元恋人から暴行の疑いで告発されているニック・キリオス(オーストラリア)は、すでに10月4日まで延期されていた出廷をさらに先延ばしにし、今度は過去のメンタルヘルスを理由に訴え自体を棄却しようとしていることがわかった。英BBCなど複数のメディアが報じている。
キリオスは今年の「ウィンブルドン」の開催期間中に、昨年まで交際していたキアラ・パッサリさんに暴行の疑いで告発され、当初は8月2日にオーストラリアの裁判所に出廷するよう命じられていた。そこから大会のスケジュールなどを理由に出廷は何度か先延ばしとなり、最終的には10月4日まで延期することが認められた。ところが、「楽天ジャパンオープン」(日本・東京/10月3日~10月9日/ハードコート)に第5シードとして出場するキリオスは、一度も出廷することなくその期日を日本で迎えている。
オーストラリアの法律では、被告人に精神的な障害があり、証拠の提出によってそれが認められれば、事件を却下することができる。この法律に基づき、キリオスの弁護士は、彼が2015年から患っていたメンタルヘルスの問題が医療記録に残されていること、本人も公の場で精神的に苦しんでいた時期があったことについて発言していることから、訴訟の棄却を求める申請を4日に行ったという。そして、申請書を裏づける報告書を作成する時間を確保するため、4日にキャンベラで予定されていた審問にキリオス自身は出席する必要がなくなったとのことだ。
キリオスの出廷はまたしても先延ばしになったが、このような理由で事件を破棄するのはハードルが高く、検察庁長官の承認が必要となる。昨年12月に元恋人に対して暴行を働いたという疑いをかけられていること以外、訴訟の詳細は明かされていないが、有罪判決が下された場合は最高で2年の懲役刑が科せられるという。今回の新たな申請に関する審問は来年の2月3日に予定されている。
そんな中、キリオスは「楽天ジャパンオープン」の会場で行われた記者会見で本件についてこう述べた。「自分がコントロールできることは限られているし、コートの外ではあらゆる手段を講じて対処している。俺は自分にできることをやろうとしていて、ここ東京でいいプレーをして、この勢いを持続させようと自分の仕事をしようとするだけさ。つまり、テニスをして、いいプレーをする。それだけだ」
キリオスは最後に出場した「全米オープン」の準々決勝で当時世界ランキング31位のカレン・ハチャノフ(ロシア)にフルセットの末に敗れ、その直後はかなり落ち込んだ様子を見せていた。だが、今はその敗戦をモチベーションにして、来年の「全豪オープン」で優勝することを目指していると話している。そして、その土台作りとして「楽天ジャパンオープン」でプレーすることにも「すごくワクワクしている」とコメントした。
「楽天ジャパンオープン」の2016年大会で優勝しているキリオスは、今大会では初戦で世界87位のツェン・チュンシン(台湾)と対戦する。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「楽天ジャパンオープン」で記者会見に臨むキリオス
(Photo by WOWOWテニスワールド)