「ウィンブルドン」で見事準優勝を遂げたオンス・ジャバー(チュニジア)が母国の首都チュニスに帰り着いた途端、歓喜するファンから大歓迎を受けた。米テニスメディアBaselineが報じた。
あちこちで勝利を挙げ、世界ランキングを上昇させるたびに、ジャバーはテニスの歴史にその名を刻んできた。今回は、アフリカの女子選手として、そしてアラブ系選手として初めてグランドスラムの決勝に進出を果たし、また新たな歴史を作った。
27歳のジャバーは、ここにたどり着くまでに様々な苦難を乗り越えてきたこと、特に金銭的な面で苦労したことを明かしてきたが、それでも愛する祖国チュニジアを離れようとはしなかった。「ウィンブルドン」決勝進出が決まった時、ジャバーは母国の、そして世界中の若い選手たちをインスパイアし続けることが彼女の使命だと語った。
「私は今日、チュニジア女性としての誇りを持ってここに立っています」とジャバーは準決勝後にセンターコートで言った。「今、チュニジアではみんなが熱狂しています。できる限りの人をインスパイアしたい。ツアーでもっとたくさんの、チュニジア人選手だけでなく、アラブ系選手やアフリカ人選手を見たい。テニスが大好きだから、この経験をみんなと分かち合いたいの」
ジャバーは残念なことに決勝でエレナ・リバキナ(カザフスタン)に敗れてしまったが、チュニジアの人々はジャバーを応援し続け、彼女から喜びや勇気をもらった。
チュニジアの首都チュニスに帰り着いた途端、その笑顔や明るい性格から「幸福大臣」と仇名されるジャバーは無数のファンから大歓迎を受けた。花束を渡され、数えきれない人々がジャバーと写真を撮りたがった。その後ジャバーはトレーナーである夫とコーチと共に大統領官邸に招かれ、大功労勲章を授与された。ジャバーはその時の写真をSNSに投稿し、「大統領閣下、官邸にお招き下さりありがとうございます!」と綴った。
大統領は言った。「今回の、そしてこれからのご成功おめでとうございます。あなたはチュニジアの若者たちの、そして苦難に負けないチュニジア女性たちのお手本です。あなたは我々チュニジア人の誇りです。我々は、我々を見守る若者たちにもっと希望を与えたい。この勢いが続くことを願っています。我々はチュニジア人であることを誇りに思い、このサクセスストーリーを続けていきましょう」
ジャバーはチュニスの中心地にあるシアターで「ウィンブルドン」準優勝のプレートを披露し、さらに写真をせがまれた。
チュニジアは近年、政治的にも経済的にも様々な苦難に見舞われてきた。だがジャバーの歴史的偉業により、チュニジアの人々には今、皆で喜び合う理由がある。チュニジアのスポーツ相は語った。「チュニジアの人々は様々な問題を忘れて、皆でオンスを誇りに思っています。彼女は本当に“幸福大臣”そのものです」
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「ウィンブルドン」後にチュニスに帰ったジャバー
(Photo by Yassine Mahjoub/NurPhoto via Getty Images)