名コーチ、パトリック・ムラトグルー氏が「素晴らしいファイター」と呼ぶ17歳の新星リンダ・フルビルトバ(チェコ)は、2022年に躍進を遂げた若手選手の1人だ。昨シーズンは「全米オープン」でグランドスラム本戦デビューを果たすと共に初勝利を挙げ、ツアーでは初めて優勝トロフィーを手にした。今年は「全豪オープン」で4回戦進出とベテラン顔負けの結果を残して、幸先の良いシーズンのスタートを切った。そんな今後注目のフルビルトバについて、米テニスメディアBaselineが説明している。
プラハ生まれのフルビルトバは、妹のブレンダ・フルビルトバ(チェコ)(今年の「全豪オープン」本戦出場選手の中で最も若い15歳)と共に2017年からムラトグルー・アカデミーでトレーニングを積んでいる。フルビルトバは以前から高い評価を得ており、2021年4月に「WTA250 チャールストン」で当時15歳ながら準々決勝へ進出した経験を持つ。
18回のグランドスラムシングルス優勝を誇る女子テニス界のレジェンド、クリス・エバート(アメリカ)はフルビルトバについて、「彼女は私のアカデミーで練習したわ。そしてとても素晴らしかった。プロと数セットプレーして、自信とスキルを見せていたの。彼女は持っているわね」と褒めたたえた。
2022年に入りフルビルトバはさらに成長を見せた。3月にワイルドカード(主催者推薦枠)で出場した「WTA1000 マイアミ」で、世界66位のダンカ・コビニッチ(モンテネグロ)、第20シードのエリース・メルテンス(ベルギー)、第12シードのビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)を破り4回戦に進出。その後「ビリー・ジーン・キング・カップ」にチェコ代表として出場した後、「全米オープン」でグランドスラム本戦デビューを飾った。だが、フルビルトバの最も大きな成功は、グランドスラムシーズンが終わった後に訪れた。
「WTA250 チェンナイ」に出場したフルビルトバは、2人のシード選手を倒し、決勝に進出。決勝では第3シードのマグダ・リネッテ(ポーランド)を4-6、6-3、6-4で破り、17歳141日でWTAツアー初タイトルを獲得。これは、2021年にココ・ガウフ(アメリカ)が17歳70日でWTAツアーのタイトルを獲得して以来最年少のこと。また決勝を含む5試合のうち3試合は相手に1セット奪われてからの逆転勝利と、粘り強さと持久力も見せた。この大会での成績により、フルビルトバは初めてトップ100入りを果たした。
2回目のグランドスラム本戦となった今年の「全豪オープン」では、1回戦で世界160位のジェイミー・フォーリス(オーストラリア)と対戦。第1セットでベーグルを決めるなど、安定したプレーで相手を圧倒した。2回戦では、昨年ベスト8のカイア・カネピ(エストニア)を倒し勝ち上がったキンバリー・ビレル(オーストラリア)に対し約1時間半でストレート勝ち。続く3回戦では、第2シードのオンス・ジャバー(チュニジア)を破る金星を挙げた元世界14位のマルケタ・ボンドルソバ(チェコ)に7-5、2-6、6-3で競り勝った。4回戦では元世界19位のドナ・ベキッチ(クロアチア)に敗れたものの、「全豪オープン」初参戦で2週目に残るという快挙を成し遂げた。
ムラトグルー氏はフルビルトバについて次のようにコメントしている。「多くの選手が世界一になりたいと言うけれど、心の底からそれを信じている選手はほんの一握りだけ。そしてリンダはその1人だと思う。彼女が勝つのは、相手がミスをするまで前に出て、打って打って打ち続けるからなんだ。彼女の持つ大きな長所は、メンタルの部分。信じられないほどの競争心を持った選手だよ。素晴らしいファイターなんだ」
「彼女には根性がある。心から望んでいるんだ。テニスコートに足を踏み入れるたび、100%の力を出し切る。それらはすべてメンタルの強さだ。精神面では、彼女は既に必要なものを持っていると思うよ」
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「全豪オープン」でのフルビルトバ
(Photo by Robert Prange/Getty Images)
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