6月12日に国枝慎吾(日本/ユニクロ)が「フレンチ・リヴィエラ・オープン」で優勝し、7度目の世界王者の座に返り咲いた。ITF(国際テニス連盟)公式ウェブサイトが報じている。
国枝が初めて車いすテニス男子シングルスの世界ランキング1位となったのは、2006年10月のことだった。今年の3月にアメリカのバトンルージュで行われた「ケイジャンクラシック」の準決勝で敗退し、アルフィー・ヒュウェット(イギリス)に1位の座を奪われたが、ヒュウェットは昨年優勝した「フレンチ・リヴィエラ・オープン」に出場していなかった。それにより、国枝がベスト4に進出した時点で、世界王者返り咲きが決まっていた。
だが国枝はそこで手を緩めることはなく決勝に進出し、「全仏オープン」決勝と同様に世界3位のグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)に勝利。全仏ではフルセットだったが、今回は6-2、6-3のストレート勝ちだった。
「“全仏オープン”では素晴らしい結果を出せた。ここ2・3年、クレーコートではあまり調子が良くなかった。でも今はとてもいい。2008年の終わりと2012年は、自分にとってとても良かった。昨年の終わりと今年は、その時と同じくらい調子がいい」
「はじめてフィリップ・シャトリエ(“全仏オープン”のセンターコート)でプレーできたことは、車いすテニスにとって良いことだ。美しい、とても大きなコートだ。僕はローランギャロスで素晴らしいテニスができた」と国枝は「全仏オープン」でのことを振り返った。国枝はフェルナンデスと組んだ男子ダブルスの準決勝をセンターコートで戦い勝利した。
グランドスラムシングルスで27回の優勝を遂げている国枝は、この大会の後は日本へ帰り、イギリスでのグラスコートの大会には出場しない予定だ。昨年、国枝は自国の優勝最有力候補として「東京パラリンピック」に出場し、前人未到の3つ目の金メダルを獲得。続いてアメリカにわたり、「全米オープン」で8回目の優勝を遂げた。だがその後、積もり積もった疲労を感じたという。
「“全米オープン”の後、モチベーションを失った。でも“全豪オープン”の決勝ではいい試合ができて、もっとやれるとわかった。今は自分の内面に集中し、モチベーションを保って勝ち続けたい」と国枝は語った。
女子では世界女王ディーダ・デ グロート(オランダ)が、シングルスと、アニーク・ファンクォト(オランダ)を組んだダブルスで2冠を達成し、上地結衣(日本/三井住友銀行)はシングルスでも、クオザード・モンジェーヌ(南アフリカ)と組んだダブルスでも準優勝となった。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は2021年「東京パラリンピック」での国枝
(Photo by Carmen Mandato/Getty Images)