テニス界のスーパースター、ロジャー・フェデラー(スイス)は9月に行われた「レーバー・カップ」で競技人生の幕を閉じた。今回、引退前のフェデラーとの個人的な会話の中で、ATP(男子プロテニス協会)の会長がテニスにずっと関わり続けてほしいと懇願していたことが明らかになった。英Express紙が伝えている。
フェデラーは多くのファン、そして選手や競技関係者に惜しまれながら24年間のキャリアを終えた。怪我の手術やリハビリのため14ヶ月ツアーを離れていたフェデラー。約2ヶ月前に復帰を果たしたものの、ラファエル・ナダル(スペイン)とペアを組み出場した「レーバー・カップ」のダブルス戦がキャリア最後の試合となった。
引退発表の文章の最後に、フェデラーはこう綴っていた。「最後は、テニスへ。大好きだよ。決して君から離れたりはしない」
輝かしいキャリアの中で通算103回の優勝を飾ったフェデラーは、まだ引退して日が浅いためか今のところテニスに深く関わる活動はしていない。ATP会長であるアンドレア・ガウデンツィ氏はフェデラーのこの最後の一文について、「彼が最後に言ったことはとても素敵だと思うよ」とコメント。そして、「レーバー・カップ」でフェデラーと個人的に会話したことを明らかにした。
「“レーバー・カップ”で彼と話して、テニスから離れないで欲しいとお願いしたんだ。彼はATPツアーが大好きなんだ。正直に言うよ。彼はテニスを愛しているし、関わり続けてくれると約束してくれたよ」
ただし、引退後の人生でどのような役割を果たしたいかを決断するのに、フェデラーにもう少し時間が必要なことは確かだ。ガウデンツィ氏もこれを認めている。だが、ガウデンツィ氏はフェデラーがテニス界に戻ってくることを確信しているようだ。「彼はただ、もう少し考える時間が必要なんだ。どのような形にせよ、ロジャーがテニスと深く関わり続けることは確かさ」
そしてガウデンツィ氏はなぜフェデラーがテニス界に関わることが大事なのかを説明した。一例として、フェデラーとテニスがほぼ同意語になっていることを挙げた。
「私たちには、彼のような人が必要なんだ。何というか、ロジャーがテニスのためにしてくれたことを説明できる言葉はないと思う。私がテニス選手であったことを誇りに思うのは、こういうことがあるからなんだよ」
「街中で会う人と話すと、“あなたは何をしていたの?”、“テニス選手だったんだ”、“ああ、ロジャーがプレーしていたスポーツだね”と言われることがよくある。そうやって識別されているんだ。素晴らしいことだよ。私たちはできる限りのことをして、彼との関係を保つようにするつもりだ」
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2021年「全仏オープン」でのフェデラー
(Photo by Tim Clayton/Corbis via Getty Images)