直前に負った怪我により「全豪オープン」を欠場した元世界女王のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)が、1ヶ月経った現在の状況について語った。WTA(女子プロテニス協会)公式ウェブサイトが報じている。
42歳のビーナスは「全豪オープン」欠場を発表した際、怪我の詳細については触れていなかった。しかし最近、自身のYouTubeチャンネルに動画をアップし、それについて口を開いている。1月上旬に行われた「WTA250 オークランド」にワイルドカード(主催者推薦枠)として出場した際、当時世界ランキング84位だったジュ・リン(中国)と対戦した2回戦の第3セットでハムストリングを痛めたという。
「第3セットで足を痛めてしまったの。走っている途中に何かが弾けるような感覚があって、これはまずいと思った。問題ないかどうかを考える時間はなかったけど、もしかしたら悪いことかもしれないという考えがよぎったわね。コーチと療法士はトレーナーを呼ぶように言っていたけど、これまで何度もハムストリングを痛めたことがあるから、一度痛めたらその場ではどうしようもないことはわかっていたわ。プレーを続けるか、続けないかの問題で、そのほかには対処のしようがないものだから、トレーナーは呼ばなかったの」
「その後はなんだかパニックになって自滅してしまった。ウィナーを決められる場面でビクビクしながら打ったボールがアウトになったりしてね。とにかく取り乱して、試合には負けてしまったわ」
ジュとの試合で6-3、2-6、5-7の逆転負けを喫したビーナスは、その日の夕方から徐々に足の痛みが増していき、きちんと歩くことすら難しくなる中でMRI検査を受けたところ、ハムストリングの付け根が一部断裂していることが判明したという。2週間後にはワイルドカードとして2年ぶり22回目の「全豪オープン」出場を果たす予定となっていたが、ビーナスは検査結果を知ってメルボルン行きを断念。今はしばらく続くことが予想されるリハビリに専念しているという。
「正直なところ、今回の怪我にはかなり参ったわ。もう何年も怪我と付き合ってきたけど、またリハビリをしなきゃいけないなんてすごくがっかりした。(怪我から)一週間くらい経った頃から医師との予約を取り始めて、この先のことを考えたり、復帰までにどれくらい時間がかかるかを把握しようとするようになった」
「この手の怪我の場合、本格的なリハビリを始める前にその部位を少し休ませる必要があるけど、今はもうリハビリを始めたわ。少しずつしか進められないけど、走る前にまず歩けるようにならないとね。今はだいぶうまく歩けるようになった。近いうちに走れるようになるといいけど、今のところテニスはお休みよ」
「次のステップは、自分の身体に自信が持てるところまで行くこと。自信を失くすほどの怪我をしたことはほとんどないの。この前、膝を怪我した時くらいが初めてかしら。今回の怪我に対しては一から自信をつけないとダメね。でも、必ずそこに到達するわ。健康な身体を取り戻して復帰するために、みんなに支えられながら頑張る。なるべく時間がかからないといいわね」
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2022年「ウィンブルドン」でのビーナス
(Photo by Julian Finney/Getty Images)