先月行われた「全豪オープン」で、ディフェンディングチャンピオンであり第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)のラケットが試合中に消えるというハプニングがあった。大会公式Instagramなど複数のメディアが報じている。
ナダルは男子シングルス1回戦で当時世界ランキング38位のジャック・ドレイパー(イギリス)と対戦し、7-5、2-6、6-4、6-1で勝利を収めた。試合は無事に終わったものの、第1セット途中にベンチの周りをウロウロしながら何かを探しているナダルの姿が見られた。トイレ休憩も取っていないのに、さっきまでそばにあったラケットが消えたのだという。ほどなくして、ガットの張り替えをお願いしていたボールボーイが、間違えてこれからナダルが使おうとしていたラケットを持っていってしまっていたことが判明した。
ナダルは状況を冷静に主審に説明し、主審は電話でどこかへと連絡を入れた。その間にナダルは、自分のサービスゲームのためにすでにコートにスタンバイしていたドレイパーに向かって、「ボールボーイがラケットを持っていってしまったんだ」と声をかけている。ナダルはこの状況に焦ったり怒ったりするどころか、終始笑顔を浮かべ、別のラケットをバッグから取り出して何事もなかったかのようにコートへと戻っていった。
その後ラケットは無事に戻ってきたようで、ナダルは試合後にこうコメントしている。「気が散るようなことはなかったよ。おかしな状況になっただけさ。普段からラケットの本数はきちんと把握していて、そのうちの一本のガットを換えてもらうように(ボールボーイに)お願いしたんだ。ところが、彼は僕がこれから使おうと思っていたラケットと取り違えてしまった。これでまた一つ逸話が増えたね。何も問題ないよ」
状況を見守っていた実況者は、「今更ラファの試合で初めて起こることなんて滅多にないけど、これは間違いなく初めての出来事だろう」と解説し、ナダルの冷静な対応を褒め称えた。ファンや選手も同様の反応を見せており、世界3位のジェシカ・ペグラ(アメリカ)は、予期せぬ出来事に見舞われながらも笑顔を見せるナダルの動画に「私だったらパニックになっているわ」とコメントしている。ファンの一人は、ナダルが父親になったことで一段と冷静さが増したのだろうと推察している。
その一方で、「ノバク・ジョコビッチ(セルビア)が(ボールボーイに)変装していたとか?」「こうしている間に消えたラケットがeBayで売られていたりして?」などとジョークを飛ばすファンも見受けられた。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「全豪オープン」でのナダル
(Photo by Will Murray/Getty Images)