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テニス界の生きるレジェンド、フェデラーのベストマッチ10選!

2008年「ウィンブルドン」でのフェデラー(左)とナダル

2022年9月の「レーバー・カップ」を最後に、テニス界のレジェンド選手ロジャー・フェデラー(スイス)が引退した。グランドスラムで20回の優勝を誇ったフェデラーは、多くの大会で手に汗握る熱戦を演じてきた。その中でも特にファンの記憶に残る試合10選を紹介する。テニス関連ニュースサイトTennis Headが伝えている。

10. 2012年「ウィンブルドン」決勝 4-6、7-5、6-3、6-4でマレーに勝利
この試合はフェデラーとアンディ・マレー(イギリス)双方にとって重要な意味を持っていた。フェデラーはピート・サンプラス(アメリカ)の持つ「ウィンブルドン」最多優勝記録に並ぶ、7度目の優勝を狙っていた。一方のマレーは、76年ぶりのイギリス人男子によるグランドスラム制覇を目前にしていた。

イギリス全土の期待を背負っていたマレーだが、試合の序盤はプレッシャーに負けることなく力強いプレーを見せて第1セットを取った。第2セットでもブレークチャンスを握ったが、フェデラーが阻止。逆にブレークを決めたフェデラーが第2セットを奪い返す。

第3セットは途中で雨が降り試合が一時中断、「ウィンブルドン」の決勝で初めてセンターコートの屋根が閉められ、そこからフェデラーの猛攻は止まらなかった。最後はマレーのパッシングショットがアウトになり、フェデラーはコートにくずおれた。フェデラーはグランドスラム17回目、「ウィンブルドン」7回目の優勝を飾り、マレーの優勝は翌年までお預けとなった。同時にフェデラーはノバク・ジョコビッチ(セルビア)から世界王者の座を奪還し、世界ランキング1位在位週も286週となってサンプラスに並んだ。

9. 2007年「ATP1000 ハンブルク」決勝 2-6、6-2、6-0でナダルに勝利
この時点で、フェデラーとラファエル・ナダル(スペイン)の対戦成績は7勝3敗でナダルがリード。クレーでは5勝0敗とナダルが大きく水をあけていた。またナダルは2005年の「ATP1000 モンテカルロ」以降、クレーで81試合連続勝利を挙げていた。これは1つのサーフェスでの記録としてはオープン化以降最多であり、この間に6つのマスターズ大会と2度の「全仏オープン」を含む13大会で優勝を飾っていた。

二人の11度目の対戦となったこの試合では、まずナダルが6-2で第1セットを先取。このままナダルがクレーの連続勝利記録を82に伸ばすかと思われたが、フェデラーが粘り強さを見せて続く14ゲームのうち12ゲームを奪い、クレーの王者ナダルに土をつけた。

8.  2011年「全米オープン」準決勝 6-7(7)、4-6、6-3、6-2、7-5でジョコビッチが勝利
きっとフェデラーはこの試合を忘れたいに違いない。ジョコビッチとフェデラーは、5年連続で「全米オープン」で顔を合わせた。それまでの対戦成績は3勝1敗でフェデラーがリードしていたが、前年の2010年はジョコビッチに軍配が上がっていた。この時、フェデラーは2度マッチポイントを握りながらジョコビッチに敗れていた。

フェデラーが2セットを先取し、試合の流れは決まったかに見えた。ところが前年の試合と同じく、ジョコビッチはフェデラーのマッチポイントを2度しのいで逆転勝利。決勝も制して、初の「全米オープン」優勝を飾った。

7. 2006年「ATP1000 ローマ」決勝 6-7(0)、7-6(5)、6-4、2-6、7-6(5)で ナダルが勝利
前述したように、フェデラーは2005年から2007年まで続いたナダルのクレーでの連勝記録を止めることになるが、この時はそうならなかった。決勝の舞台で二人が顔を合わせた時、すでにナダルはクレーで52連勝していた。そしてもちろん、ナダルは前年も同大会で優勝していた。

フェデラーにとっては2回目の「ATP1000 ローマ」での決勝進出で、前回は2003年にフェリックス・マンティーヤ(スペイン)に敗れていた。ナダルとの決勝は、互いに主導権を奪い合うシーソーゲームとなった。最終セットで4-1とリードしたフェデラーだったが、すぐにナダルがブレークバックを決め、5-6でナダルのサービスゲームとなった。フェデラーは15-40でマッチポイントを握ったが、フォアハンドのエラーが2つ重なりチャンスを棒に振った。

タイブレークでフェデラーはナダルにマッチポイントを与えてしまい、ナダルはこのチャンスを逃さなかった。この後、2013年にナダルに、そして2015年にジョコビッチに決勝で敗れたフェデラーは、「ATP1000 ローマ」で優勝を飾ることはなかった。

6. 2011年「全仏オープン」準決勝 7-6(5)、6-3、3-6、7-6(5)でジョコビッチに勝利
フェデラーが再び連続記録を止めた。2011年のジョコビッチは自身2度目の「全豪オープン」優勝に始まり、「ATP500 ドバイ」、「ATP1000 インディアンウェルズ」、「ATP1000 マイアミ」、「ATP250 ベオグラード」、「ATP1000 マドリード」、「ATP1000 ローマ」と7大会連続優勝を飾っていた。

「全仏オープン」の準決勝でフェデラーと対戦するまでにシーズン成績を41勝0敗としていたジョコビッチ。この間にフェデラーはジョコビッチに3回敗れていた。だがこの試合ではフェデラーが勝利し、ジョコビッチにとって2011年シーズン初めての敗戦となった。

