現地5月31日に行われた「全仏オープン」(フランス・パリ/5月22日~6月5日/クレーコート)10日目、男子シングルスでは準々決勝2試合が行われ、第5シードのラファエル・ナダル(スペイン)が第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破った。「全仏オープン」公式ウェブサイトが伝えている。
今季初めて、通算では59回目の対戦となったジョコビッチとナダルは、昨年の「全仏オープン」以来の対戦。その時は準決勝でジョコビッチが第1セットを落としながらも逆転勝利を飾り、そのままチャンピオンに輝いていた。
夜9時過ぎに始まったナイトセッションは、ジョコビッチのサーブからスタートするが、試合開始直後からラリーが続き、ナダルが3度目のブレークチャンスをモノにする。ジョコビッチも第4ゲームで2度チャンスを掴むものの、ここはナダルがしのいで3-1。ナダルは第5ゲームでフォアハンドのダウンザラインを決めて再びブレークし、リードを広げる。ナダルが2ブレークアップのまま第10ゲームのサービング・フォー・ザ・セットを取った。
第2セットでは、13分間続いた第1ゲームでナダルが7度目のチャンスを生かし、またも先にブレークする。ナダルは第3ゲームでもジョコビッチのドロップショットに追いつき、3-0とした。ジョコビッチは第4ゲームでブレークを一つ返したことで流れに乗り、3-3と追いつく。第7ゲームでナダルがリードするチャンスを逃すと、ジョコビッチが6-4でセットを取り返した。しかし第3セットでみたび相手の最初のサービスゲームを破ったナダルが、第5ゲームでもブレークに成功、そのままセットカウント2-1とする。
第4セット、第2ゲームで最初のポイントを落としたジョコビッチは苛立ちからラケットでネットを叩き、ブーイングを浴びる。しかしそこからジョコビッチはブレークポイントを掴み、最後はナダルの際どいショットがアウトと判定されてジョコビッチが2-0とする。この頃には真夜中を過ぎていたパリは、試合開始当初は20度あった気温が13度まで下がった一方、湿度は上昇。ナダルが懸念していたコンディションとなったせいか、前述のように彼のショットがわずかにアウトになる場面が増えていく。だが、ローランギャロスで13回の優勝を誇るナダルは、一時2-5とされながらもジョコビッチの2度のセットポイントをしのぎ、タイブレークに持ち込む。ナダルはタイブレークでポイントを連取し、5-1でジョコビッチのショットがネットにかかり、マッチポイントを手にする。そこから粘るジョコビッチに3ポイント返されたが、4度目のマッチポイントをナダルが決め、前回大会の借りを返した。
試合後、ナダルはオンコートインタビューで「メルシー、メルシー、メルシー」とフランス語で語り、サポートしてくれた観客たちに感謝。その目には涙が浮かんでいた。
ナダルが準決勝で当たるのは、優勝候補と見られていた19歳の第6シード、カルロス・アルカラス(スペイン)を破った第3シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)。ズベレフは勝負強いプレーでアルカラスから2セットを先取。第3セットでは互いにサービスキープし合う展開が続く中、アルカラスが第10ゲームでドロップショットを連発してこの試合4度目のブレークチャンスを初めてモノにし、1セット返す。第4セットでは第9ゲームでズベレフが先にブレークするも直後にアルカラスが追いついた。結局このセットはタイブレークに突入し、互いにミニブレークを重ねる中、バックハンドのダウンザラインを決めたアルカラスが6-5としてセットポイント。しかしズベレフがしのいでマッチポイントを迎える。最初のチャンスはショットをネットにかけて逃したが、2度目のマッチポイントでリターンエースを決め、ズベレフが2年連続の準決勝進出を決めた。
男子ダブルスでは、第1シードのラジーブ・ラム(アメリカ)/ジョー・ソールズベリー(イギリス)ペアがノーシードのイバン・ドディグ(クロアチア)/オースティン・クライチェク(アメリカ)ペアに僅差で敗れてベスト8どまり。今季すでに4大会で優勝していた第6シードのヴェスレイ・クールホフ(オランダ)/ニール・スクプスキー(イギリス)ペアを破った第4シードのマルセル・グラノイェルス(スペイン)/ホレイショ・ゼバロス(アルゼンチン)ペアが準決勝へ駒を進めた。
31日から車いすの部の男子シングルスがスタート。グランドスラム初出場を飾った16歳で世界9位の小田凱人(日本/東海理化)は、1回戦で世界7位のニコラ・パイファー(フランス)に6-1、6-3のストレート勝ち。続く準々決勝では、1回戦を免除された第4シードのゴードン・リード(イギリス)と対戦する。また、リードと同じく1回戦免除となった第2シードの国枝慎吾(日本/ユニクロ)は、初戦の相手が世界5位のステファン・ウッデ(フランス)に決まった。
ジュニア男子では、シングルスのベスト16が決定。ダブルスでは早くも一部のペアが準々決勝へ進出している。
大会10日目の男子シングルス、男子ダブルス、車いす男子、ジュニア男子の主な試合結果は以下の通り。(※[]内の数字はシード表記)
<男子シングルス>
【準々決勝】
●ノバク・ジョコビッチ(セルビア)[1] 2-6 6-4 2-6 6-7(4) 〇ラファエル・ナダル(スペイン)[5]
〇アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)[3] 6-4 6-4 4-6 7-6(7) ●カルロス・アルカラス(スペイン)[6]
<男子ダブルス>
【準々決勝】
●ラジーブ・ラム(アメリカ)/ジョー・ソールズベリー(イギリス)[1] 6-3 6-7(9) 6-7(10) 〇イバン・ドディグ(クロアチア)/オースティン・クライチェク(アメリカ)
〇マルセル・グラノイェルス(スペイン)/ホレイショ・ゼバロス(アルゼンチン)[4] 3-6 6-3 6-4 ●ヴェスレイ・クールホフ(オランダ)/ニール・スクプスキー(イギリス)[6]
<車いす 男子シングルス>
【1回戦】
〇小田凱人(日本/東海理化) 6-1 6-3 ●ニコラ・パイファー(フランス)
●ヨアキム・ジェラード(ベルギー) 2-6 6-7(3) 〇ステファン・ウッデ(フランス)
<ジュニア 男子シングルス>
【2回戦】
〇Bruno Kuzuhara(アメリカ)[1] 6-3 7-5 ●Sean Cuenin(フランス)
〇Joao Fonseca(ブラジル) 6-3 6-4 ●アドルフォ・ダニエル バレホ(パラグアイ)[2]
<ジュニア 男子ダブルス>
【1回戦】
●Gilles Arnaud Bailly(ベルギー)/Gerard Campana Lee(韓国) 6-1 3-6 [10-12] 〇Gonzalo Bueno(ペルー)/Ignacio Buse(ペルー)[2]
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真は「全仏オープン」でのナダル
(Photo by John Berry/Getty Images)