「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン/6月27日~7月10日/グラスコート)の準々決勝を前に、元世界ランキング13位のニック・キリオス(オーストラリア)が元彼女への暴行の疑いで裁判所への出廷を命じられていることがわかった。米スポーツメディア ESPNなど複数のメディアが報じている。
キリオスは「ウィンブルドン」で2014年以来2度目、グランドスラム全体では2015年「全豪オープン」以来3度目となるベスト8入りを果たしている。3回戦までは主審との口論や暴言などでも紙面を賑わせてきたが、世界56位のブランドン・ナカシマ(アメリカ)と対戦した4回戦では落ち着いた様子を見せていた。ところが、世界43位のクリスチャン・ガリン(チリ)との準々決勝を控える中、今度は昨年まで交際していたキアラ・パッサリさんに暴行の疑いで告発されたというニュースが飛び交った。キリオスは8月2日にオーストラリアの裁判所に出廷するよう命じられているという。
キリオスの弁護を担当するジェイソン・モフェット氏が「疑惑の内容は深刻であり、キリオス自身もその疑惑を非常に深刻に受け止めている」と記者たちに述べた一方で、別の代理弁護士は「疑惑の正確な内容は現時点では定かではなく、検察側からも確認されていない」と主張しており、「キリオス本人からも確認できていない」と矛盾した発言をしている。また、ピエール・ヨハネセン弁護士はメディア宛てのメールの中で、「申し立ては事実として法廷に認識されているわけではない」と書いており、キリオスが出廷するまでは「起訴されたとみなされない」とのことだ。
キリオスが育ち、拠点としているキャンベラの警察は次のような声明を発表している。「オーストラリア首都特別地域の警察は、2021年12月に起きた事件に関連して、27歳のキャンベラ郊外にあるワトソン出身の男性が1件の一般暴行の容疑で首都特別地域の治安判事裁判所に出廷する予定であることを確認している」
このような容疑で有罪となった場合、2年以下の懲役刑が科される可能性がある。
今回の一件を受けて、ATP(男子プロテニス協会)は「法的手続きが進行中であるため、現時点でこれ以上コメントするのは不適切である」とだけ述べた。「ウィンブルドン」を主宰するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)の広報担当者も、キリオスが訴えられているという事実を認識した上で、予定通り準々決勝への出場を認めているとだけコメントしている。
キリオス本人は、準々決勝前最後となるコート練習を終えると記者たちに取り囲まれるも、質問には一切答えずに悠然とその場を立ち去っている。キリオスはその後もいつもと変わらぬ様子を見せており、姉のハリマさんと現在付き合っている彼女のコスティーン・ハッツィさんとの動画をInstagramのストーリーに載せたり、会場内で自分を憧れの眼差しで見上げる黒人の女の子との写真を、「俺がプレーする理由はこれだ。すべての若者たちよ、自分を信じるんだ」とコメントを添えて投稿したりしている。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「ウィンブルドン」でのコート練習を終えたキリオス
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)
【ウィンブルドン2022】
本大会初!WOWOWオンデマンドで最大10コートを配信
◆放送・配信スケジュールはこちら>>