今年9月に行われた「レーバー・カップ」を最後に、ロジャー・フェデラー(スイス)は24年間の現役生活を終えた。約四半世紀の間プロテニス界の第一線で活躍を続けたフェデラーは、世代や競技を超え、世界中の人々から愛される存在となった。今回、誰もがこの目で見たいと願ったフェデラーの引退試合のチケットに、1万5,000ポンド(約250万円)を支払った人がいたことが明らかになり話題となっている。仏テニスメディア Tennis Majorsが伝えている。
9月にロンドンのO2アリーナを訪れたファンの中には、フェデラーの試合を見るために1万5,000ポンドを支払った人がいた。これは、現在開催中の「FIFAワールドカップ カタール2022」決勝チケットの市場での最高額と比べると2倍以上だ。
今大会はサッカー界のスーパースターであるリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドをワールドカップの舞台で見られる最後の大会だと言われているが、それでもフェデラーの試合ほど高額にならないと考えられている。ただし決勝の対戦カードによっては、今後も値段が変動する可能性もあるだろう。
テニスをはじめスポーツ大会でのホスタビリティをコーディネートするVision4Sport社の調べによると、フェデラーのチケットは世界中のスポーツ大会の中でも特に高額の部類に入るという。
同社のディレクターであるクリス・ニューボールド氏は、フェデラーのチケットがワールドカップ決勝より価値があると見なされた要因は複数あると述べた。「フェデラーが出場する試合にお金を払ったら、フェデラーを見られることは予め分かっていますよね。ところが、ワールドカップでメッシを見ようとお金を払っても、怪我をしているかもしれない。試合にフル出場するかも分からない。チームを見るためにお金を払っているのであって、個人を見るためではないんです」
さらに、ニューボールド氏は次のように続けた。「開催国やそこでの生活費の不安、そしてその場所に行って実際に何ができるかという不確実性が見受けられ、そういった点も需要が大きく落ち込む原因となっています」
「人々がチケットを買うのを躊躇すると、株式市場のようになります。ワールドカップの準決勝が終わってすぐ、24時間から36時間の間に決勝のチケットの値段は最大6,000ポンド(約100万円)まで上がるでしょう」
最後に、世界的なインフレとコストの高騰によりスポーツ大会のチケット代が上昇している現状にも触れた。「昨年以降、ワールドカップだけではなく私たちが関わるほぼすべての大会でチケット代が上がっています。モナコのF1グランプリを例にすると、2022年のチケットより2023年は50%近く値上がりすると見込んでいます」
「全体的にインフレが影響していると思います。ワールドカップは4年に1回なので、常に前回大会から値段は高くなってしまうのです」
※為替レートは2022年12月9日時点
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「レーバー・カップ」で胴上げされるフェデラー
(Photo by Julian Finney/Getty Images for Laver Cup)