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レジェンド選手の21歳の娘がツアー初勝利

「WTA500 サンノゼ」でのマンドリク

エリザベス・マンドリク(アメリカ)は、3度のグランドスラム優勝経験を持つハナ・マンドリコバ(チェコ/オーストラリア)を母に持つ。プロテニスツアーに参加する選手の中でも、「ウィンブルドン」の託児所の中を知っている選手は珍しい。自身もプロテニス選手を志す中で、マンドリクが母の偉大さを知るのに時間はかからなかった。

現在世界ランキング240位のマンドリクは、「WTA500 サンノゼ」の1回戦で世界33位のアリソン・リスク(アメリカ)を6-3、6-3で下し、ツアー大会本戦で初白星を挙げた。予選に出場できるかもわからないままサンノゼに着いた21歳のマンドリクは、ドローが決まる10分前にワイルドカード(主催者推薦枠)での予選出場を知らされた。今シーズンはITF(国際テニス連盟)大会で3度の優勝を飾り、上り調子のマンドリク。「WTA1000 マドリード」セミファイナリストの世界21位ジル・タイヒマン(スイス)や世界200位のFernanda Contreras Gomez(メキシコ)を下し、本戦への切符を手に入れた。

初めてのツアー大会はマンドリクにとっては新しい経験ばかりだった。今年初めにやっとトップ500入りしたマンドリクは、今週に入るまでトップ100の選手と打ち合ったことさえ無かった。

「ここにいるようなトップレベルの選手たちと一緒に過ごしたり、プレーしたりする機会がほとんどなかったの。ここにいること、そして彼らに勝てることが分かって自信をつけられたし、自分の場所はここだって思えたわ」とマンドリク。

「常にそう信じてはいたけれど、もちろん疑うこともあった。だって彼らと練習するチャンスもなかったのだから。それが今は、実際に試合をして勝利している」

マンドリクはインタビューに答え、プロへの道のりや母と同じキャリアを歩む心境について語った。WTA(女子テニス協会)公式ウェブサイトが伝えている。

WTA:テニスを始めたきっかけは?
マンドリク:始めたのは7歳か8歳の頃だった。母は私に早くからテニスを始めさせたくなかったみたい。早くに飽きてしまうのを避けるためにね。だから、テニスとサッカーと体操をやった。兄のマークもね。私は自分1人のほうが競争心が強くなるタイプで、チームスポーツや体操には向いてなかった。だからテニスを選んだの。私は競争心が強い人間だから、それが理由だと思う。

WTA:すぐに真剣に取り組むようになりましたか?
マンドリク:そうでもなかった。楽しんでいたわ。1日1時間、週に3回みたいな感じかしら。13歳か14歳の時、私は毎冬スキーに行っていて、母にプロのスキーヤーになりたいと言ったの。母も私がスキーが上手なことを知っていたから、しばらく考えていた。そして「あなたのために寒い土地に引っ越したくない」って言われた。だから、スキーはただ楽しむためにやったわ。でももしテニスを選んでいなかったらスキーを選んでいたと思う。レースをするのがとても好きだったの。

WTA:いつから真剣に取り組み始めたのですか?
マンドリク:15歳の時に、これが私のやりたいことだと確信した。双子の兄は少し違う考え方をしていた。彼は人との交流がある部分が好きだったから、大学へ行ったの。彼はそれを望んでいるのをなんとなく分かっていたし、私はそうしたくないと常に感じていた。

母は、そう、あなたは大学へ行って、あなたはプロになるのねって感じだった。母はそれに対処しなきゃいけなかった。母は2人共[大学に]行ってほしかったの。

WTA:大学へ行かないと決めてから、プロ選手になる計画をどのように立てましたか?
マンドリク:特に急いではいなかった。時間をかけて、上手くいくときは上手くいく。もしいかないならいかない。あとで大学へ行って、医者とか何でも私がなりたいものにはなれると思った。だから急いではなかった。でも、努力は報われているわ。

WTA:お母さんが殿堂入りしたテニス選手だと気付いたのはいつ頃でしたか?
マンドリク:かなり若い頃から。私には父がいなくて、母親だけだったから、母が色んな所に連れて行ってくれた。母がレジェンドたちとプレーする時もついて行った。時々、母が連れて行ってくれない時もあって、そうすると1週間まるまる泣いていた。だからそうね、10歳頃かな、気付いたわ。グランドスラムには託児所があって、私は他の子供たちと一緒にいた。みんなで『あなたのママは誰なの?』って話したり、そういうのを覚えているわ。

WTA:お母さんの経験を知っていることが、キャリアを築くのに役立ちましたか?
マンドリク:すごく役立ったわ。長所と短所があるけれど、何が助けになったかというと、これがいかに大変なことかを母は知っていると私が分かっていたことね。母は、私が気持ちを高めるときに助けてくれる。母はいつも何がおきてもポジティブなの。私がベストを尽くしていることを知っているから。母はコート上のこともコート外のこともすべて知っているから、相談しやすい。

