2022年は26歳のカンタン・アリス(フランス)にとって飛躍の1年だった。その間に3度チャレンジャー大会で優勝し、世界ランキング150位以下から今年1月にはキャリアハイの61位に到達した。ATP(男子プロテニス協会)公式ウェブサイトが報じている。
2023年シーズンに入って、アリスはATPツアーでも活躍。開幕戦の「ATP250 アデレード1」では2回戦でトップシードだったノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦し、2セットで敗れはしたが6-7(3)、6-7(5)という接戦を演じて見せた。続く「ATP250 オークランド」では、キャリア初のベスト8に進出。
アデレード大会での対戦後、ジョコビッチはアリスのことを「トップ10選手のようなプレーをしていた」と称賛。この言葉がアリスに自信を与え、先週の「ATP250 モンペリエ」でもアデレード大会に続いて準々決勝進出を果たした。
アリスはジョコビッチのコメントについてこう語る。「あの言葉を聞いて、自信になった。あの時は負けたからがっかりしたけれど、いいコメントをもらえて嬉しかった。ああいう選手たちを相手に戦えることがわかっているから、厳しいトレーニングをして目標に向かっている」
「全豪オープン」ではアリスは1回戦で第3シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)と対戦。結果はストレート負けだったが、こちらも3-6、4-6、6-7(6)という僅差の試合だった。アリスはロッド・レーバー・アリーナでプレーするという経験を喜び、さらに多くを望んでいる。
「あれもいい経験だった。第3セットはもう少しで取れるところまでいったけれど、あの試合から学んだよ。次に彼と試合する時には、どこを改善しなければいけないかわかっている。大きなスタジアムでプレーすることはいい経験だ。あんな試合をするためにプレーしているんだから」
「今は、トップ選手たちを倒すことができると感じている。1・2年前とはまったく違う感じだ。今は、何かできると感じる。少なくとも1セットは取れる。勝つための戦略を立てる準備をして、何かできると感じてる」
2012年にプロに転向したアリスは、10年後の2022年5月にフランスのボルドーで行われたチャレンジャー大会で準優勝して、初めてトップ100入りを果たした。
アリスは笑顔で振り返る。「素敵な瞬間だったよ。たくさん試合に勝ってポイントを稼いだけど、あと少しのところでなかなか100位内に入れずに苦労した。僕は勝ち続け、他の選手たちが2年前のポイントを失って、86位まで上がれた。ランキングよりも自分のレベルが嬉しかった。努力を続けて難しい試合に勝ち、正しい方向に向かっていたから」
サッカーではパリ・サンジェルマンFC、ラグビーではラ・ロシェルを応援するアリスは、モンペリエ大会の2回戦で第5シードのアレハンドロ・ダビドビッチ フォキナ(スペイン)に勝利。準々決勝で残念ながら現在絶好調でランキングを駆け上がっている18歳のアルトゥール・フィス(フランス)に敗れた。
「今週はとてもいい感じだ。自分の国でプレーするのはいつも楽しいし、ここの観客は素晴らしい。2試合、とてもいい試合ができた。ツアーレベルでもいい練習ができているし、雰囲気が違う。良いプレーを続けたければ、最高の状態を保たなければいけない。一週ごとに進歩していく。僕の目標は進歩して、ツアーレベルにとどまって、戦って良い勝利をあげること。そうすれば僕のレベルは上がっていくだろう」
ツアー初優勝を目指すアリスに今後も注目だ。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「ATP500 ロッテルダム」予選でのアリス
(Photo by Pim Waslander/Soccrates/Getty Images)