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元世界女王の全仏ディレクター「男子の試合の方が女子より魅力的」

3月の記者会見でのモレスモー(中央)

今年から「全仏オープン」(フランス・パリ/5月22日~6月5日/クレーコート)の大会ディレクターを務める元世界女王のアメリー・モレスモー(フランス)が、記者会見で男子の試合を優遇するような発言をしたことが話題となっている。英スポーツメディア EUROSPORTなど複数のメディアが報じた。

今年の「全仏オープン」では大会の10日目まで毎日、センターコートで現地時間の午後8時45分からナイトセッションが一試合行われており、ゴールデンタイムに当たるこれらの試合の放映権はAmazon Prime Videoが握っている。その後のコンディションに支障をきたすことから、どの大会でも遅い時間帯の試合は選手に敬遠される傾向にあり、クレーコートの「全仏オープン」では特に、気温や湿度の影響で日中とはプレーの仕方が大きく変わると言われている。スケジュールを組むに当たり、大会側は選手たちの要望を調整しながら、運営に大きく関わるメディアとの利害関係や集客力も考慮しなくてはならない。

その結果、10日目までのナイトセッション10試合のうち女子シングルスの試合はたった1試合で、世界ランキング40位のアリゼ・コルネ(フランス)と第13シードのエレナ・オスタペンコ(ラトビア)が対戦した2回戦が大会5日目の一押しの試合として選ばれている。残る9試合はすべて男子シングルスの試合で、前回王者である第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)や第5シードのラファエル・ナダル(スペイン)、19歳で第6シードのカルロス・アルカラス(スペイン)といった選手の試合が行われた。ジョコビッチとナダルによる通算59回目の対戦が実現した準々決勝が8日目のナイトセッションに選ばれると、地上波で大会を中継しているフランスの公共放送が「この決定を遺憾に思う」と声明を通して反発した。

大会2週目に行われた記者会見に応じたモレスモーは、ナイトセッションが男子の試合に偏っている理由をこう説明している。

「今の時代、女性として、元女子選手としてこういうことを言うのは悪いことでも不公平なことでもないと思っているけれど、今の時点では(男子の方が)より魅力的だから。それが男子の試合を選んでいる理由よ。毎日スケジュールを組む際には、ドローが決まった1回戦から、女子のどの試合を割り当てられるかを考えてきたわ。対戦そのものや選手のスター性など、あらゆる要素を考慮してきた。正直に言ってとても難しかった。連日、いわゆるその日の目玉となるような試合を決めるのに苦戦したわ」

「ビリー・ジーン・キング・カップ」の代表監督を務めたほか、元世界王者アンディ・マレー(イギリス)ら男子選手のコーチ経験もあるモレスモーのこの発言に対して、女子選手たちが驚きと戸惑いを覚えている。第1シードのイガ・シフィオンテク(ポーランド)は「彼女もWTAでプレーしていたのに、ちょっと残念というか、驚いたわね」とコメントしている。「どの選手にとっても日中の試合の方が都合がいいんじゃないかしら。その一方で、私だって見応えのある試合でファンを楽しませたいし、どの試合でもベストを尽くしたいと思っている。男子と女子の試合のどちらが好きか、あるいは同じくらい好きかは人それぞれよ。でも、女子のテニスにもたくさんの魅力があるわ。女子のプレーには一貫性がなくて予測できないと言う人もいるかもしれないけど、それが魅力の一つとも言えるし、たくさんの人を惹きつけることができるかもしれない。結局は個人の好みね」

準々決勝でシフィオンテクに敗れた第11シードのジェシカ・ペグラ(アメリカ)も「そういうことは耳にしたくなかった」と話している。「女性であり、元グランドスラムチャンピオンでもある彼女の理由がそういうことだというのは、もちろん残念だわ。そういうところを変えていけるといいわね。女子にはビッグサーブがないからこそ、魅力的だと思う。すぐにポイントが取られることはあまりなくて、ラリーが多くなる分、ドラマも多いわ」

その後、モレスモーは「私の発言によって嫌な思いをした選手たちに謝りたい」と謝罪。また、問題視された発言は自身の意見ではなく「書かれた文章からの引用」だと説明した。

「私のことを知っている人、コート内外で私がキャリアを通じてやってきたことをすべて知っている人は、私が平等な権利や女子テニス、女性のために戦う人間であることをわかっているわ」

モレスモーはまた、現在のフォーマットを変える意向も示している。「来年はより女子選手にとって公平なものにしたい。もしかしたら女子の試合を2試合、あるいはダブルスの試合もナイトセッションとして組めるかもしれない。現在はナイトセッションが一日一試合だから、女子の試合を組み込むのは大変なの。チケットを持っている人にとって公平になるよう、試合の長さを考慮しなくてはならないから。みんなにとって平等な、より良い解決策を見つけたい。大会をより時代に沿ったものにすべく努力しているところよ」

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は3月の記者会見でのモレスモー(中央)
(Photo by Stephane Allaman /ALeA/Getty Images)

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