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ロシアテニス連盟、ウィンブルドン新女王はロシアで育成されたと主張

「ウィンブルドン」でのリバキナ

「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン/6月27日~7月10日/グラスコート)の女子シングルスで第17シードのエレナ・リバキナ(カザフスタン)が優勝したことを受けて、彼女を育てたのは自分たちだとロシアが主張している。米スポーツメディア ESPNなど複数のメディアが報じた。

決勝で第3シードのオンス・ジャバー(チュニジア)を破って自身初、そしてカザフスタンの選手として初のグランドスラムタイトルを手にした23歳のリバキナは、モスクワで生まれ、2018年までロシアの選手としてプレーしていた。プロのテニス選手としてのキャリアを築くため、4年前に経済的な支援を求めて国籍をカザフスタンに変更したリバキナは、既に「東京オリンピック」や「ビリー・ジーン・キング・カップ」に同国の代表として出場している。ところが、リバキナが優勝した途端、彼女は「我が国が輩出した選手だ」とロシアが主張し始めたのだ。ロシアテニス連盟の会長はリバキナについて、「ロシアのテニススクールで練習してきた成果だ。彼女は長い間ロシアでプレーして、その後にカザフスタンに移った」と述べている。

リバキナの優勝についてロシア政府は正式なコメントを発表していないものの、同国のコメンテーターの中には彼女の勝利をロシアの功績だとする者もおり、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、ロシアと同盟国ベラルーシの選手の出場を認めなかったオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)に対する間接的な仕返しだとまで主張しているという。

ロシアにルーツを持つリバキナのバックグラウンドは彼女が勝ち進むにつれて注目度が増してゆき、試合後の記者会見ではロシアに関する質問を繰り返し受けている。中には、「心の中ではまだ自分はロシア人だと思っています?」というような強引な質問もあった。だが、その度にリバキナはカザフスタンの選手であることを強調しており、ロシアとの繋がりを示唆するようなコメントを避けている。

現在もまだモスクワに住み、同地を練習の拠点にしていると思われるリバキナは、居住地について聞かれた際には「私は毎週移動しているから、ツアーが拠点と言ってもいいくらいね。大会の合間にはスロバキアで練習したり、ドバイで合宿をしたこともあるわ。だから、どこにも住んでいないようなものなの」と回答。また、ウクライナ侵攻やプーチン大統領の行動に対する意見を求められると、それまで15問ほどの質問に難なく答えていたリバキナは、「私はあまり英語が得意じゃないから、質問の後半部分を理解できなかったわ」とはぐらかしている。

4年も前に国籍を変更しているリバキナにとっては、自分の意思とはまったく関係ないものの、結果的にはAELTC、強いてはイギリス政府が恐れていたように、歴史あるこの大会がロシアのプロパガンダに利用される形となってしまった。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「ウィンブルドン」でのリバキナ
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

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