世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が今月22日にベオグラードで記者会見を開き、ラファエル・ナダル(スペイン)との通算60回目となる次の対戦の舞台は「全仏オープン」がいいなどと発言した。会見内容を米スポーツメディア ESPNをはじめとする複数のメディアが報じている。
先月の「全豪オープン」で10度目の優勝を果たし、ナダルと並ぶ22個目のグランドスラムタイトルを獲得して以来ツアーを離れているジョコビッチは、母国で記者会見を開き、記者たちからの質問に応じた。これまで59回対戦(30勝29敗)してきたナダルとのライバル関係について聞かれたジョコビッチはこう述べている。「60回目の対戦は“全仏オープン”の決勝がいいね!きっと彼も同意してくれるはず。彼は間違いなく僕にとって最大のライバルだ。対戦した試合の数だけでなく、年齢も近いからね。彼の方が先にプロとして素晴らしい成功を収め始めたけど、ジュニア時代から一緒なんだ。彼とロジャー・フェデラー(スイス)が選手としての僕に最も大きな影響を与えてくれた」
「現役の間にこのライバル関係の大切さや重要性にこだわる必要はないし、そんな時間もない。でも、お互い引退したらプライベートでぜひそのことについて語り合いたいね。次の対戦がどこになるかはわからない。体調が万全な時の彼は最強だ。僕たちはまだまだ若手選手にグランドスラムタイトルを獲らせるわけにはいかない」
これまでジョコビッチがナダルと最も多く顔を合わせたグランドスラムは、「全仏オープン」で10回。2006年に初めて戦った時の舞台もローランギャロスだった。そのうちジョコビッチは2015年と2021年の2回勝利している。ただ、決勝では3度当たるもいずれもナダルに軍配が上がっていた。2020年大会から3大会連続で対戦しているが、今年も対決が実現するのだろうか。
ジョコビッチはシーズン初めの「ATP250 アデレード1」で負ったハムストリングの怪我を抱えながら「全豪オープン」を制した。その際にジョコビッチは太腿にテーピングを巻いた状態でプレーし、試合中にも何度かメディカルタイムアウトを取っていたが、大会後半は怪我を感じさせない好調ぶりを見せたことから対戦相手や周囲から怪我の程度を疑う声が挙がるように。検査結果を確認したという「全豪オープン」ディレクターのクレイグ・タイリー氏は、ジョコビッチの左のハムストリングには3cmほどの亀裂があったと話しているものの、本人が詳しい説明を避けていることや、過去にも似たような状況があったことなどから怪我の真偽は今もはっきりしていない。
今回の記者会見でも怪我が疑われていることについて振られたジョコビッチは、「インターネットに載っていることや、誰かが言ったことにすべて対処するつもりはない。僕にはそんな時間やエネルギーはないんだ。何が正しくて何が真実なのかを僕はわかっている」と述べ、またしても核心に触れるのを避けた。ただ、「全豪オープン」を終えた時点では欠場する可能性もあった「ATP500 ドバイ」(アラブ首長国連邦・ドバイ/2月27日~3月4日/ハードコート)には出場すると報告している。「体調はまだ万全ではないけど、かなり良くなっている」とジョコビッチは補足し、出るからには優勝を狙うと断言した。
「ATP500 ドバイ」の後には「ATP1000 インディアンウェルズ」(アメリカ・インディアンウェルズ/3月8日~3月19日/ハードコート)と「ATP1000 マイアミ」(アメリカ・マイアミ/3月22日~4月2日/ハードコート)が予定されているが、アメリカでは渡航者に新型コロナのワクチン接種を義務付ける規制が少なくとも4月10日まで続く見込みとなっているため、接種していないジョコビッチが出場できるかはまだわかっていない。本人は出場を強く希望しており、「ATP1000 インディアンウェルズ」の大会ディレクターを務める元世界2位のトミー・ハース(ドイツ)はジョコビッチの出場に向けて全力を尽くすと話していたが、「すべてはこれから決まる」「良い結果が出ることを祈る以外に今の僕にできることはない」とジョコビッチは現状について話している。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2021年「全仏オープン」でのジョコビッチとナダル(左より)
(Photo by Julian Finney/Getty Images)