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半年間の経費は1700万円?!20歳のバティストがプロ生活の厳しさを語る

「WTA250 ワシントンD.C.」でのバティスト

ヘイリー・バティスト (アメリカ)が最後に「WTA250 ワシントンD.C.」で大会に出場してから3年が経っていたが、同大会が開催されるロッククリークパーク・テニスセンターで練習を行ったバティストはとても居心地良く感じたという。

ワシントンD.C.出身のバティストにとって、この会場は思い出深い場所だ。例えば、4歳だったバティストが大人用のラケットを使って素晴らしいショットを繰り出し、父親が娘の才能を確信したのもこの場所だった。また、大会で働いていた家族ぐるみの友人が、こっそり幼いバティストを会場に入れてトップ選手のプレーを見せてくれたこともあった。

そして17歳のバティストが当時世界ランキング17位のマディソン・キーズ(アメリカ)を下し大きな注目を浴びたのも、「WTA250 ワシントンD.C.」でのことだった。

現在20歳になったバティストが大会を前にインタビューに答え、プロ選手生活の光と影について語った。米ワシントン・ポスト紙が伝えている。

「魔法とかそういうものはあまり信じていないけれど、このコートとこの街が私や私のキャリアにとってどんな意味を持つのかを言葉にするのは難しいわ。見覚えのある顔が観客の中にあって、ホームで試合する有利さみたいなものがある感じがする。ここではいつも良いことが起こるみたい」

2019年にキーズを下したバティストは、世界ランキングを駆け上る準備に入った。しかし、そこから順調に成長が続いたわけではなかった。2020年1月に正式にプロに転向したバティストだったが、新型コロナウイルス感染拡大によるツアーの中断や大会の中止などで定期的に試合に出る機会を失った。さらに、度重なる怪我がバティストに戦列離脱を強いた。

「控えめに言って、ここまでもどかしい道のりだった。9歳の頃にプロテニス選手になることを夢見てしまうと、その道のりの難しい部分については考えない。セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)やラファエル・ナダル(スペイン)ができたみたいに、自分もできると考えてしまう。でもプロでいることは本当に難しいことで、毎日新しい課題が出てくる」

現在のバティストが直面している最も大きな課題は、収支が合うような収入を得ることだ。151位という世界ランキングでは、経費を引くと手元に多くは残らない。

スポンサーのない現状では、犠牲を払いながらでないと生活ができないという。バティストは他の選手とホテルの部屋をシェアし、大会のため移動する際も時間を選べない。食事を抜くこともあり、コーチを常につけておくこともできない。

今季ここまでにバティストは税込みで17万8123ドル(約2375万円)を稼いだが、13万ドル(約1732万円)以上の経費をすでに支払っているという。

「誤解しないでほしいの、私はプロテニス選手になれて恵まれている。でも他のスポーツでのトップ150の選手の生活はどういうものか、考えずにいられない。自分がこのスポーツを選んだのだし、お金を得るためには勝たなきゃいけないことはわかってる。だから、同情を欲しがっているわけじゃない。ただ、このスポーツの現実を伝えているだけ」

バティストの母、シャーリ・ディッシュマンさんは、相続した株式などを何千ドルも換金し、退職基金からも前借りして娘が夢見た選手生活を支えている。バティストの父はマネージャーとして娘をサポートしている。

「私にとって、これは家族の問題なの」と母のディッシュマンさんは言う。「ヘイリーが生まれる前、ニューヨークに移り住んでファッション業界で働こうと計画していた。だから、自分の夢を諦めること、自分がこうであったかもしれないという考えに取り憑かれるのがどういうことか知っている。私のたった一人の子供がそういう気持ちにならないためには、どんなことだってするわ」

バティストは一人ではない、と語るのは全米テニス協会で選手育成部長を務めるマーティン・ブラックマン氏だ。様々なテニス連盟が選手に経済援助を行っているものの、トップ50位内に入れない選手にとって、生活の収支を合わせることは大きな懸念事項だ。

「経費が多い最初が厳しいんです。テニス選手は、プロツアーの下部大会を潜り抜けようとする時に、多くの支出が必要です」とブラックマン氏。「ヘイリーは幸運なことに、才能と能力に恵まれているので、大きな大会に定期的に参加できています。時と共に、彼女の経済的負担も軽くなるでしょう。近い将来、ヘイリーがトップ50選手の一人になれると私たちも信じています」

怪我がなければトップ50入りできる実力が十分にあることを、バティストはすでに証明している。5月には「全仏オープン」の予選で勝利を重ね、本戦出場権を手に入れた。しかし、負傷して1回戦での途中棄権を余儀なくされてしまった。

「怪我がなく、調子を上げることができれば、トップ選手の一人になれると思っている。“WTA250 ワシントンD.C.”に出場して、実家の料理を食べることが、まさに私に必要なものだと思うわ」

バティストは同大会1回戦で第1シードのジェシカ・ペグラ(アメリカ)との対戦となり、ストレート負けを喫してしまったが、北米での大会はまだ続く。これからの活躍に期待しよう。

※為替レートは2022年8月12日時点

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「WTA250 ワシントンD.C.」でのバティスト
(Photo by Rob Carr/Getty Images)

WOWOWテニスワールド編集部

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