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2022年のライバル関係:アルカラス対シナー「対戦するのはいつも光栄」

2022年「ATP250 ウマグ」でのシナー(左)とアルカラス

素晴らしいライバル関係はスポーツを一層盛り上げる。今回は2022シーズンに特に注目されたライバル関係の1つ、カルロス・アルカラス(スペイン)とヤニク・シナー(イタリア)の対戦について解説する。ATP(男子プロテニス協会)公式ウェブサイトが伝えている。

2人が初めて対戦したのは2021年11月「ATP1000 パリ」でのこと。この時はアルカラスが7-6(1)、7-5で勝利した。その後2022年に3回対戦した2人の間には、お互いへの尊敬の念の上に成り立つ正真正銘のライバル関係が築かれた。特に「全米オープン」準々決勝は手に汗握る接戦となり、同大会で最も遅くに終わった試合として記録を更新した。それでは、2022年に彼らが戦った3つの試合を振り返ってみよう。

■1試合目:「ウィンブルドン」4回戦 勝者:シナー 6-1、6-4、6-7(8)、6-3
「ウィンブルドン」のセンターコート設立100周年を祝ったセレモニーが行われたすぐ後に、シナーとアルカラスは未来のテニス界の姿を観客に見せることになった。シナーとアルカラスの「ウィンブルドン」初顔合わせは、対戦する選手の年齢の合計が1985年以来最も若い組み合わせとなった。

2人にとって初のセンターコートでの試合となったこの4回戦は、シナーが素晴らしいショットの数々により試合をコントールした。しかし、第3セットではシナーがストレート勝ちのチャンスを2度逃し、アルカラスがタイブレークを制した。4つ目のセットポイントをものにしたアルカラスは観客の声援にラケットを上げて応えた。

試合がより激しさを増す中、第4セットの第1ゲームはシナーがサービスゲームをキープし、アルカラスの良い流れを断ち切ることに成功する。さらに1つブレークを奪ったシナーが自身3度目のグランドスラム準々決勝進出へ大きくリードした。シナーは、5-3で迎えたアルカラスのサービスゲームでマッチポイントを3度握りながらこれを逃したが、続く自身のサービスゲームでするどいフォアハンドショットを放った。これがこの試合中35本目のウィナーとなり、3時間35分の試合に決着が着いた。

「カルロスはとてもタフな対戦相手で、とてもいい人なんだ。だからいつも彼と対戦するのはすごく光栄だよ」とコートで行われた勝者インタビューでシナーは語った。2人がお互いを尊敬しているのは傍目でも明らかだった。シナーがドロップショットを追いかけながら転倒してしまったときも、アルカラスはすぐにネット越しに相手の無事を確認していた。

「マッチポイントを握った後にまだプレーを続けなければいけない時は辛いよ」とシナーは続けた。「僕は自分のベストを尽くした。これはテニスの一部、試合の一部なんだよ」

■2試合目:「ATP250 ウマグ」決勝 勝者シナー 6-7(5)、6-1、6-1
シナーはクロアチアでアルカラスに勝利し、2022年唯一のタイトルを手にした。第1セットを紙一重の差で失ったが、シナーはうまく気持ちを切り替えその後の2セットではアルカラスを圧倒した。1ヶ月で2度目の対戦となったが、シナーは「ウィンブルドン」に続き勝利を収めた。

スコアからは分からないかもしれないが、シナーはこの試合に勝利するために多大な努力を求められた。シナーは重要な場面で集中力を失わず、アルカラスの9回のブレークチャンスをすべて凌ぎきった。そして、アルカラスに対して「解決策を見つけた」シナーがうまく流れを掴むことに成功。特にリターンでは果敢に攻撃をし、アルカラスのリズムを上手く崩した。

「もちろんとても嬉しいよ」と自身6度目のツアー大会優勝(クレー大会では初優勝)を決めたシナーは語った。「不運な時もあり厳しいシーズンを過ごしていたからね。でもこれまで良いプレーができるように、良い選手になれるように努力してきた。それがようやく報われて、トロフィーを掲げることができて最高だよ。でも改善しなければならないことが多くあることも自覚してる。まだ成長過程なんだ」

■3試合目:「全米オープン」準々決勝 勝者アルカラス 6-3、6-7(7)、6-7(0)、7-5、6-3
2022シーズン最高の試合との呼び声も高いこの試合で、シナーとアルカラスは「全米オープン」史上最も遅くまでプレーすることになった。5時間15分のシーソーゲームの中で、不変だったのは2人の選手によるトップクラスのテニスだった。

アルカラス、シナー共に素晴らしい身体能力とパワーを見せ、実力はほぼ互角。観客も息を呑むラリーが続いた。互いにベースラインからのパワフルなショット、信じられないような角度で決まるショット、意表を突く巧みなドロップショットを次々と繰り出し、アーサー・アッシュ・スタジアムを沸かせた。

第3セットのタイブレークで1ポイントも与えずセットを奪ったシナーは、セットカウント2-1で試合をリードしていた。シナーは勢いを維持したまま第4セットに入り、すぐにアルカラスをブレーク。しかし、アルカラスが第10ゲームでシナーのマッチポイントを阻止したのをきっかけに復調した。最終セットでもシナーにリードされたアルカラスだが、第6ゲームから4ゲーム連取を達成し勝利を手にした。この試合は、当事者の2人だけでなく、2人の素晴らしいプレーの数々を目撃したファンたちにとっても長く記憶の中に残る戦いとなった。

「正直、どうやってやり遂げられたのかまだ分かってないんだ」とアルカラスは語った。「自分を信じることが必要さ。僕は自分の力を信じていた。試合を決めきるのは大変だったよ。冷静でいようとしたけど、あの瞬間は難しかったな」

「午前3時にこのコートで受け取ったエネルギーは信じられないほど素晴らしいものだった。他の大会では、みんな家に帰って寝てしまうんだろうな。でも彼らはコートで応援してくれた。信じられないよ」

それと同じくらい信じられなかったのは、アルカラスとシナー両者ともにどちらがとってもおかしくないポイントにとてつもないエネルギーを注いでいたことだった。きっと2人はこれからも長きに亘り良いライバル関係を築いていくことだろう。2023年シーズンではどんな試合を繰り広げるのか、目が離せない。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は2022年「ATP250 ウマグ」でのシナー(左)とアルカラス
(Photo by Jurica Galoic/Pixsell/MB Media/Getty Images)

WOWOWテニスワールド編集部

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