19歳のカルロス・アルカラス(スペイン)が「全米オープン」で優勝した。自身初のグランドスラム制覇により新世界王者となったアルカラスは、今後も数多くのグランドスラムで優勝を飾る実力があると考えられている。スポーツウェブメディアSportskeedaなど複数メディアが伝えている。
アルカラスのコーチを務めるフアン カルロス・フェレロ(スペイン)は、たくさんのグランドスラムで優勝して欲しいという希望を口にしながらも、あくまで謙虚な姿勢を貫くべきだと語った。フェレロはポッドキャスト番組El Partidazo de COPEで、次のように語った。
「グランドスラムで30回優勝してくれたら嬉しいね。彼は何度も優勝する可能性がある。1回目を勝つのは第一段階だ。実際以上の重みを持たせないようにしよう。鍵となるのは謙虚であり続けることだ」
アルカラスは準々決勝でヤニク・シナー(イタリア)にフルセットで勝利した後、アメリカ期待の若手フランシス・ティアフォー(アメリカ)と対戦。4回戦でラファエル・ナダル(スペイン)を退けていたティアフォーについて、フェレロは「ティアフォーは素晴らしい大会を送っている。簡単にはいかないだろう」とアルカラスの苦戦を予見していた。実際、ティアフォーはアルカラスとの準決勝で持ち前の粘り強さを見せ、第1セットと第4セットのタイブレークを制した。最終セットでアルカラスが試合の流れを引き寄せ、勝利を収めた。
コーチのフェレロは2003年に「全仏オープン」で優勝、同年の「全米オープン」でも決勝進出を果たしているが、自身の成功よりアルカラスの成功のほうがずっと嬉しいと語る。アルカラスが15歳の頃からタッグを組んでいる二人は、深い絆で結ばれている。
「カルロス・アルカラスが勝つのを見るほうが、自分がプレーしていた時より楽しいよ」とフェレロ。
アルカラスとナダルは「全米オープン」の準決勝で顔を合わせる可能性があったが、ナダルがティアフォーに敗れたため、スペインを代表するテニス選手同士の対決は叶わなかった。フェレロは、グランドスラム22回優勝のナダルと大会の重要な舞台で試合をすることができれば、若いアルカラスにとっては素晴らしい機会となっただろうと惜しがった。
「準決勝でラファとプレーできたらすごく良かっただろうね」
アルカラスとナダルはまだグランドスラムでは対戦したことがない。これまでの対戦は3回ともマスターズ1000大会で行われ、今年5月の「ATP1000 マドリード」で初めてアルカラスはナダルに勝利した。この大会でノバク・ジョコビッチ(セルビア)にも勝利したアルカラスは、一つのクレーコート大会でナダルとジョコビッチの両者を下した唯一の選手となった。一方のナダルは、昨年の「ATP1000 マドリード」、そして今年の「ATP1000 インディアンウェルズ」でアルカラスを破っている。
同じスペイン人選手同士、そして同じく若くして成功を掴んだアルカラスは、ナダルと比較されることが多い。それについて、ナダルはアルカラスにプレッシャーをかけるのはやめて欲しいとファンに呼びかけたことがある。
「僕は、自分が19歳の時どうだったかなんて忘れてしまったよ。僕たちにできることは、カルロスのような非凡な選手のキャリアを楽しむことだけだ。もし彼がグランドスラムで25回優勝できたら、それは彼にとって、そして祖国にとっては素晴らしいことさ。でも、彼に自分のキャリアを楽しませてやってほしい」とナダルは訴えた。
アルカラスの今後について聞かれたフェレロはこう答えた。「思うままにやらせたい。彼にプレーさせてやろう」
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2022年「ATP500 バルセロナ」で優勝者の恒例行事であるプール飛び込みにフェレロコーチ(右)を伴うアルカラス
(Photo by Siu Wu/picture alliance via Getty Images)