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ジョコビッチの怪我をイジった?女子選手に死の脅迫状が殺到

「全豪オープン」でのジョコビッチ

先月の「全豪オープン」でハムストリングの怪我を抱えながら優勝を果たしたノバク・ジョコビッチ(セルビア)。ある女子選手が、彼の怪我を揶揄したとしてジョコビッチのファンたちから死の脅迫状を送られたことがわかった。マルタのニュースメディア Tennis Up To Dateなど複数のメディアが報じている。

元世界ランキング116位のアリナ・ラディオノワ(オーストラリア)は今月上旬、オーストラリアで開催されたITF(国際テニス連盟)大会に出場していたものの、怪我により準々決勝を棄権することになった。その直後にラディオノワは包帯を巻いた右足の太腿の写真をInstagramのストーリーに投稿し、「ハムストリングに3cmの裂傷があるみたいだけど、少し調べてみた結果、明日は大丈夫なはず」とコメント。これを「全豪オープン」でジョコビッチが抱えていたハムストリングの怪我を揶揄したものだと捉えたファンたちが、ラディオノワに死の脅迫を行ったという。前述の投稿からほどなくしてラディオノワはこう投稿している。

「どうして私がノバクのファンたちから死の脅迫を受けているのか、よくわからないわ。なぜか、私が怪我について冗談を言っているとみんなは思っているみたい。ハムストリングの断裂は冗談では済まされないことよ。これを冗談に変えてしまうなんて、恥を知りなさい。(ハムストリングを怪我しても)グランドスラムで優勝できる人もいるけど、大抵の人は休まなきゃいけないの」

この投稿がジョコビッチのファンを刺激してしまった背景には、彼が通算10回目の優勝を果たした先月の「全豪オープン」でハムストリングの怪我をずっと疑われていたという経緯がある。

前哨戦の「ATP250 アデレード1」で左足のハムストリングを痛めたジョコビッチは、「全豪オープン」で左の太腿にテーピングを巻いた状態でプレーし、「薬とホットクリームを使って耐えている」「(身体は)理想的な状態ではない」などと話していた。当時世界191位のエンゾ・クアコー(フランス)と対戦した2回戦ではメディカルタイムアウトを取る場面も。クアコーはこの大会で唯一ジョコビッチからセットを奪った選手で、対戦相手としてジョコビッチの当時の状態についてこう話している。

「ノバクは大きな怪我をしていると主張していた。怪我をすれば、ラファエル・ナダル(スペイン)でさえ走れなくなり、(フランス代表のサッカー選手である)キリアン・エムバペだって2週間は休まないといけない。一流の治療を受けられるはずの偉大なアスリートである彼らですら満足にプレーできないのだから、ジョコビッチだけが怪我をしたままプレーできるというのは信じがたい。2週間もプレーを続けられるなんてあり得ない。些細なことだけど、ほかにも気になることがあるんだ。怪我をしたらストレッチはしない方がいいと僕は教えられてきたけど、ノバクは常にストレッチしていた。セルビアでは何か新しい対処法があるのかもしれないけど、とにかく奇妙なんだ。怪我が本当かどうかはわからないけど、少なくとも僕は信じられなかった」

ジョコビッチが怪我に関する詳しい説明を避けながら「全豪オープン」で優勝したことや、過去にも似たような状況があったことなどから、彼の怪我は今も疑われ続けている。大会中にジョコビッチ自身もそれを耳にしたようだが、第22シードのアレックス・デミノー(オーストラリア)に快勝した4回戦の後に、「僕が怪我した時だけ疑われ、怪我をしたフリをしていると言われる。僕はそういった周囲の意見を気にするどころか、面白いと思っているくらいだよ。ほかの選手とは違う扱いを受けることが逆に力とモチベーションになるから、感謝したいくらいさ」と余裕の構えを見せていた。

ジョコビッチは2021年の「全豪オープン」でも腹部を負傷しているとしながら優勝を果たし、大会後に同部位に裂傷を負っていたと述べている。今回の怪我の検査結果を確認したという「全豪オープン」ディレクターのクレイグ・タイリー氏は、ジョコビッチの左のハムストリングには3cmほどの亀裂があったと大会後に話していた。

クアコーが言っていたことは当たっていたようで、ジョコビッチはセルビアの名医、マリアナ・コバチェビッチ医師を大会に呼び寄せていたそうだ。同医師はイングランドの強豪サッカークラブ、リバプールFCで働いていたこともあり、クリスティアーノ・ロナウドといった人気選手も治療したことがある。独自に開発した治療の効果があまりにも絶大なため一時は違法性が疑われたほどだが、治療を受けた選手がドーピング検査で引っかかったことはない。別の医師はコバチェビッチ医師の合法性を保証するだけでなく、「ノーベル賞にふさわしい」と絶賛している。コバチェビッチ医師の公式ホームページによれば、彼女の治療法は「損傷した組織に高周波電流を流すことで患部に電磁場を発生させ、特殊なジェルとローラーを用いたハンドマッサージによって損傷した筋肉組織を再生させる」という。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「全豪オープン」でのジョコビッチ
(Photo by Mark Kolbe/Getty Images)

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