「まるで大会に優勝したような気分だったよ。そうはならなかったけどね」と当時フェデラーは語った。決勝に進出したフェデラーは、ナダルに敗れて準優勝となった。

5. 2009年「全豪オープン」決勝 7-5、3-6、7-6(3)、3-6、6-2でナダルが勝利
この試合はフェデラーとナダルのライバル関係の転機となった一戦だ。ナダルは、前年の「ウィンブルドン」でようやくフェデラーを破った。しかし、当時22歳のナダルはまだハードコートで行われるグランドスラムで決勝の舞台に立てていなかった。一方のフェデラーはハードコートのグランドスラム決勝では負けたことがなかった。

この試合に勝てば、フェデラーはサンプラスの持つグランドスラム14回優勝という男子最多記録に並ぶはずだった。試合は互いにセットを奪い合う展開となったが、最終セットでフェデラーが失速し、ナダルが初の「全豪オープン」優勝を飾った。

4. 2017年「全豪オープン」決勝 6-4、3-6、6-1、3-6、6-3でナダルに勝利
2012年の「ウィンブルドン」で17回目のグランドスラム制覇を達成して以降、2013年から2016年までフェデラーがグランドスラムで優勝を飾ることはなかった。ナダルも2014年から後は、グランドスラムの決勝に進出できていなかった。二人が「全豪オープン」の決勝で顔を合わせるとは誰も予想していなかった。

フェデラーとナダルがグランドスラムの決勝で対戦するのはこれで9度目、2011年の「全仏オープン」以来だった。女子シングルス決勝はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)とビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)の姉妹対決となり、この年の「全豪オープン」は2000年代に逆戻りしたかのようだった。試合はフェデラーが勝利。フェデラー自身も18度目のグランドスラム優勝に驚いたに違いない。

3. 2009年「ウィンブルドン」決勝 5-7、7-6(6)、7-6(5)、3-6、16-14でロディックに勝利
2000年代、アンディ・ロディック(アメリカ)のキャリアにとって最も厄介な存在だったのがフェデラーだった。2001年から2012年までの間に二人は24回対戦しているが、ロディックが勝利したのはたった3回だった。特に悔しかったのが「ウィンブルドン」の決勝だろう。最初は2004年で、フェデラーが4セットで勝利。2005年、フェデラーがストレートで再び勝ちを手にした。

その4年後、ロディックは再度フェデラーに挑むことになった。彼の最大の武器であるサーブは絶好調だった。第1セットはロディックが先取。タイブレークに入った第2セットではロディックが6-2でリードしたものの、その後フェデラーが6ポイントを連取してセットを奪った。続く第3セットもフェデラーがタイブレークを制し、ロディックは1度もブレークされずにフェデラーに2セットを奪われた。

第4セットをロディックが奪い返し、セットカウントはタイに。当時は最終セットのタイブレークがなく、試合はこう着状態となった。やがて、14-15で迎えたサービスゲームをロディックはついにフェデラーに破られてしまう。試合中たった1度許したブレークが命取りとなり、ロディックは試合に敗れた。フェデラーは15回目のグランドスラム優勝を飾り、当時のグランドスラム男子シングルス最多優勝記録を更新した。

2. 2019年「ウィンブルドン」決勝 7-6(5)、1-6、7-6(4)、4-6、13-12(3)でジョコビッチが勝利
2009年にロディックが経験した辛い敗戦を、10年後のフェデラーも経験することになった。「ウィンブルドン」決勝で3度目の対戦となったフェデラーとジョコビッチ。フェデラーは21回目、ジョコビッチは16回目のグランドスラム優勝を狙っていた。

最初の3セットが終わり、2009年のロディックと同様、フェデラーは1度もブレークされていないにも関わらずセットカウント1-2でジョコビッチにリードを許していた。フェデラーが第4セットを取り返すと、観客は長い最終セットを覚悟した。しかし、この年新しいルールが採用され、12-12で並んだ場合タイブレークに突入することになっていた。

最終セットではお互いにブレークし、8-7でフェデラーのサービスゲームとなった。フェデラーは40-15とし、サービスゲームでマッチポイントを握るという絶好の機会を得た。しかし自身のミスとジョコビッチの素晴らしいパッシングショットに阻止され、二人はやがて12-12で並びタイブレークに突入する。

4時間57分に及ぶ「ウィンブルドン」史上最長の決勝はジョコビッチが勝利。この試合がフェデラーがプレーした31度目で最後のグランドスラム決勝となった。

1. 2008年「ウィンブルドン」決勝 6-4、6-4、6-7(5)、6-7(8)、9-7でナダルが勝利
この試合を、テニス史上最高と称える人もいる。当時世界王者だったフェデラーは、大会5連覇中だった。対するナダルは世界2位、2006年と2007年に準優勝していた。

ナダルが最初の2セットを取り、試合は決まったかに見えた。しかし、フェデラーは諦めず、第3セットをタイブレークの末に奪い返す。第4セットのタイブレークではナダルが一度マッチポイントを掴むが、フェデラーがワイドへの弾丸サーブでこれをしのいだ。素晴らしいダウンザラインを決めたナダルが再びマッチポイントを握るが、今度はフェデラーがバックハンドのパッシングショットでナダルを阻止。その後フェデラーがミニブレークを果たし、ナダルのリターンがアウトになり、フェデラーが第4セットを勝ち取った。

最終セットではナダルがブレークし、8-7でサービスゲームを迎える。センターコートが夕闇に包まれる中、フェデラーのフォアハンドがネットにかかり、ナダルの「ウィンブルドン」初優勝が決まった。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は2008年「ウィンブルドン」でのフェデラー(左)とナダル
(Photo by Julian Finney/Getty Images)

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