「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月16日~1月29日/ハードコート)の本戦開幕を前に、大会ディレクターが元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を攻撃したファンは退場になると警告した。英Daily Mail紙など複数のメディアが報じている。
新型コロナワクチンを打っていないジョコビッチは昨年1月にオーストラリアから強制送還されたが、11月には取り消された入国ビザが復活し、今大会ではワクチン未接種のまま問題なく入国することができた。そのことによって、長きにわたって厳しい規制を強いられてきたオーストラリア国民の反発が起きるのではと懸念する向きもあったが、1月初めに行われた「ATP250 アデレード1」では入場の際に観客からノバクコールが起き、歓迎ムードで迎えられたジョコビッチはこの大会で早速シーズン最初のタイトルを獲得している。
それでも「全豪オープン」の大会ディレクターを務めるクレイグ・タイリー氏はジョコビッチに対する観客の攻撃的な態度を懸念しているようで、「ほかの観客の楽しみを邪魔するような者は“一発退場”となる。そんな人は会場にいてほしくない。会場に近づけば、こちらから追い出すことになる」と豪Herald Sun紙に述べている。
そんなタイリー氏の発言に対して、2014年の「全豪オープン」で優勝している元世界ランキング3位のスタン・ワウリンカ(スイス)が苦言を呈した。「観客が度を超えるようなことをしたら退場させられるべきだけど、基本的には好きにしていいはずだ。毎年そうじゃないか。それはテニスをはじめ、どんなスポーツでも同じだ。むしろ、そうであってほしいね。昨年はノバクをめぐっていろいろな間違いがあったと思うけど、観客はブーイングなんてしないと信じているよ。きっと彼を歓迎して素晴らしい大会になるはずだ」
第4シードとして出場するジョコビッチが、今大会で自身が持つ9回の大会最多優勝記録を更新し、22個目のグランドスラムタイトルを手にして歴代1位のラファエル・ナダル(スペイン)と並ぶかが注目される。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2022年「ATP1000 ローマ」でのワウリンカ
(Photo by Paolo Bruno/Getty Images)