「全豪オープン」はそのシーズンを活気づける重要な大会だ。今年の大会の女子シングルス決勝では、第5シードのアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)と第22シードのエレナ・ルバキナ(カザフスタン)がタイトルをかけて争う。グランドスラムで初めて決勝の舞台にたどり着いたサバレンカと昨年の「ウィンブルドン」女王であるルバキナの好勝負に期待したい。今回は、同大会の女子シングルス決勝戦ベスト5を紹介する。テニス関連ニュースサイトTennis Headが伝えている。
1:1982年 クリス・エバート(アメリカ)対マルチナ・ナブラチロワ(アメリカ) 6-3、2-6、6-3
エバートとナブラチロワは、グランドスラム決勝で6度目、「全豪オープン」では2年連続での顔合わせとなった。エバートは1975年から1980年の「全豪オープン」を欠場し、復帰戦となった1981年に決勝に進出したがナブラチロワに敗れた。
この時点でグランドスラム12大会で優勝を飾っていたエバートだが、「全豪オープン」でのタイトルは得たことがなかった。ナブラチロワはそれまでグランドスラムで3度トロフィーを掲げ、1981年の「全豪オープン」が最も新しいタイトルだった。
1982年の「全豪オープン」でエバートは前年のリベンジを果たし、キャリアグランドスラムを達成。1981年から1985年までの5年間、「全豪オープン」女子シングルスのトロフィーを獲得したのはエバートとナブラチロワだけだった。エバートが2回、ナブラチロワが3回優勝している。エバートとナブラチロワは1985年にもう一度決勝で顔を合わせ、ナブラチロワが優勝した。
2:1993年 モニカ・セレシュ(アメリカ)対シュテフィ・グラフ(ドイツ) 4-6、6-3、6-2
1993年の「全豪オープン」決勝は、セレシュとグラフの2強時代を象徴するような戦いだった。グラフは1988年から1990年まで「全豪オープン」で3年連続優勝を飾り、一方のセレシュは1991年から1992年に2年連続優勝を飾っていた。
第1位シードのセレシュは準々決勝まで1セットも落とさず、勝ったセットでは相手に2ゲーム以上与えない圧倒的強さを見せた。セレシュは準決勝ではジュリー・アラール(フランス)に最終セットまで持ち込まれたが、準決勝ではガブリエラ・サバティーニ(アルゼンチン)に6-1、6-2で勝利し、決勝へ駒を進めた。
第2シードのグラフも準々決勝で第7シードのジェニファー・カプリアティ(アメリカ)を、準決勝で第4シードのアランチャ・サンチェス ビカリオ(スペイン)をストレートで下し、決勝に進出。決勝でグラフは自信に満ちた様子で試合の序盤を支配、第1セットを奪った。だが粘り強さを発揮したセレシュが試合の流れを引き寄せ、逆転に成功。セレシュは「全豪オープン」3連覇を達成し、自身8回目のグランドスラム優勝を飾った。
翌年の1994年はグラフが優勝を飾り、1988年から1994年はグラフとセレシュのいずれかが大会を制覇することとなった。
3:2003年 セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)対ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ) 7-6(4)、3-6、6-4
20世紀に入り、ウイリアムズ姉妹が女子テニス界を支配するようになった。セレナとビーナスは「全米オープン」決勝で2回(2001年、2002年)、そして2002年の「全仏オープン」と「ウィンブルドン」決勝で既に4回顔も顔を合わせていた。
2001年の「全米オープン」はビーナスに軍配が上がったが、その後の3試合は全てセレナが勝利していた。そして今回ベスト5に選ばれた2003年の「全豪オープン」は、姉妹ともに同大会初の決勝進出となった。また2000年にリンゼイ・ダベンポート(アメリカ)、2001年と2002年にカプリアティが優勝していたため、4年連続でアメリカ人女子による「全豪オープン」制覇が確定していた。
ビーナスは決勝まで1セットも落とさず易々と勝ち進んだ。一方のセレナは1回戦、そして第4シードのキム・クライシュテルス(ベルギー)と対戦した準決勝で最終セットまでもつれた試合を制して決勝へ辿り着いた。
第1シードのセレナ対第2シードのビーナスの対決となった決勝戦。第1セットから互いに譲らずタイブレークにもつれ込み、観客は試合が接戦になることを覚悟した。だが最終的にセレナが姉に対するグランドスラム決勝での連勝記録を4に伸ばし、自身5度目のグランドスラム優勝を飾った。
4:2010年 セレナ対ジュスティーヌ・エナン(ベルギー) 6-4、3-6、6-2
7年後、セレナは「全豪オープン」での優勝数を4回まで伸ばしていた。一方エナンも、2004年「全豪オープン」での優勝を含めて7度グランドスラムを制していた。
2008年5月に一度引退し、2009年末に現役復帰したエナンはその間にグランドスラム7大会を欠場した。2010年「全豪オープン」にワイルドカード(主催者推薦枠)として出場したエナンはブランクを感じさせないプレーぶりで勝ち進み、決勝まで進出。
セレナは、第7シードのビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦した準々決勝で1セット失ったのみで決勝にたどり着いた。エナンは善戦したが、世界女王のセレナが圧倒的な実力を示し、フルセットで決着がついた。2年連続優勝を飾り5度目の全豪女王となったセレナはグランドスラム優勝回数を12に伸ばした。
5:2019年 大坂なおみ(日本/フリー)対ペトラ・クビトバ(チェコ) 7-6(2)、3-6、6-4
2018年の「全米オープン」決勝で、対戦相手のセレナが観客席のコーチからコーチングを受けたとして警告を受けたことをきっかけに波乱の一戦となったこの試合に勝利して、全米女王となった大坂は一躍スター選手の仲間入りを果たした。一方、2度全英女王となった経験を持つクビトバは、最後に「ウィンブルドン」を制した2014年以降グランドスラムの準々決勝以上に進めていなかった。
大坂の決勝までの道のりはやや苦しいものだった。6試合のうちストレート勝ちできたのは3試合のみ、3回戦でシェイ・スーウェイ(台湾)、4回戦でアナスタシア・セバストワ(ラトビア)、そして準決勝でカロリーナ・プリスコバ(チェコ)に最終セットまで粘られた。対するクビトバは1セットも落とさず勝ち進み、体力を温存しながら決勝への切符を掴んだ。
第1セットからタイブレークにもつれ込む接戦となったが、要所で力強さを発揮した大坂がグランドスラム2大会連続優勝を成し遂げた。この偉業を達成した女子選手は、2001年のカプリアティ以来初となる。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2021年「全豪オープン」での大坂なおみ
(Photo by Darrian Traynor/Getty Images)
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