• 【実際の動画】スタジアムの外でプーチン大統領の顔入りロシア国旗を掲げる観客

• 【実際の写真】最前列で「Z」と書かれたTシャツを着ている男性

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、ロシアと同盟国ベラルーシの選手たちは今シーズンも引き続き中立選手として大会に参加している。今年の「全豪オープン」では当初、混乱を招かないという条件のもと、観客がロシアとベラルーシの国旗を会場に持ち込むことを許可していた。ところが大会初日の16日、世界ランキング95位のカテリーナ・バインドル（ウクライナ）と世界110位のカミラ・ラヒモワ（ロシア）が対戦した女子シングルス1回戦で、観客がロシア国旗を掲げて騒動が起きたことを受けて大会側は決定を覆し、両国の国旗の持ち込みは禁止されることに。

だが、テニスジャーナリストのTumaini CarayolがTwitterに投稿した動画には、ジョコビッチとルブレフによる準々決勝が行われた25日の夜、ロッド・レーバー・アリーナの外でロシアの国旗を掲げながら「セルビア！ロシア！」と繰り返し叫ぶ数人の観客が映っており、プーチン大統領の顔が描かれた国旗も見られた。オーストラリアテニス協会（TA）は声明の中で、「4人の観客が不適切な旗やシンボルを掲げ、警備員を脅した。ビクトリア州警察が介入し、尋問を続けている。我々は参加者の安全を第一に考えており、セキュリティや当局と密接に連携している」と述べている。この4人がCarayolの動画に映っていた観客と同じ人物であるかはわかっていないが、警察の広報担当者は4人がその場から強制退去させられたと話している。

今大会では国旗と同様に、ウクライナ侵攻への支持を示す「Z」のシンボルも禁じられているが、25日の準々決勝では大きく「Z」と書かれたTシャツを着用した男性も観客席の最前列で目撃されており、試合中にオフィシャルが声をかけている。ウクライナテニス連盟がTwitterに投稿した写真から推察するに、この男性は別のTシャツを上から着ていたため、注意されずに会場に入ることができたようだ。2021年に現役を引退し、侵攻が始まった直後に母国の予備軍に加わった元世界13位のアレクサンドル・ドルゴポロフ（ウクライナ）は以前からこういった不適切な言動に対して発言しており、今回もTwitterに「少なくともオーストラリアで開催される大会では、こいつは一生入場禁止になるんだよな、@Australian Open？」と投稿している。

ウクライナ侵攻が始まってから11ヶ月が過ぎた今も先行きが見えない中、昨年の「ウィンブルドン」でロシアとベラルーシの選手を締め出したオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ（AELTC）は今年の対応を迫られている。シーズン最初のグランドスラムである「全豪オープン」では上述のようなトラブルが起きた一方、ロシアとベラルーシの選手は活躍を見せている。男子シングルスではベスト8のルブレフのほかに第18シードのカレン・ハチャノフ（ロシア）が準決勝進出を決めており、女子シングルスでは第5シードのアリーナ・サバレンカ（ベラルーシ）と第22シードのビクトリア・アザレンカ（ベラルーシ）がベスト4に勝ち進んだ。二人が準決勝で勝てば、グランドスラムで初めてベラルーシ人選手による決勝戦が実現する。

連日「全豪オープン」の会場を訪れているレジェンドのビリー・ジーン・キング（アメリカ）は、今年の「ウィンブルドン」で両国の選手が出場することを支持すると改めて強調した。「ほかの大会と同じように対応するだけのこと。人生はあまりにも短いわ。彼らも出場させてあげて、賞金とランキングポイントを獲得する機会を与えてあげなければ」

（WOWOWテニスワールド編集部）

※写真は2022年「全豪オープン」男子シングルス決勝中に掲げられたロシア国旗
(Photo by James D. Morgan/Getty Images)

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