先週の金曜日、元ダブルス世界女王のサーニャ・ミルザ(インド)が、「全豪オープン」で現役最後のグランドスラムの試合に臨んだ。ミルザは18年前の「全豪オープン」でグランドスラムデビューを果たし、2009年には同大会で初のグランドスラム優勝を飾るなど、「全豪オープン」とは深い縁があった。最後のグランドスラムを準優勝で終えたミルザは、涙を流しながらメルボルンでの特別な思い出を振り返った。スポーツウェブメディアSportskeedaが伝えている。
混合ダブルスでペアを組んだミルザとロハン・ボパンナ(インド)は、2023年「全豪オープン」の決勝でルイーザ・ステファニー(ブラジル)/ラファエル・マトス(ブラジル)ペアに敗れ、準優勝で大会を終えた。ミルザはグランドスラムの女子ダブルスと混合ダブルスでそれぞれ3回ずつ優勝を飾り、競技を去ることになった。
決勝は、ミルザのキャリアを締めくくるのに相応しい戦いだった。敗戦は残念だったが、準優勝のトロフィーを手にした36歳のミルザはファンやチームメンバー、そして家族の想いに報いることが出来たと嬉し涙を流した。
メルボルンでのこれまでの思い出を振り返り、ミルザは初のグランドスラム出場となった2005年にセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)と対戦した時のことを話した。
「あと数大会は出場する予定だけれど、私のプロとしてのキャリアは2005年にメルボルンで始まったの。18歳の時にここの3回戦でセレナ・ウイリアムズと対戦した。怖いことにもう18年も前のことよ」とコートで行われたスピーチでミルザは言った。
2009年、ミルザはマヘシュ・ブパシ(インド)と出場した混合ダブルスで「全豪オープン」優勝を飾り、2016年にはマルチナ・ヒンギス(スイス)とペアを組み女子ダブルスも制した。ミルザは「とても特別な」ロッド・レーバー・アリーナでグランドスラムのキャリアを終えられることを光栄に思うと語った。ミルザは「全豪オープン」でさらに3回、混合ダブルスの決勝の舞台に立っている。
「私はここに何度も戻ってこられる栄誉を得られた。何度か優勝も経験し、皆さんの前で素晴らしい決勝を戦うこともできた。ロッド・レーバー・アリーナは私の人生の中でとても特別な場所。私のグランドスラムのキャリアを締めくくるのに、ここ以上に最適な場所はないわ。私を居心地良くさせてくれた皆さんに感謝したい」
セレナと同様、ミルザも出産を経て競技に復帰し成功を収めた選手の一人だ。2018年に息子イズハンくんを出産し2020年に復帰したミルザにとって、2023年の「全豪オープン」は復帰後最高の成績を収めたグランドスラム大会となった。ミルザは、息子が観客席で応援する中グランドスラムの決勝で戦えたことに嬉しさと深い感謝の気持ちを感じたという。
「息子の前で、グランドスラムの決勝でプレーできるなんて思ってもみなかった。4歳の息子がここにいることは、私にとって本当に特別なこと」
現在もダブルスでトップ30にいるミルザは、2月の「WTA1000 ドバイ」で競技生活に別れを告げる。当初は2022年の「WTAファイナルズ」後に引退する予定だったが、8月に怪我をしてしまい9月以降の大会に出られなかった。その後「WTA1000 ドバイ」を最後に引退すると決めたことで、「全豪オープン」準優勝という輝かしい成績を自身のキャリアに加えることとなった。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は最後に優勝した2021年「WTA500 オストラバ」でのミルザ
(Photo by Adam Nurkiewicz/Getty Images)