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キリオス、酔っ払い扱いして訴えられたファンと和解

「ウィンブルドン」でのキリオス

「ウィンブルドン」の男子シングルス決勝を観戦していたファンが試合中に元世界ランキング13位のニック・キリオス(オーストラリア)に酔っ払い扱いされたことで法的措置に踏み切ったところ、キリオスが和解に応じたことがわかった。ロイター通信など複数のメディアが報じている。

世界40位だったキリオスが初のグランドスラム決勝進出を果たし、第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦した7月の「ウィンブルドン」決勝。第1セットを取ったキリオスは第2セットでジョコビッチに追い込まれ始めると、自分のチームや主審に当たり始め、その苛立ちはサーブを打つ体勢に入ってからも声をかけてきた女性の観客へも向けられた。キリオスはこの観客のことを「700杯くらい飲んでそうな女性」「完全に酔っぱらっている」などと表し、退場させるよう執拗に主審に訴えた。

その女性ファンは一旦退場することになったが、15分後には再び入場を許可されている。のちにアンナ・パルスという名前のポーランド人弁護士であることが判明したその観客は、試合直後にメディアのインタビューに応じ、アルコールは2杯しか飲んでいなかったと釈明したが、キリオスを応援したかっただけで意図せずに彼に迷惑をかけたことは謝罪していた。ところが、その試合から1ヶ月半ほど経った8月下旬になってパラスさんは弁護士を通じて声明を発表し、「キリオス氏の誤った主張が放送や記事を通して世界中の数百万人に伝わったことで、私と家族に非常に大きな損害と苦痛を与えた」としてキリオスを名誉棄損で訴えることを明らかにした。

訴訟の目的は賠償金を勝ち取ることではなく、「いわれのない罪を晴らし、このような主張が繰り返されるのを防ぐ」ことだと主張したパルスさんは、裁判所に持ち込むことを最終手段として、できるだけ穏便な和解を望んだ。それに応じたキリオスは、この度パルスさんの弁護士が発表した声明の中で次のように述べている。

「私は“ウィンブルドン”での試合中に、今ではアンナ・パルスさんと判明したファンが酔っていると思い、私の気を散らしたと審判に告げました。その思い込みが間違いであったことを認め、謝罪します。償いとして、パラスさんが選んだ慈善団体、グレート・オーモンド・ストリート病院の慈善団体に2万ポンド(約330万円)を寄付しました。この件に関しては今後一切コメントしません」

今季のキリオスは、「ウィンブルドン」で準優勝を飾ったほか、2019年以来2度目となる「ATP500 ワシントンD.C.」優勝も果たした。「ATP1000 モントリオール」と「全米オープン」ではいずれも第1シードとして出場していたダニール・メドベージェフ(ロシア)を下す番狂わせも演じている。また、ダブルスでもタナシ・コキナキス(オーストラリア)と組んで「全豪オープン」と「ATP250 アトランタ」を制した上、ジャック・ソック(アメリカ)とともに「ATP500 ワシントンD.C.」でもタイトルを獲得するなど、充実したシーズンを送っている。

※為替レートは2022年11月7日時点

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「ウィンブルドン」でのキリオス
(Photo by Simon Stacpoole/Offside/Offside via Getty Images)

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