選手たちが2023年シーズンのATP(男子プロテニス協会)ツアー展望を予想している。ATP公式ウェブサイトが伝えた。
シーズン序盤に実施された企画で、YouTubeのATP公式アカウントに2本の動画がアップされた。パート1にはラファエル・ナダル(スペイン)、ダニール・メドベージェフ(ロシア)、デニス・シャポバロフ(カナダ)、カレン・ハチャノフ(ロシア)、ジャック・ドレイパー(イギリス)、ジョン・イズナー(アメリカ)、タナシ・コキナキス(オーストラリア)が参加。それに続いて公開された今回のパート2では、キャスパー・ルード(ノルウェー)、アンドレイ・ルブレフ(ロシア)、キャメロン・ノリー(イギリス)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、フランシス・ティアフォー(アメリカ)、ディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)、ベン・シェルトン(アメリカ)が出演している。
パート1とほぼ同じ質問が投げかけられる中、このパート2では前回に比べて選手の自薦が目立った。「マスターズ大会初優勝を飾る選手は?」という最初の質問からその傾向は出ており、ルブレフが「まだ勝ったことがないんだけど、いつか、何回目かの人生でいいから優勝できたらいいね」と笑いながら答えている。本人以外ではシュワルツマンがルブレフをチョイス。また、ティアフォーも自分を選んだ。そのほかには、ルードとシェルトンがフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)を、ズベレフはマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)を推している。
「今季最も多くのマスターズ大会で優勝するのは誰?」という問いでは、パート1に続いてノバク・ジョコビッチ(セルビア)が一番人気。「みんなにチャンスはあると思うけど…」と前置きしながら答えたルードをはじめ、ズベレフ、シュワルツマン、シェルトンが彼の名前を挙げた。ルブレフはジョコビッチとナダルの名前を並べ、「彼ら二人の名前を挙げておけば間違いない」とニッコリ。ノリーは「彼のテニスがとにかく好きなんだ」としてメドベージェフを選択した。
「ツアー初優勝を飾る選手は?」という質問でも、その前の質問に続いてパート1と同じ選手が多くの票を獲得することに。ルード、ルブレフ、ノリー、ティアフォーが21歳のドレイパーを選択した。そんな中、ここで自薦を行ったのは「全豪オープン」でベスト8入りした20歳のシェルトン。彼と一緒に練習をしたというシュワルツマンもシェルトンを推している。
「初めてトップ10入りを果たすのは?」という質問では、ズベレフ、ルブレフ、シェルトンがティアフォーをチョイス。シェルトンは「彼は何でもできる。順位は右肩上がりだ」と自国の先輩を絶賛。ノリーとシュワルツマンは今月21歳になったばかりのロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)を選び、ルードは「ティアフォーとムゼッティのどちらか」と返答。そしてティアフォー本人は自分の名前を答えて爆笑していた。
ティアフォーは、続く「今季ブレイクする選手」にも自分を選んでいる。ルードは「すでに素晴らしい選手だけど、今年さらに良い一年になるのでは」とノリーを予想。ズベレフ、シュワルツマンが選んだのは、パート1でもこのテーマで名前が呼ばれた22歳のセバスチャン・コルダ(アメリカ)。また、初めてシーズン当初からトップレベルで戦うことになるシェルトンは、願望まじりで自分の名前を挙げた。
そして「最高の復活劇を果たしそうな選手」では、足の大怪我を乗り越えたズベレフが無言で両手を挙げてアピール。「そうなったらいいね」と笑顔で述べた。シュワルツマンは、負傷から戻ってきて今年2月に16ヶ月ぶりの勝利を挙げた元世界20位のギド・ペラ(アルゼンチン)に向けて「彼がいいシーズンを送ってくれれば」とエールを送っている。ほかには、パート1でも名前の挙がったスタン・ワウリンカ(スイス)がルード、ノリー、ティアフォーの票を集めた。シェルトンはドミニク・ティーム(オーストリア)を推している。
「ダークホースとなる選手は?」では、ブレイク候補にも挙げられたコルダの名前が再び呼ばれることに。今回はシュワルツマンのほか、ズベレフやティアフォーも賛同しており、1月の「ATP250 アデレード1」決勝でジョコビッチ相手に一時はマッチポイントを握った彼に対し、ティアフォーは「もう少しでノバクに勝つところだった。タフな選手だよ」と称賛している。ノリーは「対戦する度に苦戦する相手」だというトミー・ポール(アメリカ)を、シェルトンは「ショットが信じられないくらい美しい」ムゼッティを推薦している。
グランドスラム各大会の優勝予想では、シュワルツマンが「ナダルとジョコビッチが2回ずつ優勝する」と答えた後に吹き出している。ルブレフもナダルとジョコビッチで分け合う形を予想。そんな中、ティアフォーはこの項目でも自薦を継続。とはいえ、結局大方の予想は「全豪オープン」と「ウィンブルドン」がジョコビッチ、「全仏オープン」はナダル、とパート1と同じく手堅い内容に。そんな中、ズベレフは「傲慢になりたいわけじゃないけど」と前置きした上でローランギャロスの覇者として自分を挙げた。そして「全米オープン」はパート1と同じく今回も意見が分かれ、ジョコビッチ(ノリー)、メドベージェフ(ズベレフ)、カルロス・アルカラス(シュワルツマン)と歴代王者たちの名前が挙げられる中、ティアフォーが2票(本人&シェルトン)を獲得。
最後の問い、「年末ランキングで1位に輝くのは?」はパート1とはやや違う結果に。過去7度、世界1位でシーズンを締めくくっているジョコビッチが依然として一番人気ではあったものの、パート1では7人全員一致だったのに比べて今回は7人中4人(ルード、ズベレフ、シュワルツマン、ルブレフ)。ルードが「僕が間違っていたらいいけどね。ほかの人が1位になるのを見たいから」と話していたように他の人を願う機運があるのか、シェルトンは2022年の年末ランキングで1位となったアルカラス、ノリーは貪欲さが光るメドベージェフの名前を挙げている。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2021年「東京オリンピック」でのズベレフ
(Photo by Jan Woitas/picture alliance via Getty Images)