キャスパー・ルード(ノルウェー)は、男子プロテニスツアーにおいては例外的な存在だ。ルードの父は今も彼のヘッドコーチを務めているが、これは大舞台の仲間入りをすればほとんどの選手が卒業することである。しかし、ルードの話を聞いてみると、父親たちがもっと子どもの世話役を果たすべきだということを否定する具体的な理由を見つけるのに窮するであろう。スポーツウェブメディアSportskeedaが報じている。
現在世界ランキング4位のルードは、元プロテニス選手である父クリスチャン氏との個人的な関係がどのように彼らの仕事上の関係に影響しているか質問を受けた。24歳のルードは、別のコーチと少しの間過ごした上で、他のどんな他人よりも父といる方が心地よく感じたため、父に戻ってきてほしいと気付いたのだと明かした。
ルードは、父親をコーチとすることはおおむね良いことであるという意見で、親は常に自分の子どもを手助けするために一層の努力をすることを心がけるであろうし、普通のコーチと比べればなおさらだと語った。「以前のコーチであるペドロとの関係を解消しなければいけなくなった時、僕は19歳くらいだったと思う。いくつかの選択肢に目を向けたけど、僕は父がそばにいてくれる方が心地よいと言ったんだ」
「コーチというのは自分のために相当なことをするし、すごく手助けをしてくれる。でも、コーチが父親でもあったら、一層面倒を見てもらえているように感じる。だって父は、家族だからという理由でいくらか余計に世話をしてくれるだろうからね」
父は自分のキャリアをより良いものにするために力の及ぶ限り全てのことをしてくれているとルードは称賛し、注目されずに腕を磨ける場所を確保するために、拠点をノルウェーに維持するための計画を2人で立てたとも述べた。
「だから、父といるととてもよく面倒を見てもらえていると感じた。そして、僕がいいプレーをできるようにするために父が力の及ぶ限り全てのことをしてくれているのを僕は見ていて、それについて心地よく思った。それで、父もたいてい僕と一緒に旅をするということで僕らは合意した。でも同時に、僕にはノルウェー人以外の選手と練習して彼らから学び、自分のプレーをこれからも発展させるために行ける場所が、変わらず必要だった」
父が自分のヘッドコーチでなかった時期を振り返り、その頃も父がある意味ではヘッドコーチのようにふるまっていたとルードは指摘した。父は毎日他のコーチたちと話をして、旅の日程を全て計画していたという。「別のコーチがいたり他のコーチの助けを借りていたりした2~3年の間も、父はある意味チームのヘッドのような存在だった。父が僕らのために全ての計画を立てていたし、練習期間には他のコーチと毎日のように話をしていた。大会に来ることもあったけど、多くはなかったね」
2018年に有望な10代の選手として仲間入りして以来、ルードは元世界王者ラファエル・ナダル(スペイン)の創設したラファ・ナダル・アカデミーの一員であり、現在もアカデミーの施設でトレーニングしている。ルードはこれをこの上なく有益な環境だと思っており、今後も長くこの関係を続けたいと望んでいる。「マヨルカ島のラファのアカデミーに行って、そこで助力を得ようということで僕らは合意した。今も彼らのところに身を寄せていて、すごく助けられている。いい決断だったし、これからも長く続けられるといいと思っているよ」
カルロス・アルカラス(スペイン)に敗れて準優勝となった昨年の「全米オープン」以後は少し苦しんでいるように見えるルードだが、今後の活躍を期待しよう。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「全豪オープン」でのルード
(Photo by Mark Kolbe/Getty Images)