先月、2019年末から組んでいたコーチと別れた元世界女王の大坂なおみ(日本/フリー)が、しばらくは父親がコーチとして復帰することを明らかにした。WTA(女子テニス協会)公式ウェブサイトなど複数のメディアが報じている。
7月20日にコーチのウィム・フィセッテ(ベルギー)が自身のInstagramで大坂と別れたことを発表。彼と組んでいた間に大坂は「全米オープン」と「全豪オープン」で2度目の優勝を果たしている。この度、フィセッテに代わって2018年シーズンまで大坂のメインコーチを務めていた父親のレオナルド・フランソワが再びコーチを務めることがわかった。
大坂は1回戦敗退を喫した5月下旬の「全仏オープン」以降、アキレス腱の怪我からの復帰に専念するために「ウィンブルドン」を含むグラスコートシーズンをまるまる欠場。ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場する「WTA500 サンノゼ」(アメリカ・サンノゼ/8月1日~8月7日/ハードコート)で約2ヶ月ぶりに試合に戻る。サンノゼ大会前の記者会見でフィセッテとの決別について初めて触れた大坂はこう話している。
「ウィムとは本当に充実した時間を過ごすことができたし、彼は素晴らしいコーチだわ。私たちは仲たがいして別れたわけではないの。ただ、私には別のエネルギーが必要だと感じていて、同時に彼はとても野心的な人。私は怪我をしていたけど、彼はきっと“ウィンブルドン”に行きたかったはずだわ。だから、二人の考え方の違いだったということ。でも、彼のことは変わらずクールな人だと思っている。とにかく、何か悪いことがきっかけだったわけじゃないの」
また、父親がコーチとして復帰することについて大坂は「父はいつも常識にとらわれない考え方を私にさせてくれるから、戻ってきてもらいたいと思った」とコメント。「うまくいかないと思った時、父はいつも、物事は見かけよりずっとポジティブだと気づかせてくれるわ。私がストレスを感じた時、彼は踊ったりして私を元気づけてくれる。そういうこともあって、父がそばにいてくれるのは嬉しいし、子どもの頃を思い出すことができるわ。今のところ、父がしばらくメインコーチになる予定よ」
「WTA500 サンノゼ」が同じカリフォルニア州のスタンフォードで開催されていた2014年大会は、大坂が初めてWTAツアーで勝利を挙げた思い入れのある大会だ。当時世界ランキング406位だった16歳の大坂は予選から勝ち上がり、1回戦で世界19位だったサマンサ・ストーサー(オーストラリア)に逆転勝利を収めるという番狂わせを演じた。それから8年経った今の心境を大坂はこう話す。
「大会をただ楽しみたいと思っているわ。この一年はすべての大会でそう言っているけど、純粋に楽しみたいの。今朝、雨の中で練習している時に父と話していたんだけど、何年か前までは公共のコートで練習させてもらうだけで一苦労だった。当時は私と父と姉だけ。それが今では、お金を払って自分のプレーを見てくれる人たちがいて、本当にありがたいことだと思っている。子どもの頃には想像もつかなかったことよ。ただ、楽しみながらこの瞬間に感謝して、精一杯みんなと関わっていこうと思っているわ」
今大会での大坂は、姉で現役選手を引退してからはアーティストとして活躍する大坂まりがデザインした、ヨネックスの新しいラケットとバッグを使用する。バッグには金色の龍が大胆に描かれており、黒いマットな質感のラケットの枠にも龍のデザインが施されている。今月25日から一般向けの販売も開始されるという。
大坂は「WTA500 サンノゼ」の1回戦で、19歳で世界51位のジャン・チェンウェン(中国)と対戦する。
(WOWOWテニスワールド編集部)
写真は「WTA500 サンノゼ」で取材に応える大坂
(Photo by Carmen Mandato/Getty Images)