりも長くその地位を保ってきた。

（WOWOWテニスワールド編集部）

※写真は2022年「全米オープン」で優勝トロフィーを抱えるアルカラス
(Photo by Tim Clayton/Corbis via Getty Images)