13日から始まるシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」(イタリア・トリノ/11月13日~11月20日/室内ハードコート)のダブルスにニック・キリオス(オーストラリア)とともに初めて出場するタナシ・コキナキス(オーストラリア)が、二人の関係や今の心境を語った。ATP(男子プロテニス協会)公式ウェブサイトが報じている。
シングルスを主戦場としているキリオスとコキナキスは今年、ワイルドカード(主催者推薦枠)として出場した「全豪オープン」のダブルス2回戦で第1シードのマテ・パビッチ(クロアチア)/ニコラ・メクティッチ(クロアチア)ペアを破ると、勢いそのままに決勝に進出。最後はマシュー・エブデン(オーストラリア)/マックス・パーセル(オーストラリア)ペアとの同国対決を制してタイトルを獲得した。そんな二人は7月に「ATP250 アトランタ」も制覇しており、「Nitto ATPファイナルズ」には第8シードとして出場する。シーズン最後の大舞台を前に、コキナキスが今の心境を語った。
「信じられないような経験になるだろうね。シーズンが始まる前は想像もしていなかったことだよ。こんなに仲のいい相手と一緒に出場できるわけだから、コートではたくさんのいいエネルギーが生まれると思っている。二人にとっては初めての経験だけど、きっと楽しいはずだよ。大きな大会だから、イタリアのファンを熱狂させたいね。今年はどこでプレーしていても観客はすごくエネルギッシュだった。僕らにとってそれはすごく楽しいことなんだ。この先もそういう雰囲気が続くといいね」
「練習すれば完璧になれる」と言う人がいる一方で、コキナキスとキリオスはダブルスの練習をほとんどせずに夢のようなシーズンを一緒に過ごしてきた。「ダブルスの練習は全くしない。ダブルスに特化したトレーニングも一切なし。いつも自分たちのやりたいようにやっているから、それが吉と出る時もあれば凶と出る時もある」とコキナキスは言う。
二人はプロに転向した2013年の「全豪オープン」でもペアを組んでダブルスに出場していたが、その時は初戦敗退。そこから互いにシングルスでの経験を積み、2016年に世界ランキング13位にまで上り詰めたキリオスは今シーズン、「ウィンブルドン」で準優勝を飾ったほか、2019年以来2度目となる「ATP500 ワシントンD.C.」優勝も果たした。ダニール・メドベージェフ(ロシア)やステファノス・チチパス(ギリシャ)といったトップ10の選手にも勝っており、安定したパフォーマンスを見せている。2015年にキャリアハイの世界69位を記録しているコキナキスも今年、「ATP250 アデレード2」で初のタイトルを獲得。ダブルスでも二人が成功できた秘訣をコキナキスはこう説明する。
「僕たちはいいバランスが取れた関係なんだ。どちらかが落ち込んでいれば、もう片方が励ます。必要な時は二人ともキャプテンになる。僕たちはシングルスでの強みをダブルスでも発揮できていると思う。もし、自分たちの本来のプレーではなく、ダブルスに特化したプレーヤーになろうとしたら、あまり良い結果にはならないだろうね。アグレッシブにプレーして、ビッグサーブを決めて、あとは成り行きに任せる。これからもダブルスのコートでシングルスのプレーをし続けることになると思うよ」
今シーズンここまでにペアとしてプレーした大会はわずか7つのコキナキスとキリオスだが、19勝5敗の成績を誇る。今年になってダブルスのランキングでキリオスは世界11位、コキナキスは世界17位のキャリアハイをマークした。
「Nitto ATPファイナルズ」ではダブルス出場者8組が4組ずつ2つのグループに分かれて総当たり戦を行い、各組上位2位のペアたちが勝ち抜き戦へと進む。その組分けは以下の通り。
グリーン・グループには第8シードのキリオス/コキナキス組のほか、第1シードのヴェスレイ・クールホフ(オランダ)/ニール・スクプスキー(イギリス)ペア、第4シードのパビッチ/メクティッチ組、第5シードのイバン・ドディグ(クロアチア)/オースティン・クライチェク(アメリカ)ペアが名を連ねる。そしてレッド・グループには第2シードのラジーブ・ラム(アメリカ)/ジョー・ソールズベリー(イギリス)ペア、第3シードのマルセロ・アレバロ(エルサルバドル)/ジャン ジュリアン・ロジェ(オランダ)ペア、第6シードのロイド・グラスプール(イギリス)/ハリ・ヘリオバーラ(フィンランド)ペア、第7シードのマルセル・グラノイェルス(スペイン)/ホレイショ・ゼバロス(アルゼンチン)ペアが入った。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「全豪オープン」でのコキナキス(右)とキリオス
(Photo by Quinn Rooney/Getty Images)