シーズン最初のマスターズ大会がもうすぐ開幕するのに先駆けて、選手たちが今季の展望を予想している。ATP(男子プロテニス協会)公式ウェブサイトが伝えた。
シーズン序盤にATPが実施したこの企画。YouTubeのATP公式アカウントに2本の動画がアップされ、そのうちパート1にはラファエル・ナダル(スペイン)、ダニール・メドベージェフ(ロシア)、デニス・シャポバロフ(カナダ)、カレン・ハチャノフ(ロシア)、ジャック・ドレイパー(イギリス)、ジョン・イズナー(アメリカ)、タナシ・コキナキス(オーストラリア)が参加している。
「マスターズ大会初優勝を飾る選手は?」という質問でナダルとドレイパー、コキナキスが挙げたのは21歳のヤニク・シナー(イタリア)。シナーは2021年の「ATP1000 マイアミ」でマスターズ初の決勝進出を果たしたが、その時はフベルト・フルカチュ(ポーランド)に敗れた。そんなシナーについてナダルは、「惜しいところまで行ったし、若いし成長している。高いポテンシャルもある。優勝できないはずはないだろう?」とコメント。それ以外ではメドベージェフがアンドレイ・ルブレフ(ロシア)、シャポバロフがフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)と、それぞれ親友の名前を答える中、イズナーは昨年の「全仏オープン」と「全米オープン」で準優勝したキャスパー・ルード(ノルウェー)を選んだ。
「今季最も多くのマスターズ大会で優勝するのは誰?」という問いには、メドベージェフ、ドレイパー、イズナー、コキナキスが口を揃えてノバク・ジョコビッチ(セルビア)と回答。アメリカの入国規制により「ATP1000 インディアンウェルズ」と「ATP1000 マイアミ」への出場は叶わなかったものの、マスターズ大会最多優勝(38回)を誇り、すべてのマスターズ大会で優勝する「キャリア・ゴールデン・マスターズ」を2度達成している彼の強さを多くの選手が認めていることが改めて明らかに。「ただ単に、彼はすごく強いからね。出場すれば、多くの大会で優勝する」とイズナーは話している。
そんな中、ジョコビッチ以外の名前を挙げた選手も。ナダルはアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)をチョイスし、2022年の「全仏オープン」で熱戦を繰り広げた彼のことを「とてもタフな選手」と称えている。そのほかには、シャポバロフがメドベージェフ、ハチャノフがステファノス・チチパス(ギリシャ)と答えた。
「ツアー初優勝を飾る選手は?」という質問を受けてメドベージェフ、シャポバロフ、ハチャノフが選んだのは21歳のドレイパー。ドレイパーはまだツアーで決勝に進出したことはないものの、昨年チャレンジャー大会で4回優勝しており、本人も「今年ツアータイトルを獲得できるといいね」と語っている。メドベージェフは「ドレイパーは今年優勝するよ」と確信したように述べていた。イズナーは二人の同国選手、27歳のマッケンジー・マクドナルド(アメリカ)と29歳のマルコス・ギロン(アメリカ)を挙げた。マクドナルドは2021年、ギロンは2022年に準優勝と、あと一歩のところまで迫っていた。
「今年のグランドスラムで最も多く優勝する選手」として多くの選手が名前を挙げたのは、やはりジョコビッチ。そんな彼らの予想を証明するかのように、今年の「全豪オープン」ではジョコビッチが大会10回目、歴代最多タイとなるグランドスラム通算22回目の優勝を果たした。グランドスラム各大会の優勝予想は、「全豪オープン」と「ウィンブルドン」がジョコビッチ、「全仏オープン」はナダル、と過去の実績を受けて手堅い予想が語られる中、過去3年続けてグランドスラム初王者が生まれてきた「全米オープン」ではダークホースたちの名前が相次ぐことに。イズナーは2020年大会準優勝のズベレフ、コキナキスは2021年・2022年の覇者であるメドベージェフとカルロス・アルカラス(スペイン)のほか、シナーの名前も出して「誰でも優勝し得る」と話した。そのコキナキスとドレイパーに選ばれたメドベージェフは「これに関しては答えないよ。自分の名前は挙げないけど、勝ちたいとは思っているからね」と笑いながら語っている。
「今季ブレイクする選手」としてナダルに「素晴らしいシーズンを送るだけの素質がすべてある」と称賛されたドレイパー。彼自身は、昨年チャレンジャー大会初優勝を飾った同国の23歳、ポール・ジャブ(イギリス)をチョイスしている。コキナキスは「僕だったらいいね」と自身を推薦。イズナーが「大躍進するはず」として選んだのは22歳のセバスチャン・コルダ(アメリカ)だった。
「初めてトップ10入りを果たすのは?」という質問では、2022年「ウィンブルドン」で準優勝するもランキングポイントを得られなかったニック・キリオス(オーストラリア)がメドベージェフとコキナキス、2022年「全米オープン」ベスト4のフランシス・ティアフォー(アメリカ)がイズナーとハチャノフ、と2票ずつを集める結果に。ナダルは「いいプレーをしている」としてアレックス・デミノー(オーストラリア)を選択。ドレイパーは今月21歳になったばかりのロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)を推した。
そして「最高の復活劇を果たしそうな選手」には、ともに元グランドスラム王者で世界3位に到達したことのある二人、ドミニク・ティーム(オーストリア)とスタン・ワウリンカ(スイス)が人気を集めた。前者をナダル、メドベージェフ、ハチャノフ、後者をイズナー、ハチャノフが挙げている。
最後、「年末ランキングで1位に輝くのは?」という問いでは、グランドスラムやマスターズ大会で今年も強いと見られているジョコビッチが全員一致で選ばれた。2022年の同ポジションは新星アルカラスに奪われたジョコビッチだが、過去7度(2011年・2012年・2014年・2015年・2018年・2020年・2021年)、世界1位でシーズンを締めくくっている。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「全豪オープン」でのナダル
(Photo by Will Murray/Getty Images)