
2018年のユースオリンピックで銅メダルを獲得したブラジルの男子テニス選手が、ドーピングで12ヶ月の出場停止処分を科されたことがわかった。米スポーツメディア ESPNなど複数のメディアが報じている。
2018年10月にブエノスアイレスで開催された18歳以下によるユースオリンピック、そのテニス種目の男子シングルスで銅メダルを獲得したGilbert Klier Junior(ブラジル)が、ドーピングで12ヶ月の出場停止処分を科されたと今月6日にインターナショナル・テニス・インテグリティ・エージェンシー(ITIA)が発表した。ITIAはKlier Juniorが故意にドーピングを行ったわけではなく、世界ドーピング防止機構(WADA)が禁止物質に指定しているSARM S-22に汚染されたサプリメントをそうと知らずに摂取したことでドーピング違反を犯したと認めている。しかしながら、ITIAは「ブラジルのテニス選手やほかのスポーツ選手が関与した重大な事件を受けて」彼も相応の責任を負うべきだとした。
何らかの治療に必要な一部の禁止薬物について、ITIAは選手が治療使用特例(TUE)を申請することで使用を認めているが、筋肉の増強を促すSARM S-22は例外が一切認められない禁止薬物の一つとなる。
現在22歳、世界ランキング613位のKlier Juniorは、2016年から徐々にITF(国際テニス連盟)主催の大会やATP(男子プロテニス協会)のチャレンジャー大会に出場していたが、2022年4月にメキシコ・シティのチャレンジャー大会で受けたドーピング検査で陽性に。それによってアメリカのオーランド大会に参加した直後の2022年6月9日から出場が禁止されることに。直後にKlier Juniorはキャリアハイの世界354位を記録したが、半年以上離脱している間に順位は200位以上後退している。昨年12月に言い渡された今回の処分期間は処分が暫定的に科された時点にまで遡って12ヶ月間となるため、今年の6月9日には競技に復帰することができる。それまでKlier Juniorは統括団体の管理下にある大会に出場することはもちろんのこと、出席することも認められない。
ブラジルのテニス選手といえば、現在キャリアハイの世界14位につけるベアトリス・アダッド マイアも、2019年にドーピング違反で10ヶ月の出場停止処分を科された。彼女も禁止薬物が入っていることを知らずに摂取したサプリメントが原因で、ITFはその言い分を認めているものの、たとえ容器に禁止物質の記載がなくても、アスリートはドーピングのリスクがあることを承知の上でサプリメントを摂取するべきだとした。さらに、当時から遡って過去4年の間に元世界21位のトーマス・ベルッチ、元世界258位のイゴール・マルコンデス、元ダブルス世界34位のマルセロ・デモリネルという3人のブラジル人テニス選手が、汚染されたサプリメントによって陽性反応を示していたことから、アダッド マイアはその危険性を「知っていたはず」とITFは主張していた。今回のKlier Juniorのドーピング違反に関してITIAが言及したのもこれらのドービング違反だと思われる。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2019年「全豪オープン」でのもの
(Photo by Andy Cheung/Getty Images)