WTA(女子テニス協会)が今シーズンの年末ランキングを公表。シングルスのトップ5を中心に、その歩みを振り返ろう。
1位:イガ・シフィオンテク(ポーランド)
今年4月に初めて世界女王の座に就き、それ以降1位の座を独走してきたシフィオンテクは、2月から7月にかけて記録した37連勝を含む67勝9敗という圧倒的な成績で8つのタイトルを獲得。ドーハ、インディアンウェルズ、マイアミ、ローマという4つの1000大会を制し、グランドスラムでは「全仏オープン」で2年ぶり2度目の、「全米オープン」では初の優勝を成し遂げた。
シーズン最終戦の「WTAファイナルズ フォートワース」ではベスト4止まりとなったが、年末ランキングでは11,085ポイントと、5,055ポイントで2位のオンス・ジャバー(チュニジア)に倍以上のポイント差をつけてシーズンを終えた。この数字は2013年のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)の13,260ポイントに次ぐ、歴代2位の記録だ。
全てのツアー大会終了後、シフィオンテクは女子テニス界のレジェンド、クリス・エバート(アメリカ)から年末ランキング1位のトロフィーを授与された。シーズンオフについては、「ただ、8日間何も考えず、何もせずに過ごしたいわ。こういう休暇を取るのは初めてなの。いつもは観光ができる場所に行って、アクティブな休暇を過ごしていたから。しばらく休養した後、ゆっくり練習に戻っていきたい。簡単な練習から始めるのは間違いないわね。だから、たっぷり時間があるのは有難いわ」と語っている。
2位:オンス・ジャバー(チュニジア)
ジャバーは今季「WTA1000 マドリード」と「WTA500 ベルリン」で優勝。グランドスラムでは「ウィンブルドン」でアフリカの女子選手、そしてアラブ系選手として初めてグランドスラム準優勝を果たして歴史を作った。続く「全米オープン」でも準優勝と、これまでのキャリアで最も充実した一年に。昨年の年末ランキングでは10位だったが、今年は8ランクアップの2位というキャリアハイでシーズンを締めくくった。
ジャバーはSNSで、「たくさんの感情、タイトル、思い出が詰まったシーズンだったわ。より大きなシーズンにするまであと一歩だったけど、来年さらなる高みに到達するために何をしなければいけないかは分かってる。チームと家族の助けなしでは、この激動の一年を乗り越えることはできなかった。シーズンを通して後押ししてくれたスポンサーにも感謝。そしてファンの皆さん、たくさんの愛をありがとう。皆さんのことが大好き!またすぐにコートで会いましょう!」と綴っている。
3位:ジェシカ・ペグラ(アメリカ)
セレナが2016年の年末ランキングで2位となって以来、アメリカ人として最も高い順位でシーズンを終えたペグラ。今季は42勝21敗で、10月の「WTA1000 グアダラハラ」ではシングルスで初めて1000大会を制覇した。グランドスラムでは、「全豪オープン」「全仏オープン」「全米オープン」でベスト8入り。一方のダブルスも好調で、1000大会を2つ含む5大会で優勝。10月にはシングルスとダブルスの両方でランキングをキャリアハイの3位まで伸ばした。
4位:カロリーヌ・ガルシア(フランス)
これまで怪我の影響もありトップ10からおよそ4年間遠ざかっていたガルシアだったが、6月に「WTA250 バッドホンブルク」でおよそ3年ぶりのシングルスタイトルを手にすると、「WTA250 ワルシャワ」と「WTA1000 シンシナティ」も制覇。さらに「全米オープン」ではグランドスラムで初の準決勝進出を成し遂げ、2018年10月以来にトップ10(10位)へ返り咲いた。5年ぶり2度目の出場となったシーズン最終戦では悲願の初優勝。これにより2018年9月に記録したキャリアハイに並ぶ4位でシーズンの幕を閉じた。
5位:アリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)
サバレンカは今季タイトルの獲得はなかったが、「WTA500 シュトゥットガルト」(クレー)、「WTA250 セルトーヘンボス」(グラス)、「WTAファイナルズ フォートワース」(ハード)と、3つの異なるサーフェスで準優勝を果たした。グランドスラムでは「全米オープン」で2年連続のベスト4入り。年末ランキングをトップ5で終えるのは2年連続、トップ10では3年連続でのこと。
トップ5以下では、6位のマリア・サカーリ(ギリシャ)が2年続けての年末トップ10入り(昨年も6位)。18歳のココ・ガウフ(アメリカ)は、2007年に17歳で年末10位となったニコール・バイディソバ(チェコ)以来の最年少で年末ランキングのトップ10(7位)に入った。今季2冠のダリア・カサキナ(ロシア)は8位で、3度準優勝を果たしたベロニカ・クデルメトワ(ロシア)は9位に。2タイトル獲得で10位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)がトップ10で年末ランキングを終えるのはこれが8度目となる。
ダブルスでは、カテリーナ・シニアコバ(チェコ)が2年連続3度目の年末1位に輝いた。グランドスラムでは今季、バーボラ・クレイチコバ(チェコ)とのペアで「全豪オープン」と「全米オープン」で初の、「ウィンブルドン」で4年ぶり2度目の優勝を果たした。シニアコバ/クレイチコバ組は、2018年と昨年の「全仏オープン」でも優勝している上に、「東京オリンピック」で金メダルを獲得しているため、今季の結果、生涯ゴールデンスラムを成し遂げた記念すべき年に。
2位にはエリース・メルテンス(ベルギー)とのペアで「WTAファイナルズ フォートワース」を制したクデルメトワが、3位には前述のクレイチコバがランクイン。4位には、8月に史上2番目の若さ(18歳と154日)で世界女王になったガウフが入った。5位には、6月に約7ヶ月ぶりに世界女王に返り咲いたメルテンスが位置している。
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【2022シーズン WTA年末ランキング】
順位 名前(国籍) ポイント
1. イガ・シフィオンテク(ポーランド) 11,085
2. オンス・ジャバー(チュニジア) 5,055
3. ジェシカ・ペグラ(アメリカ) 4,691
4. カロリーヌ・ガルシア(フランス) 4,375
5. アリーナ・サバレンカ(ベラルーシ) 3,925
6. マリア・サカーリ(ギリシャ) 3,871
7. ココ・ガウフ(アメリカ) 3,646
8. ダリア・カサキナ(ロシア) 3,435
9. ベロニカ・クデルメトワ(ロシア) 2,795
10. シモナ・ハレプ(ルーマニア) 2,661
11. マディソン・キーズ(アメリカ) 2,417
12. ベリンダ・ベンチッチ(スイス) 2,365
13. パウラ・バドーサ(スペイン) 2,363
14. ダニエル・コリンズ(アメリカ) 2,292
15. ベアトリス・アダッド マイア(ブラジル) 2,215
16. ペトラ・クビトバ(チェコ) 2,097
17. アネット・コンタベイト(エストニア) 2,093
18. エレナ・オスタペンコ(ラトビア) 1,986
19. エカテリーナ・アレクサンドロワ(ロシア) 1,910
20. リュドミラ・サムソノワ(ロシア) 1,910
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は年末1位のトロフィーを抱えるシフィオンテク
(Photo by Robert Prange/Getty Images)