フェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)は今シーズン、キャリアを次のレベルへと進めた。「ATP500 ロッテルダム」でツアー初優勝を果たすと、その後「ATP250 フィレンツェ」、「ATP250 アントワープ」、「ATP500 バーゼル」でさらに3つのタイトルを獲得し、世界ランキング6位にまで上昇。現在22歳のオジェ アリアシムは国別対抗戦でも輝かしい結果を残し、年初の「ATPカップ」とシーズン末の「デビスカップ」の両方で、カナダチームを優勝に導いた。
だがこうしたテニスの結果だけが彼の功績ではない。2020年以来、オジェ アリアシムはツアーの大会で獲得する1ランキングポイントごとに5ドルを慈善事業に寄付しており、さらにスポンサーであるBNPパリバがその額を3倍に増やしている。これまでの寄付総額は32万9720ユーロ(約4816万円)にのぼり、若者の教育に使われている。米テニスメディアBaselineなどが報じている。
オジェ アリアシムは先日、父の母国であるトーゴへの旅から戻ってきた。オジェ アリアシムの寄付はトーゴの10の村での事業に分配され、2740人の住人への支援に使われてきた。オジェ アリアシムは、これまでに建てられたものを見るためにトーゴ北部を巡った。
「ほとんど形になっていたよ。いいものを見られた。教室のリノベーションや、学校の備品。勉強用の備品だけじゃなく、スポーツ用品もね。僕にとって大事なことは、小さい子どもたちだけじゃなく、学校を出た17歳から20歳の支援対象者にも会うことだった。事業のおかげで、彼らは今、実習を受けているんだ」とオジェ アリアシムは語った。
SNSに投稿された動画を見ると、オジェ アリアシムがトーゴの子どもたちの歌に合わせて手を叩いたり、子どもたちに囲まれて踊ったりする様子が収められている。さらに、サッカーのコーチとして子どもたちに正しいストレッチを実演して見せ、一緒にサッカーをして自分でゴールまで決めたらしい。
オジェ アリアシムは、自分が見たものについて、コート上での勝利と同じくらい満足したようだ。「投資してきたものが効果を生んでいることを誇らしく思う。僕とBNPパリバが投資してきたものがね。「僕はプロテニス選手としての自分のキャリアをもっと意味のあるものにしたい。テニスは素晴らしいスポーツで、たくさんのことを教えてくれたし、今も教え続けてくれている。特に、勤勉さや忍耐、謙虚さといったことを。こういう価値をコートの外に持ち出して、いい影響をもたらしたい」
「僕はテニス選手だけれど、世界市民の一人でもあるからね。若い人たちの未来に貢献したい。特に、不利な状況にある人たちに。テニスを通してそれを実行できて嬉しいよ」
その後、恋人とアイスランドでの休暇を楽しんだオジェ アリアシムが、次に出場を予定しているのは「ATP250 アデレード1」(オーストラリア・アデレード/1月1日~1月8日/ハードコート)。元世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)に次いで第2シードでの出場予定だ。
※為替レートは2022年12月16日時点
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2022年「ATPカップ」でのオジェ アリアシム
(Photo by Andy Cheung/Getty Images)