元世界ランキング6位のマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)の弟がツアーデビュー戦で初勝利を記録している。ATP(男子プロテニス協会)公式ウェブサイトなど複数のメディアが報じた。
「ATP500 アカプルコ」(メキシコ・アカプルコ/2月27日~3月4日/ハードコート)で予選を勝ち上がってきた世界842位のヤコポ・ベレッティーニ(イタリア)は、本戦1回戦で世界78位のオスカー・オッテ(ドイツ)と対戦。3-6、7-6(3)、2-1とリードしていたところでオッテが膝を負傷して棄権、24歳のヤコポはツアー本戦デビュー戦で初の勝利も手にすることになった。2回戦で第8シードのアレックス・デミノー(オーストラリア)に1-6、0-6で敗れたものの、ヤコポは次回のランキング更新で350以上のランクアップを果たす見込みだ。ヤコポは2019年にキャリアハイの世界388位を記録している。
ヤコポは予選1回戦から厳しい戦いを強いられたが、第3シードのジョーフレ・ブランカノー(フランス)に0-6、6-4、6-4で逆転勝利を収め、2回戦では第5シードのLuciano Darderi(イタリア)を6-2、6-4で破っていた。
26歳の兄マッテオは、弟が本戦出場を決めた時のことについてこう話している。「もちろん、すごく特別な瞬間だったよ。弟はここ数年、新型コロナウイルスやほかにもいろいろあって苦労してきた。怪我にも何度も見舞われて、思うようにプレーできなかったんだ。だから、弟のことを思うとすごく嬉しかった」
ヤコポの予選を観客席から見守っていたマッテオは、「僕は見るからに心配でストレスが溜まっていたよ」と笑いながら話している。実際、テニス関連ニュースサイト Tennis TonicがTwitterに投稿した動画では、観客席の最前列に座るマッテオがお腹を抑えながら不安そうな表情を浮かべ、貧乏ゆすりをしている姿を見ることができる。マッテオはワイルドカード(主催者推薦枠)としてヤコポを予選に出場させてくれた大会運営者にも感謝の意を表した。「すごく光栄で嬉しい。このような機会をヤコポと僕ら家族に与えてくれた大会に感謝しなければならない。こんな経験ができて本当に嬉しいし、これからも体験できることを楽しみにしている」
ヤコポ本人はこの大きな一歩について「日曜日(予選2回戦)の試合に勝った時は信じられなかった。その日の夜は全然眠れなかったけど、人生で最高の夜だった」と喜びを語っている。ツアー本戦初勝利後は、マッテオ、そして兄と共通のチームメンバーとともにビーチで祝ったそうだ。「ここに来た時はあまり調子が良くなったけど、最初の試合から全力で戦おうと思っていたことがうまく実行できた。チームや家族にとても支えられた。彼らが一緒にいてくれることは僕にとってすごく大事なことなんだ」
通算7個のツアータイトルを誇り、2021年の「ウィンブルドン」では準優勝を飾ったマッテオのことを“親友”と呼ぶヤコポは、同じコーチに師事し、一緒に練習することも多い兄についても熱く語っている。「彼がいなければ今の僕はないと思っている。ワイルドカードとして出場できたことだけでなく、すべてに関して。兄は僕にとってのインスピレーションで、真のチャンピオンだ。人としても素晴らしい。僕の人生で最も大切な人だよ。心からありがとうと言いたい。大会の時だけじゃなくて、僕の人生に兄がいてくれて本当に良かった」
マッテオは準々決勝にまで勝ち進んでおり、次は第4シードのオルガ・ルーネ(デンマーク)と対戦する。ベレッティーニ兄弟はワイルドカードとしてダブルスにもペアで出場したが、こちらではダブルス世界48位のサディオ・ドゥンビアと同45位のファビアン・ルブールのフランスペアにストレートで敗れた。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は今年2月、ミラノで友人とともに過ごすマッテオ&ヤコポ・ベレッティーニ兄弟
(Photo by Robino Salvatore/Getty Images)