ニュース News

チチパス「キリオスはいじめっ子」

「ウィンブルドン」での対戦後、握手するチチパスとキリオス

第4シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)と元世界ランキング13位のニック・キリオス(オーストラリア)が対戦した「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン/6月27日~7月10日/グラスコート)の男子シングルス3回戦は荒れ、二人の対決はコートの外にまでもつれ込んだ。伊ニュースサイト UBI Tennisなど複数のメディアが報じている。

この試合を6-7(2)、6-4、6-3、7-6(7)で制したキリオスは、2016年大会以来となる「ウィンブルドン」4回戦進出を果たした。それだけでなく、2週間ほど前の「ATP500 ハレ」に続き、キリオスはチチパスに対して2試合続けて逆転勝利を挙げ、対戦成績を4勝1敗に伸ばしている。3時間17分かかったこの試合で二人は合わせて118本のウィナーを記録し、キリオスは得意のアンダーサーブやトリッキーなショットも決めている。だが、二人の白熱ぶりはプレーに留まらず、主審との口論や暴言、ボールへの八つ当たりによるコードバイオレーションなど、盛りだくさんな試合となった。

チチパスは第2セットを落とした直後、怒り任せにボールを観客席の方へと打ったことでコードバイオレーションを科されている。幸い、ボールは誰にも当たらなかったものの、主審の判断が甘いと考えたキリオスはチチパスを失格にするべきだと主張し、「あんたはバカか?」と主審に向かって暴言を吐いた。キリオスはスーパーバイザーを呼んでくるよう要求したり、納得がいかないとしてベンチに座り続けたりと抗議を続けた。結局チチパスは失格になることなく試合は再開しているが、その後もボールに八つ当たりをしたチチパスは2つ目のコードバイオレーションを科され、ポイントペナルティを言い渡されることに。試合後にキリオスは暴言によって4000ドル(約54万円)の罰金を、チチパスは2つのスポーツ選手らしからぬ行為によって合計1万ドル(約135万円)の罰金を科せられている。

チチパスは観客席にボールを打ち込んだことに対しては謝罪したものの、キリオスの言動については腹の虫がおさまらず、記者会見でも苛立ちを露にした。

「これまで対戦した試合で彼がまともな態度を取ったことは一度もなかったと思う。もう我慢の限界なんだ。彼は常にしゃべったり、文句を言ったりしている。そのせいで僕はなかなかサーブを打つことができなくて、テニスが行われていない時間帯ができてしまう。それが一番大事なことなのに。僕たちはテニスをするためにコートに立っているんだ。ほかの人と話したりするためではない」

「常に対戦相手をいじめる、それが彼のやり方さ。きっと学校でもいじめっ子だったんだろうね。僕はいじめっ子や他人を貶める人間は嫌いだ。もちろん、彼にも良いところはあるけど、とても邪悪な面も持っていて、それが露呈すると周りの人たちを傷つける結果になる。僕自身は、ほかの人に見下されたり、コートの反対側にいる相手から敬意が感じられなければ、何かしらの行動を起こすことはまったく普通のことだと思っている」

チチパスが自分を「いじめっ子」と呼んだことを知らされたキリオスは、記者会見で反撃に出た。「どうやったら俺が彼をいじめたことになるのかよくわからないね。彼の方こそ俺にボールをぶつけてきたし、ボールを観客に当てたりコートの外に向かって打ったりしたのも彼じゃないか。俺が審判とやり取りしていたこと以外は、ステファノスに対して失礼なことは何もしていないはずだ。少なくとも彼にボールをぶつけるようなことはしていないぜ。それでも俺がいじめたって言うなら、それは彼がヤワなだけだろ」

選手が一致団結してキリオスのような行為が認められないようにしたい、というチチパスの発言に対しては「俺だって同じ相手に立て続けに負けたら悔しいよ。彼はまず俺にあと2、3回勝ってから、何かやろうとするべきなんじゃないか」と強気な姿勢を見せた。

記者会見でのチチパスの発言にはキリオスの家族も黙ってはいられなかったようだ。父親のジョルゴスさんは英BBCに対して、チチパスと同じことをキリオスがやっていたら「息子は失格になっていただろう」とコメント。「ウィンブルドン」の関係者はダブルスタンダードを用いていると批判した。また、兄のクリストスさんはTwitterにチチパスの記者会見の動画を投稿し、「試合中のトラッシュトークがいじめだなんて笑えるな。サッカーやバスケットボール、世界のあらゆるスポーツを見てみろよ。トラッシュトークなんて普通のことだ」と綴っている。

一方で一部のテニス関係者は、観客に向けてボールを打つことは、人に当たったかどうかに関わらず失格に値する行為で、チチパスはラッキーだったと主張。「ウィンブルドン」を運営するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)のメンバーで、元世界4位のティム・ヘンマン(イギリス)は「主審への暴言は一線を超えているが、あんな風にボールを観客に向けて打つのも一線を超えている。キリオスと対戦するなら、彼のふざけた行為は想定できるはずだ。しかしチチパスはそれに気を取られ、結果的に負けた」と話している。

※為替レートは2022年7月4日時点

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「ウィンブルドン」での対戦後、握手するチチパスとキリオス
(Photo by Simon Stacpoole/Offside/Offside via Getty Images)

【ウィンブルドン2022】
本大会初!WOWOWオンデマンドで最大10コートを配信
◆放送・配信スケジュールはこちら>>

WOWOWテニスワールド編集部

WOWOWテニスワールド編集部

facebook twitter

速報や最新ニュース、グランドスラム、ATP、WTAなどの大会日程と試合結果情報など、テニスのすべてをお届けします!

WOWOWテニスワールド

  1. Home
  2. ニュース
  3. チチパス「キリオスはいじめっ子」