ダブルス元世界ランキング1位のジェイミー・マレー(イギリス)が「ATP1000 パリ」(フランス・パリ/10月31日~11月6日/室内ハードコート)のダブルス2回戦で勝利し、ツアー通算500勝に到達した。ATP(男子プロテニス協会)公式ウェブサイトが報じている。
現在ダブルス世界34位のマレーは、同31位のマシュー・エブデン(オーストラリア)と組んで「ATP1000 パリ」に出場している。二人は1回戦でワイルドカード(主催者推薦枠)にて出場するリシャール・ガスケ(フランス)/カンタン・アリス(フランス)ペアをストレートで退けると、2回戦で第3シードのマルセロ・アレバロ(エルサルバドル)/ジャン ジュリアン・ロジェ(オランダ)ペアに3-6、6-3、[10-5]で勝利した。これでダブルスでのツアー通算500勝を達成したマレーだが、本人はそれに気がついていなかったという。
「そんな数字に近づいているなんて全然意識していなかった。でも、クールだね。キャリアの中でこういう大きな節目を迎えられたのは嬉しい。今年はそれほど勝てていなかった気がするけど、いい形でこの一年を締めくくることができる。来シーズンに向けていいモチベーションになったし、いずれは600勝を目指したい」
2004年にプロに転身した現在36歳のマレーは、590勝375敗を記録しているマルセロ・メロ(ブラジル)に続き、500勝の大台に到達した2人目のダブルス現役選手に。2016年にダブルス世界1位に到達し、これまで2回のグランドスラム優勝を含む27個のタイトルを獲得しているマレーは、また一つ功績を残すことができた。
「テニスでは常に次の大会、次の試合、次の練習のことを考えていないといけない。いつも未来に目を向けていて、目の前のことに注意を向けたりキャリアを振り返ったりする時間がないんだ。これまで僕はすごく良いキャリアを歩んできたと思っている。常にもっと良くなりたいし、もっといい結果を残したいと思っているけど、子どもの頃の僕が、君はATPツアーで500勝するんだよって言われていたら、きっと“いいね、乗った!”ってなっていただろうね。上を目指すことはモチベーションにつながるし、もっと頑張ろう、もっと成功しよう、できるだけ多く優勝しようという気になる」
「でも実際はそう簡単ではなくて、ランキングに関係なく最近の選手のレベルはかなり高い。(500勝を)達成できたのは嬉しいけど、僕はこれで満足する気はないよ」
今年はエブデンと組んだ「ATP250 ウィンストンセーラム」での優勝が唯一のタイトルとなっているマレーは、来シーズンに向けての意気込みを語った。「今は少しランキングが落ちてしまったけど、まだトップ10としてプレーできると思っている。そのレベルに戻りたいというのが僕にとってのモチベーションなんだ」
マレーはブルーノ・ソアレス(ブラジル)と初めて組んだ2016年の「全豪オープン」で優勝し、イギリス人選手として82年ぶりに同大会の男子ダブルスのタイトルを獲得した。その2ヶ月後には1973年のバージニア・ウェイド以来、イギリス人選手として初めて世界ランキング1位に到達してまた一つ記録を更新すると、9月にはまたもやソアレスとのコンビで「全米オープン」も制している。この年には弟のアンディ・マレー(イギリス)もシングルスで世界1位となり、兄弟そろってツアーでその強さを誇った。なお、今年の4月にはジョー・ソールズベリー(イギリス)もダブルスで世界1位に到達しており、イギリス男子テニス史上、ランキングのトップに立ったのはこの3人だけとなる。
マレー/エブデン組は準々決勝で第7シードのロイド・グラスプール(イギリス)/ハリ・ヘリオバーラ(フィンランド)ペアと対戦する。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2021年「Nitto ATPファイナルズ」でのジェイミー・マレー
(Photo by Julian Finney/Getty Images)