現地7月6日に行われた「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン/6月27日~7月10日/グラスコート)大会10日目、男子シングルスと男子ダブルスのベスト4が決定した。「ウィンブルドン」公式ウェブサイトが伝えている。
第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)は第11シードのテイラー・フリッツ(アメリカ)と対戦。二人は今年3月に行われた「ATP1000 インディアンウェルズ」決勝でも顔を合わせており、その時はフリッツが勝利していた。そのインディアンウェルズ大会では準決勝で肋骨の疲労骨折となり、全力を発揮できなかったナダルは、今回も腹部に痛みを抱えていたため、試合途中に治療を受ける。その際にチームから棄権するよう忠告されたそうだが、ナダルはプレーを続行。3-6、7-5、3-6、7-5、7-6[10-4]の逆転勝利でベスト4へと進出した。
試合後、「身体は基本的に大丈夫だけど、正直、腹部の状態は良くない」と明かしたナダル。苦しそうな様子を見せながらも4時間21分に及ぶロングマッチを戦い抜いたことについて、以下のように説明している。
「試合を棄権するよう言われたけど、僕にとって途中でリタイアすることは難しい。その考えがずっと前から念頭にあったとしても実行に移すのは簡単じゃないんだよ。これまでのキャリアで何度か棄権したことはあるけど、できるだけやりたくないんだ。だから努力し続けた。それだけのことだよ」
「僕は自分にチャンスを与えたかっただけなんだ。どれだけ痛みが強かったとしても、自ら大会から去るのは難しい。特に“ウィンブルドン”からはね」
とはいえ、検査結果によってはプレーを続けない可能性も示している。「明日、いくつかの検査を受けてみるつもりだ。ここ数日、気分が良くないからね。今日はこれまでで最も悪い日だった。痛みが酷くて、できることが限られてしまった。ほかの人の意見も聞いて、あらゆるものを適切な方法で調べたい。“ウィンブルドン”で優勝するよりも健康であることがより重要だからね」
そんなナダルが準決勝で当たるのは、世界ランキング40位のニック・キリオス(オーストラリア)。キリオスは3度目のグランドスラム準々決勝で世界43位のクリスチャン・ガリン(チリ)をストレートで下し、初のベスト4進出を果たした。
「今日も会場は最高の雰囲気だった。グランドスラムでベスト4まで進めるとは思わなかったよ。キャリアの初めはあまりうまくいかなかったけど、こうして盛り返せたことを誇りに思う」
この勝利により、キリオスは「ウィンブルドン」男子シングルスでは14年ぶりにベスト4まで勝ち進んだノーシード選手となった。2008年大会で当時世界75位のマラト・サフィン(ロシア)と世界94位のライナー・シュトラー(ドイツ)がノーシードながら準決勝に進出していたが、最終的にこの大会で優勝したのはナダルだった。
ナダルとキリオスは過去に9度対戦しており、ナダルの6勝3敗。2019年の「ウィンブルドン」で対戦した時はナダルが2つのタイブレークを制して4セットで勝利している。今大会ではナダルもキリオスも怪我を抱えながらプレーしているが、二人が最後までベストを尽くせることを祈りたい。
一方の男子ダブルスでもベスト4が出そろった。第1シードのラジーブ・ラム(アメリカ)/ジョー・ソールズベリー(イギリス)ペアは第12シードのニコラ・マウ(フランス)/エドゥアール・ロジェ バセラン(フランス)ペアとのフルセットを制し、ペアとしてグランドスラム7度目のベスト4。準決勝では、第14シードのマシュー・エブデン(オーストラリア)/マックス・パーセル(オーストラリア)ペアと対戦する。彼らは今年の「全豪オープン」でも準決勝で対戦しており、その時はエブデン/パーセル組が決勝へと進んだが、ラム/ソールズベリー組はリベンジを果たせるか。
ジュニアの男子シングルスと男子ダブルスではベスト8が決定。ジュニア世界5位で17歳のMili Poljicak(クロアチア)が両方で勝ち残っている。
大会10日目の男子シングルス、男子ダブルス、ジュニア男子の主な試合結果は以下の通り。(※[]内の数字はシード表記)
<男子シングルス>
【準々決勝】
●テイラー・フリッツ(アメリカ)[11] 6-3 5-7 6-3 5-7 6-7[4-10] 〇ラファエル・ナダル(スペイン)[2]
●クリスチャン・ガリン(チリ) 4-6 3-6 6-7(5) 〇ニック・キリオス(オーストラリア)
<男子ダブルス>
【準々決勝】
〇ラジーブ・ラム(アメリカ)/ジョー・ソールズベリー(イギリス)[1] 6-3 6-7(1) 6-1 3-6 6-4 ●ニコラ・マウ(フランス)/エドゥアール・ロジェ バセラン(フランス)[12]
〇マシュー・エブデン(オーストラリア)/マックス・パーセル(オーストラリア)[14] 6-4 6-4 6-2 ●ジョン・ピアース(オーストラリア)/フィリップ・ポラセク(スロバキア)[7]
<ジュニア 男子シングルス>
【3回戦】
●Sebastian Gorzny(アメリカ) 2-6 5-7 〇Mili Poljicak(クロアチア)[3]
<ジュニア 男子ダブルス>
【2回戦】
〇Edas Butvilas(リトアニア)/Mili Poljicak(クロアチア)[1] 2-6 5-7 ●Ozan Colak(アメリカ)/Learner Tien(アメリカ)
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「ウィンブルドン」でのナダル
(Photo by Stringer/Anadolu Agency via Getty Images)
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