5月上旬に行われた「WTA1000 マドリード」を欠場した世界女王のイガ・シフィオンテク(ポーランド)が、同時期にラファエル・ナダル(スペイン)のアカデミーで練習していたことがわかった。米テニスメディア Tennis.comなど複数のメディアが報じている。
2020年の「全仏オープン」で優勝しているシフィオンテクは、ここ数年にわたりWTAの中で最も堅実なクレーコートプレーヤーの一人として頭角を現してきた。さらなる高みを目指すシフィオンテクは、痛みを感じていた右肩を休めるために「WTA1000 マドリード」を欠場し、ナダルの出身地であるスペインのマヨルカ島にあるラファナダル・アカデミーで練習を積んだ。
ナダルへの強い憧れを頻繁に公言しているシフィオンテクは、ディフェンディングチャンピオンとして「WTA1000 ローマ」(イタリア・ローマ/5月8日~5月15日/クレーコート)に出場する前にアカデミーへと向かった。残りのクレーシーズンに向けて戦略的に休みを取ったと話すシフィオンテクは、「確かに休むことはできたけど、その後に練習で殺されかけたわ。これでもっとパワーアップして、次の大会ではいいプレーができると願っている」と振り返った。アカデミーの公式Twitterは「殺されかけた」という部分を引用して「ごめんね」と苦笑する絵文字などを添えて謝っている。
アカデミー滞在中にシフィオンテクは練習の合間を縫ってアカデミーのロゴが描かれたカプチーノを堪能し、21回のグランドスラム優勝を誇るナダルのトロフィーやラケットのコレクションを見て回るなど、ファンとして至福の時間を過ごしたようだ。
そんなシフィオンテクは最近の状況についてこう話している。「今年出場した大会ではハードコートでもいいテニスができることがわかったわ。今、私がしなければならないのはクレーへの移行だけど、いつもは“おっ、クレーだ。やっといいプレーができる”という感じだったのに比べて、今年はだいぶ違うの。ほかのサーフェスでもレベルの高いテニスができたからだと思う。去年は安定して試合に勝つことがまだできなくて、“全仏オープン”での優勝がまぐれじゃなかったという確信を持つことができなかった。でも、今はしっかりと手ごたえを感じているし、自信を持って次の目標に集中できているわ」
今季のシフィオンテクは「WTA1000 ドーハ」、「WTA 1000 インディアンウェルズ」、「WTA 1000 マイアミ」で優勝と、ハードコートで行われた1000大会を立て続けに制覇した。クレーシーズンへと移行した後にも「WTA500 シュトゥットガルト」を制してシーズン4つ目のタイトルを獲得している。
「マドリードを辞退したのは、計画を立てる上でより戦略的な決断だったわ。最近はトレーニングの時間も、きちんと回復する時間も取れていなかったから。今はおかげで体調も万全よ。次の大会には違う視点で臨めると思っているし、あまり期待せずにプレーしながらクレーコートでのフィーリングを確かめられると思うの。ローマはクレーコートでの最初の大会だと思うようにしているわ」
昨年の「WTA1000 ローマ」では決勝で当時世界ランキング9位のカロリーナ・プリスコバ(チェコ)を6-0、6-0で破るなど、わずか1セットしか落とさずに優勝したシフィオンテクは、第1シードとして今年の大会に出場している。初戦となる2回戦で世界57位のエレナ ガブリエラ・ルース(ルーマニア)に6-3、6-0で快勝し、3回戦では第16シードのビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)に6-4、6-1で勝利。準々決勝では元全米女王の世界90位ビアンカ・アンドレスク(カナダ)と対戦する。ここで再び勢いをつけ、「全仏オープン」(フランス・パリ/5月22日~6月5日/クレーコート)で2度目の優勝を果たせるかが注目される。
(WOWOWテニスワールド編集部)
※写真はシフィオンテク
(Photo by Maciej Luczniewski/NurPhoto via Getty Images)