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キリオス、元恋人への暴行は「意図的ではなかった」ため不起訴に

2022年「楽天ジャパンオープン」で記者会見に臨むキリオス

元恋人から暴行の疑いで告発されていた元世界ランキング13位のニック・キリオス(オーストラリア)が出廷し、不起訴になったことが明らかとなった。英BBCなど複数のメディアが報じている。

27歳のキリオスは昨年の「ウィンブルドン」の開催期間中に、2021年まで交際していたキアラ・パッサリさんに暴行の疑いで告発された。当初は2022年の8月2日にオーストラリアの裁判所に出廷するよう命じられていたが、大会のスケジュールなどを理由に出廷は何度か先延ばしに。最終的には10月4日まで延期することが認められたものの、10月3日から9日にかけて開催された「楽天ジャパンオープン」に出場していたキリオスは、一度も出廷することなくその期日を日本で迎えている。

オーストラリアの法律では、被告人に精神的な障害があり、証拠の提出によってそれが認められれば事件を却下することができることから、キリオスの弁護士は彼が2015年から患っていたメンタルヘルスの問題を裏づける医療記録などを提出するも、裁判所に認められなかった。その結果、今月3日にキャンベラの裁判所にようやく出廷したキリオスは、パッサリさんへの暴行を認めたものの、意図的ではなかったとして有罪判決は免れている。これまで公にされていなかったパッサリさんへの暴行の内容も明らかとなった。

2021年1月10日の夜10時頃、パッサリさんと口論になったキリオスはUberで呼んだ車で彼女のアパートから去ろうとしたところ、パッサリさんが彼の乗る助手席側のドアを開けて発車を妨げたという。車から降りたキリオスは何度かパッサリさんに悪態をつき、彼女の腰に手を当ててドアから腕の長さまで彼女を引き離すと、パッサリさんは一歩下がった。それでも諦める気配のない彼女に対してキリオスが両手で肩を押したところ、彼女は転倒してコンクリートで膝を擦りむいたという。キリオスの弁護士は、そうなる前に彼は何度も穏便に済ませようとしていたと主張している。

パッサリさんはこの件のあった翌月に警察に通報しているが正式な告訴はせず、その後に二人は和解して交際を続けている。ところが関係が破綻するとパッサリさんは2021年12月にキリオスに対する正式な訴えを申し立てた。

判決を下したジェーン・キャンベル判事は当時の行為を「愚かさとフラストレーションによる行為」と表現し、キリオスに対してこう述べている。「当時のあなたは感情の高ぶった状況から抜け出そうとしていた若者で、あの時はその場の勢いで行動したと判断しました。この法廷で私はあなたをほかの若者と同じように扱っています。あなたはたまたまテニスボールを上手に打てる若者というだけのこと」

キリオスは判決後に声明を出し、「この一件が起きた時、私は精神的に良い状態ではなかったが、困難な状況で自分がやったことを深く後悔している。間違ったことをしてしまったのはわかっているし、傷つけてしまったことは心から謝りたい」と述べている。過去にキリオスは「孤独で、憂鬱で、ネガティブで、アルコールやドラッグを乱用し、家族や友人を遠ざけていた」ほど、精神的に参っていた時期があったという。

昨年は自己最高のシーズンを送ったキリオスだが、今季は膝の怪我によりオーストラリアチームの一員として参加する予定だった「ユナイテッドカップ」と、優勝が期待された「全豪オープン」を棄権しており、公式戦ではまだ一度もプレーしていない。1月23日に左膝の外側半月板に負った小さな断裂を治す手術を受けたキリオスは、出廷の際に松葉杖を使っていた。今のところ「ATP1000 インディアンウェルズ」(アメリカ・インディアンウェルズ/3月8日~3月19日/ハードコート)での復帰を目指しているという。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は2022年「楽天ジャパンオープン」で記者会見に臨むキリオス
(Photo by WOWOWテニスワールド)

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