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セレナが16歳の頃から培ってきた引退後の生活のための準備とは?

2018年「全米オープン」会見でのセレナ

元世界女王のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)が間もなく引退する意向で、開催が迫る「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月29日~9月11日/ハードコート)が別れの舞台になりそうだ。引退後は何をするか気になるところだが、セレナは初めてグランドスラムのタイトルを手にするよりも前から、テニスの後の人生に向けて準備していたのだ。米テニスメディアBaselineが伝えている。

セレナがテニス界の主力になるという兆しは、彼女が16歳でプーマと初の大型スポンサー契約を結んだ1997年から現れ始めていた。セレナの父であり長年コーチを務めたリチャード氏が娘たちのために交渉を主導し、セレナが後に世界ランキング10位に入った時のために業績ボーナスを契約に盛り込んだ。

当時プーマでブランド管理のグローバルディレクターを務めていたアントニオ・ベルトーネ氏は、リチャード氏と10代のセレナ、そして当時プーマの主要株主であったRegency社のアーノン・ミルチャン代表と行った12時間近くに及ぶ会合を振り返った。

「アーノンはセレナとビーナスにテニスというスポーツを変革する能力があると気付いた。プーマは当時テニスには参画していなかった。でもアーノンは0から100に動いたんだ。“僕らはセレナと一緒にテニスに完全に復帰する”という感じでね」ベルトーネ氏はこう語った。

目に明らかなセレナの革新的な才能と、リチャード氏の持つ娘たちへの信頼が組み合わさって、世界のマーケティングにおける絶対的な力となるものが動き始めた。というのも、この後セレナと姉のビーナスの2人共がテニス界を支配するようになるのだ。

この5年後、2002年頃のセレナのスポンサー契約はこのようになっていた。
・プーマ(靴、衣類) 250万ドル(約3億3,800万円)超
・エイボン・プロダクツ(化粧品) 100万ドル(約1億3,500万円)超
・ウィリアム・リグレー・ジュニア・カンパニー(チューイングガム) 110万ドル(約1億4,900万円)超
・マクドナルド(ファーストフード) 100万ドル(約1億3,500万円)超
・ユニリーバ・クローズアップ(歯磨き粉) 50万ドル(約6,800万円)超

そしてこれらの数字は、セレナが優勝するにつれてさらに大きくなる一方であった。2002年までにセレナはすでに世界女王の座に到達し、「シドニーオリンピック」ではダブルスで金メダルを獲得。グランドスラムのシングルスでは4度優勝していた。契約が満了した際、プーマは最終的に競り合いでナイキに敗れることとなったが、これがセレナをマーケティングにおけるもう一段階上の層へと押し上げることとなった。

2000年までにリチャード氏は娘たちのために交渉する必要はなくなり、今やセレナが企業と結んでいるパートナーシップ契約を見ると、一流ブランドのリストのようになっている。2022年6月時点でセレナが提携している企業は以下の通り。

・アッヴィ (バイオテクノロジー)
・アンハイザー・ブッシュ・インベブ (飲料)
・アストンマーティン (自動車)
・オーデマ ピゲ(高級時計)
・ビーツ (ヘッドフォン)
・ブロック (金融サービス)
・ディレクTV (電信、テレビ)
・フォード・モーターのリンカーン (自動車)
・ペプシのゲータレード(飲料)
・グッチ (高級ファッション)
・ヘインズ (衣服)
・ナイキ(靴、衣料品)
・サブウェイ (ファーストフード)
・トーナル (フィットネスのスタートアップ起業)
・ウイルソン (ラケット、テニス用具)

2016年にセレナは世界一高収入の女性スポーツ選手となり、この1年だけで2,900万ドル(約39億2,200万円)近くを稼ぎ出した。しかし選手として全盛期にある時でさえも、セレナは常にスポーツ選手の選手生命は短く予測不可能だと理解していた。

セレナは喜んでブランドとスポンサー契約を結ぶのと同様に、投資家や起業家としても熱心であった。そして実にセレナらしい形で、ファッションやテクノロジー、ベンチャーキャピタルや起業を含む個人的な関心を追う形で、自身のポートフォリオを多角化してきた。

2014年に、セレナは多様な創業者たちの企業に投資する会社「セレナベンチャーズ」を立ち上げ、2018年には自身唯一のファッションブランド「S by Serena」を立ち上げた。セレナは現在までに「セレナベンチャーズ」を通じて60社以上のスタートアップ企業に投資してきたが、今年に入って創立資金として1億1,100万ドル(約150億1,300万円)を集めたと発表した。

現在40歳のセレナは、サーベイ・モンキーの親会社であるMomentive社の取締役も務めており、企業の経営を形作る上でも一役買っている。セレナはさらにNFL(アメリカのプロアメリカンフットボールリーグ)のマイアミ・ドルフィンズとNFSL(アメリカの女子サッカープロリーグ)のエンジェル・シティFCの所有権の一部を保有しており、UFC(アメリカの総合格闘技団体)にも出資している。

コート外であまりに多くの大金が絡む契約に囲まれているために、史上最高額であるセレナの生涯獲得賞金9,460万ドル(約127億9,500万円)が、補足的なもののように感じられてしまいそうだ。殿堂入り確実な選手生活を通して、セレナはWTAツアーで2番目に高額の賞金を獲得したビーナスの4,230万ドル(約57億2,100万円)の倍以上の賞金を稼ぎ出した。

この最高記録の賞金額を蓄えるためにセレナはコートで練習に打ち込み、怪我や挫折から持ち直し、復活は難しいと思われた状況から復活を遂げ、女子テニスのトップレベルで20年以上を過ごしてきた。

そして今、自身とチームの鋭い先見性と機転の利いた投資のおかげで、セレナはこの全てを引退後に活用することができる状況にある。彼女が手にしている純資産は2億6,000万ドル(約351億6,600万円)と推定され、これによって彼女はアメリカで最も裕福な自己の力で成功した女性の1人に数えられている。

※為替レートは2022年8月18日時点

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は2018年「全米オープン」会見でのセレナ
(Photo by Tim Clayton/Corbis via Getty Images)

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