テニスの世界ランキング8位のダリア・カサキナ(ロシア)は、交際中のフィギュアスケート選手ナタリア・ザビアコと共有している動画ブログで、カサキナが激動の2023年シーズンを送っていること、そして4年間苦楽を共にしたコーチ、カルロス・マルティネス氏を解任したことを明らかにした。米テニスメディアBaselineほか複数メディアが伝えている。
テニス選手がコーチを変更する時は何らかの形で正式に発表するのが通常だが、カサキナはそれをせず、YouTubeで恋人が先に明かす形となった。「私はよくコーチを変えた。パートナーはもっと頻繁に…氷上の、って意味よ」と元オリンピック選手のザビアコは冗談めかして言った。
カサキナは「もちろん怖かった、ここまで長い関係を終わらせるのは辛かった。ほぼ4年間一緒に練習してきた。シーズン中に、まだその人をよく知らないのに、大会中に練習を始めるのは少し怖かった」とコーチ交代について語った。
カサキナの言う「よく知らない人」というのは元男子プロテニス選手のフラビオ・チポラ氏のことだ。「WTA500 ドーハ」では、観客席にザビアコやカサキナの兄アレクサンドルと共に、チポラ氏の姿が見られた。
カサキナとチポラ氏は、中東での大会シーズンが始まる直前に試用期間を開始。カサキナは年初に「WTA500 アデレード」で決勝に進出して以降、2試合以上連続勝利できていない。
「最初のトライアルのトレーニングは、試合当日だった」とザビアコ。コーチ交代がカサキナの思惑よりずっと急だったことを仄めかした。
「私にとっても、コーチにとっても難しかった」とカサキナ。「彼は私を知らない、私も彼を知らない。私に何を言ったら良いのか、何を言ってはいけないのか、私は教えて欲しいタイプなのか、彼にはわからない。私は彼がどうやってコーチングするのか知らないし、難しかった」
「だから、コーチを変えるならシーズン終わりがいい。プレシーズンの前か、少しでもトレーニング期間が取れる時期が。そうすればお互いを知ることができる。でもこういうふうに計画せずに難しい状況になることもある。難しいけれど、最善を尽くそうとしてこうなったの」
カサキナはマルティネス氏の指導のもとで、これまでに手にした6つのタイトルのうち4つを獲得。昨年にはグランドスラムで初めてベスト4に進出し、二人の師弟関係は順風満帆と思われていた。
イタリアのテニスメディアUBI Tennisのインタビューに答えたマルティネス氏によると、カサキナとの師弟関係が終了した理由は、カサキナの成績不振だけではないようだ。
「ダーシャ(カサキナの愛称)と練習するのが大好きだったから、とても悲しい。彼女は素晴らしい女性で素晴らしい選手だ。彼女がコート外でやっていたことがあって、僕の意見では、そういうことは彼女のキャリアのためにならない。僕たちの最後の会話も同じような感じだったから、彼女はこの決断をした。彼女はちょっと疲れてしまったんだ、コートの外でどういう風に行動するべきかという点で僕と意見が合わないことにね」
マルティネス氏は、カサキナの行動や考え方と意見が一致しなかったことについて、具体的には語らなかった。
「彼女がやっていたことが間違っている、と言っているわけではない。彼女はとてもプロフェッショナルだから。だけどもし彼女がトップ選手になりたいなら、今までよりもっと気を付けないといけない、特にオフコートでの行動には。大きなプレッシャーがかかるし、いろいろ具体的なことに取り組まなきゃいけない。彼女がコート外での時間をもう少しうまく管理してくれたらと思う」
マルティネス氏は、すぐに別の選手の専属コーチになるつもりはないそうで、しばらく自身のアカデミーで指導を続け、家族との時間を持ちたいと語った。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「WTA500 サンノゼ」でのカサキナ
(Photo by Carmen Mandato/Getty Images)