• 【マッチハイライト動画】青山／柴原 vs クレイチコバ／シニアコバ［女子ダブルス決勝］

クレイチコバとシニアコバは決勝で第10シードの青山修子（日本／近藤乳業）／柴原瑛菜（日本／橋本総業ホールディングス）ペアに勝利し、昨年の「ウィンブルドン」と「全米オープン」に続いてグランドスラムを3大会連続で制した。これでペアとして7個目のグランドスラムタイトルを獲得した二人が、もしも「全仏オープン」（フランス・パリ／5月28日～6月11日／クレーコート）でも優勝すれば、年をまたいで4大会を続けて制覇したことになり、2009年から2010年にかけてこの偉業を達成したセレナ・ウイリアムズ（アメリカ）とビーナス・ウイリアムズ（アメリカ）のペア以来となる。

だが、そんな二人が優先するのはシングルスの試合だという。「全豪オープン」のシングルスでクレイチコバは第3シードのジェシカ・ペグラ（アメリカ）に敗れて4回戦で姿を消し、シニアコバは第7シードのココ・ガウフ（アメリカ）の前に初戦敗退を喫している。クレイチコバは「二人とも今はシングルスで上達しようと思っているところ。そのうちまた一緒にペアを組むと思うけど、今は目の前の大会一つひとつに集中するつもり」と話している。そんなシングルスの試合へと戻る前に、クレイチコバとシニアコバが圧倒的な強さを誇る二人のプレースタイルの基盤となる要素について語ってくれた。

「青柴ペア」との決勝でもネット際での強さが際立っていたシニアコバは、その秘訣について以下のように説明している。

「ネット際で構えているのが好きなの。私は（反応が）速いし、反射神経もいいと思っているから、相手の軸足と反対側を狙ってポイントを取れた時はすごく嬉しい。だから、クロスを狙うのかステイするのか、自分の次の動きやステップを相手に悟られないように、たくさん動くようにしている。でも、ボールを見ていることが多いわね」

「ネット際の展開はとにかく速い。たくさんの経験を積んできたから反射的にやってしまう動きもあるわ。ボールがどこから飛んでくるかや角度、どんなショットができるかによって変わることもあるけど、クロスボールを打つ時は最初に思いついたことをそのままプレーすることがほとんどね。本当に速いから、その方法が一番うまくいくの」

シニアコバが前にいることが多い一方、主にベースラインを守るクレイチコバは、二人の役割分担について次のように述べている。

「カテリーナができるだけいい形でボレーを決められるように、そのお膳立てをするのが私の役目。サーブを打つ時やベースラインにいる時もそう。彼女の反射神経に負担のかかるようなポジションに追い込まれないように工夫しているわ。ネット際にいる彼女にとってのボールの体感スピードは、後ろにいる私の2倍になるわけだから」

シニアコバによれば、ダブルスではシングルスよりもロブが効果的に働くことも多いそう。「ロブはダブルスのゲームを大きく左右するショットね。流れを変えるのに打たなければならない時もあるわ。ロブによって必要な時間を稼ぐこともできるし、ネット際の相手選手にチャンスを与えないことにもつながる。ロブを上げた後はネット際に出るのがいい選択肢だと思うけど、これはすごく難しいプレー。でも、それができれば主導権を握れるわ」

また、決勝でも何度か採っていたIフォーメーションには多くの利点があるという。まずクレイチコバが「このフォーメーションにはたくさんの利点があるわね。相手からすると、こちらが右と左のどちらに動くかがわからないから、ボレーを決めてポイントを取れる可能性は半々。全体のリズムやサーブを変えることでさらに効果を発揮するわ」と語れば、シニアコバが「ベースラインにいる選手がどっちに行くかを決めることができて、こちらの動きが読めないリターナーは時間をかけざるを得ないわ」と続ける。クレイチコバはさらに、「ダブルスでは動きが活発で、予測不可能なボールの動きやラリーがたくさん起きるわ。打つまでの時間が短いから、シングルスでは見られないような種類のショットもあるわね」とダブルスとシングルスの違いについても解説していた。

（WOWOWテニスワールド編集部）

※写真は「全豪オープン」優勝をジャンプで祝うクレイチコバとシニアコバ（左より）
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)