それと、私が練習したくないって言うと、母は練習しなくていいって言うの。母のおかげで、自分をどこまで追い込んでいいか、私はすでに知っている。だから、母はそれ以上私を駆り立てようとはしなかった。私がもう努力を尽くしているからね。

WTA:お母さんがあなたを止めようとしたことはありますか?
マンドリク:あるわ。いつもよ。ここでも、この大会の前にある大会に出て、準決勝までいったの。戻った私に、コーチが「サンノゼに行こう」って言ったんだけど、母は「休まなきゃいけないわ。ここに1日しかいないじゃない。いい考えだとは思えない」って。

するとコーチが「いや、私には感じられる。彼女は行って、挑戦する必要があると思う」と言ったの。本戦に出られなくてもいいからって。母は「いいえ、彼女は休まなきゃ」って反論したけれど、コーチが「チャンスを下さい」とお願いした。結果的にうまくいったから、びっくりしたわ。

WTA:昨夜勝利してから、お母さんと話しましたか?
マンドリク:母はすごく喜んでいた。ビデオメッセージをもらったけど、「信じられない」って。信じなさい、って思ったわ。

WTA:ワイルドカードで予選に出場できると知ったのはいつでしたか?
マンドリク:面白い話よ。ここに着いた時、私は補欠だったの。7人目か8人目で、予選に出場できるよう祈っている状態だった。待っている時に、スーパーバイザーにあなたは2番目[の補欠]だって言われたの。

ワイルドカードで出場する選手と知り合いだったんだけれど、彼女が来ないことになったと教えてくれた。だからコーチに言ったの。チャンスがあるかも知れないからワイルドカードで交渉してみてくれないかって。それで、ドローが決定する10分前くらいに知ったの。

WTA:これまでのキャリアで直面した最も大きな困難は何ですか?
マンドリク:敗戦を乗り越えることね。3週間も4週間も連続で負け続けることがある。でも負けるのは、何か上達しているものがあるから。練習コートではとてもうまくいっているのに、それを試合に活かせていないということ。そういう時に、ポジティブでい続けるのが一番難しい。

WTA:コート外でのあなたはどのような人ですか?
マンドリク:とても小さな輪の中にいる。外向的ではなくて、確実に内向的。とても付き合いやすい人間だと思う。あまり友達は多くなくて、1人で時間を過ごすタイプ。そのほうが好きなの。兄と何かをして一緒に過ごすのは大好き。彼はオクラホマ大学でテニスをしているわ。卒業したら彼もプロになる予定よ。

WTA:テニスのことを考えていることが多いですか?
マンドリク:そうね、テニスをいつも見ているわ。いつでもテレビがあれば、Tennis Channelが映るかを調べて、そのままつけっぱなしにしておく。ただ後ろで流れているだけだとしても、つけておきたいの。

家でもリビングルームでずっとテニスを見ているわ。母には、「エリ、消しなさい。私はもう聞きたくないの」って言われる。母はテニスを幼い頃からやってきて、2人の子供もテニスをしている。「ボールの音を聞きたくないの!少なくとも音を消して」って言われた(笑)

WTA:自身のプレースタイルをどのように表現しますか?
マンドリク:戦い続ける攻撃的なプレーヤーね。できるだけ動いて、ボールを早く捉えるようにしているわ。とにかく前に出て相手を急がせようとする。去年、そういう風にプレーできる時がきた、と感じたの。それが私の戦績を向上させる推進力になった。そういうプレーをするように自分を駆り立てた。だって私はそれほど背が高くない。速くもないし大きくもないから、何か余分にやらなきゃいけない。だから、相手から時間を奪うようにしているわ。

WTA:現役選手の中で、ぜひ対戦してみたいと思う選手はいますか?
マンドリク:私のランキングが「全米オープン」の予選に出場できるところまで上がったと分かった時に、兄が「なら本戦にワイルドカードで入れるかも」と言ったの。「外のコートで予選勝者と戦うのと、イガ・シフィオンテク(ポーランド)とプレーするの、どっちがいい?」って。彼は予選勝者がいいって言った。私はセンターコートでイガ・シフィオンテクとプレーしたいわ。だから、イガね。

WTA:今回があなたの初めてのツアー大会でした。これから出場するのが楽しみな大会はどれですか?
マンドリク:まず、「全米オープン」。「ウィンブルドン」のほうが出てみたいけれど、「全米オープン」もね。私が「ウィンブルドン」と言うのは、母がそこで優勝できなかったから、私の目標よ。「ウィンブルドン」で優勝したい。そうすれば、誰も「お母さんも優勝したからね」って言えないもの。「いいえ、今回は違うわ。私だけよ」って(笑)

WTA:お母さんがくれたテニスのアドバイスで最も役に立ったのは何ですか?
マンドリク:タフな状況は続かない、けれどタフな人は生き残る、よ。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「WTA500 サンノゼ」でのマンドリク
(Photo by Carmen Mandato/Getty Images)

WOWOWテニスワールド編集部

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