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中央アメリカ出身の選手として初めてグランドスラム優勝を果たしたアレバロとは

「全仏オープン」優勝トロフィーを掲げるアレバロ

「全仏オープン」の男子ダブルスで優勝したダブルス世界ランキング14位のマルセロ・アレバロ(エルサルバドル)について、ATP(男子プロテニス協会)公式ウェブサイトが紹介している。

第12シードとして出場していたアレバロとダブルス世界13位のジャン ジュリアン・ロジェ(オランダ)は決勝で、ダブルス元世界4位のイバン・ドディグ(クロアチア)と同20位のオースティン・クライチェク(アメリカ)のペアに6-7(4)、7-6(5)、6-3で勝利。31歳のアレバロは決勝に進出した時点で、中央アメリカ出身のダブルス選手として初めての偉業を成し遂げていた。また、40歳のロジェはオープン化以降にグランドスラム男子ダブルス王者となった最年長選手という栄誉に浴している。ロジェはアレバロについて「心からパートナーに感謝したい。彼は大きな心を持っている。僕を信じてくれたことが嬉しいし、この瞬間をとても嬉しく、誇りに思う」と話している。

アレバロはATPとのインタビューの中で若い頃の苦労について語った。かつては大会に参加するのにバスで20時間もかけて移動し、仲間と同じベッドで寝たり、夕飯のお金を稼ぐためにほかの人のラケットのストリングを張ったりすることもあったという。

「犠牲を払うことで、人は強くなれる。物事はそう簡単に達成できるものではないこと、それを得るために努力しなければならないことを知るのもまた、強さの秘訣だ。望み通りのものを手に入れるのは難しい。僕はそれによって精神的な強さも手に入れられると思っている。プロのテニス選手になり、大きな大会で戦うという夢のために戦い続けることが僕の目標だった」

エルサルバドルの首都サンサルバドルから1時間ほどのところにあるソンソナーテで生まれたアレバロは、テニス好きな両親や兄弟と一緒に通っていたクラブで初めてラケットを握り、6歳で大志を抱いた。当時のアレバロはアンドレ・アガシ(アメリカ)に憧れたという。2008年にシングルス世界374位を記録した4歳年上の兄、ラファエルの背中を追い続けたアレバロは、大会に出るには故郷を離れなければならないことにやがて気づく。「決して恵まれた環境ではなかったけど、文句を言える立場でもなかった」とアルバロは振り返る。「家族はいつも僕を支えてくれて、それが何より大切だった。それは安心感につながる。うちは裕福な家庭ではなかったけど、両親は僕が大会に出られるようにいつも努力してくれた」

アレバロがコスタリカやメキシコなどの周辺の国で開催される大会へ行くのにはバスを利用することが多く、20時間以上かかることも珍しくなかったという。そして、会場に着いてからもほとんどの場合は相部屋となり、5人の選手とツインルームをシェアしたこともあるとアレバロは明かした。「あの時が一番大変だった。ベッドは2つしかなくて、交代で使うんだけど、勝たないとほかの選手と一緒のベッドで寝られない。もし負けたら、床の上に布団を敷いて寝るんだ」

ジュニア時代や下部の大会に出場していた頃、アレバロはストリングマシンを持参し、会場よりも安い値段を提示してほかの選手のラケットにストリングを張っていたという。2008年にジュニア世界8位に到達しているアレバロは「1、2本張り終えると、それはランチの分だって冗談めかして言っていたのを覚えている。でも、本当に食費の足しにしていたんだ」と苦労話を語った。それでもレストランで食事をする余裕はなく、スーパーや売店で買える安いもので済ませていたという。「だけど、食べることは欠かさなかった。特に僕たちの地域では、たくさんのテニス選手が同じような経験をしているよ。楽ではなかったけど、その分強くなれた」

アレバロはある時期から自分の可能性に疑問を感じ始め、アメリカのタルサ大学で経営学を学びながら大学レベルでテニスを続けた。その2年後、夢を追う信念を再び取り戻したアレバロは大学をやめてATPツアーを目指す。当初は以前と同じく長距離移動や相部屋に耐える日々が続いたが、やがて獲得賞金も増え、大学時代に培った成熟した精神も手伝って、チャレンジャー大会のシングルスで3つタイトルを獲得し、2018年にキャリアハイとなる世界139位をマークした。しかし、その直後に彼の行く手に病気という壁が立ちはだかる。

ヘルニアを患ったアレバロはシングルスで戦い続けることが困難になった一方で、ダブルスでプレーしている時はそれほど負担にならないことに気づき、徐々にダブルスに専念するようになって今に至る。「全仏オープン」での決勝を前に、アレバロはこう語っていた。「これまでの道のりは決して平坦でもなければ短くもなかった。僕は努力を重ね、ランキングを少しずつ上げながら毎週戦ってきた。その途中では困難な局面にも直面してきたけど、少しずつ前進し、常にできると自分を信じてきた」

「全仏オープン」の直後に更新されたランキングでアレバロはキャリアハイとなるダブルス世界14位につけ、シーズン最後の「Nitto ATPファイナルズ」への出場権を懸けたレースランキングでは、ロジェとともに9位から2位に急浮上している。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「全仏オープン」優勝トロフィーを掲げるアレバロ
(Photo by Andy Cheung/Getty Images)

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