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新型コロナ陽性は大会辞退しか方法がないのか?

「ウィンブルドン」でのベレッティーニ

「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン/6月27日~7月10日/グラスコート)では、前回大会の準優勝者で第8シードだったマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)と、元世界ランキング3位のマリン・チリッチ(クロアチア)が新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示し、初戦を戦う前に大会を去ることになった。大会側の対応について伊ニュースサイト UBI Tennisが報じている。

「全仏オープン」でベスト4入りを果たした33歳のチリッチは、「ウィンブルドン」では2017年大会の決勝で当時世界5位のロジャー・フェデラー(スイス)と対戦して準優勝を飾っている。だが、チリッチにとって今年の大会は、戦いに挑む前に幕を閉じてしまった。チリッチは6月27日、Instagramに「隔離生活を送って間に合うことを願っていたけど、まだ体調が悪くてベストの状態で大会に臨むことができない。“ウィンブルドン”を欠場するという形でグラスシーズンが終わってしまって残念だ」と綴っている。

その翌日の28日、今度はベレッティーニが陽性反応を示したことで欠場する旨を発表。ここ数日の間にインフルエンザに似た症状を発症していたことを報告し、「この悔しさは言葉では言い表せない。今年の夢は終わってしまったけど、また強くなって戻ってくるよ」とコメントしている。チリッチは第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と、ベレッティーニは第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)とそれぞれ「ウィンブルドン」の会場で練習しており、感染拡大が懸念されている。

二人の辞退を受けてUBI Tennisは「ウィンブルドン」を運営するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)にメールを送り、選手が新型コロナの検査で陽性反応が出たと報告した上で大会に参加し続けた場合、何か支障はあるかと問い合わせたという。これに対してAELTCは質問に直接回答することを避け、大会はイギリス政府や自治体の指示に従い、清掃や消毒の徹底、医療サポートの提供、メディカルチームのマスク着用などを行いながら運営しているとだけ述べたとのことだ。一方で、英Guardian紙は「ウィンブルドン」がこの件に関するプロトコルを見直していると報じている。

今年の大会で選手たちは隔離生活や定期的な検査を強いられておらず、症状が出た場合にのみ検査を受けることになっている。観客に関しては、入場の際にワクチン接種が完了していることや陰性であることを証明する書類を提示することは求められるが、昨年のような人数制限などは設けられていない。

第5シードのマリア・サカーリ(ギリシャ)は1回戦に勝利した後の記者会見で、「普通の生活に戻らなければならない」と話している。「何人かの選手が新型コロナに感染して辞退せざるを得なかったのはとても残念。この特別な大会の時に感染するなんて、運が悪かったとしか言いようがないわ。食中毒になったらプレーできないように、試合に出られなくなる要因はいくつもあって、新型コロナもその一つに過ぎないわ」

その他のグランドスラムはどうかというと、元世界11位のアリゼ・コルネ(フランス)が先月の「全仏オープン」では感染してもプレーし続けることが基本的に黙認されていたと発言。そして「全豪オープン」では大会主体のPCR検査は実施されておらず、あくまで選手が自主的に行っていたと世界2位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)や元世界17位のバーナード・トミック(オーストラリア)が話している。

「ウィンブルドン」ではその後、第17シードのロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)も新型コロナにより2回戦前に大会から去ることになった。これ以上の感染者、離脱者が出ないことを祈りたい。

今後、AELTCからポリシーの見直しに関する正式な発表があるかが注目される。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「ウィンブルドン」でのベレッティーニ
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

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